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ゴウピカの暴動

「つきましたよ。ゴウピカ様」

テクニカルシティの門の前。

白いアーマーに身を包んだ見慣れない兵士達が並んでいた。

彼等をまとめているのは鞭を持つ黄金の怪人、ゴウピカ。

白の刺客が集結していた。

ゴウピカは鞭を振り回しながら、兵士達に指示を出す。

「さあてめえら!この町を制圧するぞ!噂によればここは科学が発展した町らしい。闇の一派をぶっ潰す兵器が何かしらあるはずだ!兵器を回収して、コウノシン様へ献上だ!」

ゴウピカは、不気味に笑顔を浮かべる一同の指揮を取る。

そんな彼等を発見した門番兵が、駆け寄りながら声をかけてきた。

「何だお前たちは!?」

ゴウピカは、鞭一つで道を切り開いていた戦士だ。今回もやる事は同じだった。

もはや人物として見なしていないのか、ゴウピカは鞭を振るい、門番兵に叩きつける!

倒れる門番兵を尻目に、沢山の部下を率いて町へ突入する。


その頃、白の刺客の拠点星では、何人かの兵士が騒ぎ立てていた。

玉座に腰掛けるコウノシンを見上げながら、彼等は慌ただしく報告する。

「コウノシン様!小型ドローンで地球の様子を見たところ、ゴウピカ達は都市を狙ってるようです!」

コウノシンは薄ら笑いを浮かべながら、その報告に耳を貸していた。その不気味な笑みに兵士達もどこか寒気を覚えたらしく、一瞬口をとめた。

「…き、巨兵を倒したやつを狙えという命令に背いています!いかがいたしますか!?」

「ゴウピカは昔からそんなやつだ。もはや慣れたわ」

コウノシンは立ち上がる。巨大な体格が、一際目立つ。

集められた兵士や市民の笑顔の視線を浴びながら、彼はある建物に向かっていった。

黄金の建築物が並ぶ中、その建物だけは白銀に輝いていた。



白銀の建物の大きな扉をくぐり抜け、コウノシンはある人物に顔を声をかける。

「出番だぞ」

建物の奥には、一人の女が立っていた。



…青い髪の白衣の女。その女は…。

「お呼びいただき光栄であります、コウノシン様」


…テクニカルシティの科学者、ブルムだった。

地球にいたはずの彼女が何故ここにいるのか。

コウノシンは、後ろに控えた兵士達にも事情を説明するべく、その理由を語りだした。

「安心しろ。やつは我々に物資を売り渡す地球人の武器商人だ。直接顔を見たくて瞬間移動装置でこの星に呼び寄せた」

兵士達は互いの顔を見合わせて騒ぎ出す。


ブルムは思った。

やはり白の刺客は地球人の原生種族なのだと。

目の前にいる白の刺客達は、白い未知のアーマーを取り付けている以外はほぼ人間と同じ。自分と同じなのだと。


ブルムはニヤリと笑った。

彼等は利用できると…。





その頃、ゴウピカは既にテクニカルシティに押し入り、隠れもせず町の建物を破壊して回っていた。ゴウピカの鞭は建物にも甚大なダメージを与える破壊力だ。瓦礫と砂埃が宙を舞い、人々は訳も分からず逃げ惑う。

「ガッハハハ、どんどん壊せ!殺せー!こうしてれば白劣の巨兵を倒したやつも巻き込まれるだろう!!」

絵に書いたような脳筋作戦だ。勿論テクニカルシティは、この作戦にダメージを受けてばかりの街ではない。


「おい、その辺にしておけ」

ゴウピカの肩に、大きな手が乗せられた。破壊行為に興奮していたゴウピカは直ぐ様鞭を振りかざした!

「誰だこの野郎!!」


ゴウピカの背後から現れたのは、背丈ニメートルの大男、粉砕男だった。

振られた鞭を器用にかわし、拳を打ち返す。

ゴウピカの顔面に拳が叩きつけられ、衝撃が全身を貫いた。

倒れるゴウピカを見て、部下達が集まってくる。

「ゴウピカ様大丈夫ですか!?」

その中で、一人の部下が、粉砕男を睨みつけて怒鳴り散らす。

「畜生このクソ野郎、テメエ良い筋肉してるじゃねえか!黒目がないが目も穏やか、声もイケボ!爽やか系イケメンだな、素敵!」

興奮気味の部下に、ゴウピカは倒れたまま鞭打ちした。

痛みにのたうち回る部下を踏みつけながら、ゴウピカは立ち上がる。

「この野郎、いてえじゃねえか」

完全に本気モードのゴウピカに、粉砕男は深々と構える。

ゴウピカは気合の入った声で部下に指示を出す。

「野郎どもやれ!!殺せー!!」

部下達は一斉に駆け出すが…。


突如彼等の足に鈍痛が走り、次々に転びだす!

