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マガツカイの襲撃 クラームド

赤黒い不気味な空が広がる闇の世界。

そこに聳える漆黒の城…闇姫の城では、部下たちが慌ただしく動き回っていた。

彼等を指揮するのは闇姫軍最強の四人、闇姫軍四天王。

紫の球体型の生物、デビルマルマン。四本の腕を持つバッディー、ダイヤモンドのような姿のダイガル、白衣を着た蛙型の怪人、ガンデル。

闇姫が留守である今、軍の指揮を取るのは彼等だ。

特に科学者としての一面も持つガンデルは頼られる事が多いようで、干からびかけている。

「や、闇姫様がいないだけでこんなに辛いなんて」

しわがれた声で話すガンデル。バッディーは四本の腕をそれぞれ組んで心配そうに見つめてる。


ここは城の中でも一際広い大広間。

デビルマルマンは羽ばたき、飛びながら大広間全体を見渡し、兵士達の動きを見つめてる。

互いにぶつかりそうな程にひしめき合いながら歩き回る兵士達。彼等は次の戦いの準備を進めていたり、城の設備を調整したり、訓練所へ行く途中だったり…別々の役割を担う者達が、一箇所に渦巻いてる。しかしながら誰一人として足を止める事なく、迷わず進む様はまるで踊りを見ているかのよう。

城には今、闇姫が残した魔力のバリアが展開されており、侵入者を防いでくれる。ある程度安心はできるが、勿論油断はできない。

何故なら…空の上では闇の一派と白の刺客が、互いに睨み合っているのだから。

いつ巻き添えにされてもおかしくないのだ。

デビルマルマンは床に降り、他三人に向けて話す。

「俺達は警備を固めるぞ」



四天王は城の周囲に飛行し、周囲を注意深く監視する事に。

黒い岩が並ぶ荒野が広がる闇の世界。人間の世界と比べると邪魔な物が少なく、遠くを見やすいが、それでも襲ってくるやつは襲ってくる。

一匹の蝿をも通さぬつもりで、目に力を込める四人。


…込めすぎて、目が血走っている…。


が、そんな大袈裟な程の眼力も報われる時が来た。


遠くに何か小さな影が見える。

そこらの戦士であれば、闇の世界ではありふれた悪魔か何かであろうと気にしない程の小さな影なのだが…。

「おい、気をつけろ」

発見したのは、闇姫軍一、職歴の長いダイガルだ。その影が何なのか、すぐに見切った。

…それはこちらに向かって凄まじい速度で迫ってきている事が分かった!

四人はそれを落ち着いた様子で睨みつける。



…その何かは、城を包んでいた見えないバリアに直撃し、跳ね返された!


黒いアーマーを身に纏う兵士…闇の一派の兵士だ。

派手に吹っ飛ばされたが、右手に握っているサーベルを全く離さなかった。

着地すると同時に地を蹴り、再び向かってくる!


…またもやバリアにぶつかり、跳ね返される。そしてまた起き上がってはぶつかり、起き上がってはぶつかり…。

見かねたデビルマルマンが口を開く。

「お前、学習能力ないんか」

ひたすらぶつかる事に集合していた兵士はようやく口を開く。

「黙れ!!俺の名はクラームド!闇王マガツカイ様の名の下、ここを襲撃しに来た!」

クラームドはサーベルを構え直し、バリアの向こうでぼんやりしてる四人に怒号を浴びせる。

「てめえらが地球の闇の組織、闇姫軍だな?さぞこの星の事は詳しいんだろうな…!」

クラーミドはサーベルに自身の魔力を集めていき、刃を青く発光させる。十分な輝きを纏ったところでサーベルを高く掲げ、そして振るう!

青い三日月型の光線が放たれ、バリアに叩きつけられる。周囲に分散する青い魔力の粒子を目にしながら、クラームドは第二撃を準備する。

「白の刺客に遅れをとってるんだ。アンコウ鉱山の攻略法、教えてもらうぜ!!」

クラームドの熱い態度とは真逆に、四人は冷めきっていた。両者の間に張られたバリアが、物理的にも精神的にも両者を分断している。

ガンデルは他三人に言う。

「光と闇の力が共存し合う危険地帯、アンコウ鉱山。やはりあそこを狙ってたんだなこいつら。まあ、こういうやつらの目的は薄々読めるよな」

見下されたクラームドは、地面にサーベルを叩きつけながら威嚇してくる。勿論こんな物は、四天王にとっては子犬の威嚇にも満たない。

ダイガルが前に出て、クラームドに手の平を向けた。

「闇王マガツカイ?大層な名前しやがって。闇姫様の素晴らしい城の前で、不届者の名を語るな!!」

同時に、手の平から紫の光線が放たれ、バリアを透過して突き進み、クラームドを吹っ飛ばす!!

バリアに当たった時以上の勢いで遠くへ飛ばされるクラームド。あっという間に姿が見えなくなる。

勢いだけは良いやつだった。ダイガルは手を下ろし、他三人の指揮を取る。

「さあ、今度は逆方面を警戒するぞ。…ん?」

ダイガルは、何かを感じ取る。


魔力だ。何かの魔力を、遥か上空から感じ取る。

軌道は隕石のよう、熱量はかなりのもの。それも一つだけではなく、複数の魔力がこちらに向かってくる。

「ん〜〜??」

四人の視線が、空の一部に集まる。


…その魔力は、大気圏を通過し、ついにその姿を現した。


それは、赤黒い光球だった!

禍々しい大量の光球が、地上目掛けて落ちてきたのだ。

先程まで余裕だったダイガルも、表情を曇らせる。

長年の経験から、これは厄介だと悟ったのだ。

「おい、やべえ。迎え撃つぞ。バッディーは部下を集めろ!腕が四本あるお前なら、指揮を取りやすいだろう!」

ダイガルの命に、バッディーは四本腕全ての親指をたてて城の中へ直行した。他三人は飛行を始め、光球に自分達の魔力弾を撃ち出していく!

一つの光球を破壊するだけでもかなりの攻撃を撃ち込まなくてはならない。しかもこの三人の攻撃に耐え抜くとは、これを撃ってる者も相当な強者と見える。

空が沢山の爆発により、異様な色に染められる。闇の世界は激戦により、震えていた。

ふと城を見ると、兵士達が上空に向けて大砲を構えている。流石バッディー、指揮が早い。

放たれる砲弾が、光球を撃ち抜いていく。三人の魔弾に砲弾も加わったが、それでも空から降り注ぐ光球の方が数は上だ。

撃っても撃っても尽きない光球に苛立ったダイガルが城の兵士達に向かって叫ぶ。

「おい!ここ以外の場所はどうなってるんだ!?他もこんな状況なのか!?」

「いいえ、ここにのみあの光球は降り注いでいるようです!他の地域には何の影響もありません!」

この数の光球を一箇所に集中させるあたり、どうやら相手の狙いはこの城、及び闇姫軍の壊滅と見た。

そして、タイミングも魔力の質も、明らかに闇の一派の仕業だろう。

ガンデルが更に推測を続ける。

「これほどの強さ…恐らくこれは、マガツカイってやつの攻撃だろうね」

またもや追加で出現する光球を見上げながら、デビルマルマンがニヤつく。

「へっ、さっきのダイガルの煽りにまんまと乗ったのか?アホが」




…彼等の予想は的中していた。

闇の一派の拠点星では、黒い体に、黒い貴族服を纏う巨人…闇の一派の首領、マガツカイが、両手から赤い光球を空へ撃ち出していた。

場所は、地球の山とよく似た岩肌が続く大地。空は黒一色であり、夜空とも言えないような異様な光景。例えるなら、黒い絵の具で塗りたくられたような空だ。

それを僅かに赤く照らし出す光球。この光球は地球へ向かい、闇姫の城の上に落ちていくのだ。

凄まじい魔力の操作技術。闇の一派を統制するのも納得だ。

マガツカイの後ろから、一人の兵士が歩いてくる。重いアーマーを着たまま膝を付き、報告をする。

「マガツカイ様。白の刺客が付近の星で見つかりました。懲りずに襲撃をかけるつもりのようです」

マガツカイは背を向けたまま、低い声で答える。

「そうか。どのような対処を施すつもりだ」

「はっ。まずはやつらの様子を…」

…その時、マガツカイは突然振り返る!

兵士の首を片手で掴み、勢いよく持ち上げ、自身の顔の高さまで彼を持ち上げた。

「生ぬるい。様子見?宇宙の真の姿である闇に背き、光という下らぬ力に貢献する低級民族である、白の刺客。様子見などと、甘い行為で見過ごす気か?」

「い、いいえ…!み、見過ごす気など…!」

マガツカイは目を赤く光らせ、ますます声を低める。その声は、地の底から響く、星そのものの唸りのよう。

「ならばどうする」

「みな、皆殺しです…!」

皆殺し。その言葉を聞くと、マガツカイは兵士を地面に叩きつける。

激しく咳き込む兵士を踏みつけながら、マガツカイは命じる。

「全身をバラバラにしてこい。その死体をコウノシンのもとへ送り返せ」

「は、はっ。マガツカイ様の仰せのままに…」

冷や汗まみれの兵士は、逃げるようにその場を去る。マガツカイは再び、地球への攻撃に集中し始めた。



「ぐっ、いい加減しつけえな…」

デビルマルマンが息を切らし始めていた。破壊しても破壊しても空から降り続ける光球。永遠に続くかのような物量だ。

兵士達の砲撃もそろそろ勢いが弱まってくる。消耗はこちらの方が断然上のようだ。

ダイガルが歯を食い縛りつつ、ある決断をした。

「このままじゃキリがない。こうなったら俺がこの体であの光球を受け止め続けてやる。デビル、ガンデル、お前らはこの光球の軌道を辿って、マガツカイのクソ野郎をぶっ殺してこい!」

デビルマルマンとガンデルは互いの目を合わせ合う。

ダイガルの体の硬さは闇姫軍ナンバーワンと謳われるものだ。確かに彼なら、ある程度の被弾は耐えられるだろう。

元がある限り、この光球は湧き続ける。確かにマガツカイを討つより他無さそうだ。


…と思われたが…。


「おい待てぇ!!!」

突然、城からバッディーが飛び出してきた。兵士達に指示を出していた彼だが、どうやら指示が一段落したようだ。

今正に自身も戦場へ出向こうとしていた時、三人の作戦が耳に入っていた。

バッディーは四本の腕を掲げながら、こう言った。

「お前ら!俺のこの腕を少しは頼れ!四本もあってただでさえ持て余してるんだぞ!!」

「と、言うと?」

蛙頭を大袈裟に傾けるガンデルに、バッディーは得意げに言う。

「俺が砲台になってやる!お前ら、俺の手先に魔力を集めろ!」

四本腕を構えるバッディー。その手は、空に向いていた。

何をするのか察した三人は、手先から自分達の魔力を放出し始めた。

バッディーの手先に魔力が集中、三本の手にそれぞれダイガル、ガンデル、デビルマルマンの魔力が集まり、残された一本にバッディー本人の魔力が放たれ、魔力を蓄積する。

集まった魔力は小型の光球になる。バッディーが手を動かすと、光球も連動して動く。

天に向け、照準を合わせるバッディー。

「空から降り注ぐあの光球ども…。あの降り方を見る限り、ベストな撃ち方は…こうだ!!」

四つの魔力はうねる光線となり、バッディーの手を砲台として発射される。光球を次々に破壊し、天へ登っていく光線。

次第に光線は空を突き抜け、宇宙に届き…。



「…来たか」

光を超えた速さで宇宙を飛び交っていき、マガツカイのもとへ飛んでいった!

マガツカイは反撃を悟っていたのか、光線を見てもさほど驚かなかった。

光球撃ちを中止し、飛んできた光線に構える。

そして、一切声を出さずに片手を振るい、光線を弾く!

閃光が付近を照らしながら、弾かれた光線が黒い大地の上を泳いでいく。その行き先は…。



「マ、マガツカイ様!?何故!?」

マガツカイの部下の兵士達の集合地点だった。光線は彼等が立っている地点に落ち、爆発、兵士達の肉体は瞬時に分解され、そして瞬時に消え失せた。

身に羽織った貴族服を爆風が吹くままに揺らしながら、マガツカイは清々しく笑う。

「敵の攻撃に迅速に対応できぬ兵など、存在するだけで足手まといだ。生きてる価値はない」

巻き添えを逃れた何人かの兵士は、その光景を見て打ち震えていた。


ここも白の刺客と同じ…。恐怖が戦力を支配しているのだ。


マガツカイは攻撃をやめた。

先程の白の刺客の情報を思い出したのだ。


「白の刺客を排除する」

たったその一言だけで、兵士達は震えながら敬礼した。






…地球では。


闇の世界の空は、光球が消え失せた事で元の赤黒い色に戻っていた。

四天王は小さな体を地面に擦りつけながら、流石に疲弊していた。

特にガンデルは科学者であるが故にこのような激しい戦いはあまりしないようで、激しく息を切らしながら腰に手を当てていた。


いや…あれくらいの数の光球を撃ち落とすぐらいなら、四天王なら余裕のはずだ。

問題は一つ一つの光球を形成する魔力の強さ。あれほど強力な魔力の攻撃があそこまでの量で飛んできたのはいつ以来だか分からない。

やはりあの攻撃はマガツカイの攻撃なのだろうと、四人は悟った。


だが…それでも負ける気はしなかった。

それほど彼等の闇姫軍への信頼は厚いものだったのだ。

「闇姫様がお帰りになるまでの間、この城を何としても守り抜くぞ…!」

…そう言ったのは、四人全員だった。



闇姫が帰るまで、あとどれくらいか分からない。

しかし、今最前線に立つべきは自分達だと、四天王は戦意を研ぎ澄ました。


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