ゴウピカは驚いた。

そういえばたった今、部下達が走り出した刹那…上から何か乾いた音がした。


「っ!!」

上を見上げると、そこにはスナイパーライフルを構えた緑の髪の女が飛行していた。

葵だった。

サイドテールを派手に揺らしながら地上へ降り立つ。

粉砕男の横に立ち、ゴウピカにライフルを向ける葵。

「あんたら、誰だか知らないけど、人の街でこれだけ好き勝手暴れる事の意味、理解してるわよね?お仕置きよ」

気絶した部下達を背に、ゴウピカは二対一の戦いを強いられる羽目になった訳だが、彼の自信は崩れる気配がない。

鞭で地面を叩き、気合に満ちた声で叫ぶ。

「てめえらこそ理解してんのか?俺等白の刺客に歯向かう事の意味を!」

「なにっ、白の刺客だと!?」

粉砕男が真っ先に反応。葵も驚きを隠せず、戦闘中なのにも関わらずつい隙を見せてしまう。

その隙にゴウピカは鞭を二人に叩きつける!

始め、じわりと痛みが滲み出て、後から身をよじらせるような苦痛が溢れ出る!

二人は膝をつき、息を荒げる。ゴウピカは得意げに鞭を振り回す。

「どうよ俺の鞭さばき。てめえら如き叩き殺すのに十発もいらないぜ」

粉砕男は震えながらも立ち上がる。痛みが全身を駆けているにも関わらず、笑みを浮かべてる。ゴウピカはその姿に酷く不愉快そうだ。

「てめえ、何だその気色悪ぃ笑みは」

「気色悪いのはどっちだ?部下の顔を見てみろ」

ゴウピカは足元で気絶してる部下を踏みつけつつ、その顔を見た。


…全員、見事に笑顔のまま気を失ってる。気絶したその瞬間も、一切表情を崩さず倒れたのだ。

笑った部下が何人も倒れる姿は異質だが、ゴウピカは自慢気な態度をとる。

「ははは、我らの長、コウノシン様の素晴らしい政策だよ。笑顔のままならどんな恐怖にも打ち勝てる!」

それに反応したのは葵だ。ゴウピカの高笑いに割って入るように、言い放つ。

「その割には、あんたは笑わないのね。この部下達と同じような、不気味な笑みを」

それを聞くなり、ゴウピカは鞭に魔力を込め、緑色に光らせる。そして、輝く鞭で部下達を叩き、癒やしの魔力を彼らの身に注ぐ。

部下達はすぐに目を覚まし、起き上がってくる。

だが様子がおかしかった。彼らが着ているアーマーの背中部分で、何かが赤く発光していたのである。

部下達は不気味に笑いながら、二人へ突進してくる!

二人はいち早く異変に気づいた。部下達の突進をかわし、彼等の背中から発行体を抜き取り、宙へ投げ捨てる。

すると、発光体は次々に爆発、その正体が爆弾だった事を知らされた。

ゴウピカは悔しそうに拳を握る。そんな彼に、粉砕男はその穏やかな顔に明確な怒りを表す。

「部下にばかり恐怖と戦う武器を持たせ、特攻させる…お前には同情の余地無しだな」

ゴウピカは再び憎たらしく高笑いする。この状況を本気で可笑しいと思ってるようだ。

「ははは、何とでも言いやがれ!クソクズの馬鹿野郎が!」

「馬鹿はどっちよゴミ虫クソ野郎」

葵が冷たくライフルを向けた。瞬時にゴウピカの足に狙いを定め、弾丸を放つ!

痛みに悶える暇もなくゴウピカは転倒し、地面にうつ伏せに倒れる!

抵抗する力を失ったその一瞬のうちに、粉砕男はゴウピカを渾身の力を込めて蹴飛ばした!

衝撃で宙に投げ出され、何回転もした後、ゴウピカは地面に叩きつけられる。



これほどのダメージを与えても尚、ゴウピカは鞭を手放さなかった。

つまりまだ反撃を仕掛けてくる可能性があるという事だ。

葵はライフルを向けたまま、粉砕男も汗をかきながらゴウピカを見下ろす。


…案の定、ゴウピカは立ち上がる。無数の砂利が黄金の皮膚を突き刺し、その体は薄汚れていた。

フラフラとした足取りではあるものの、しっかりとこちらを睨んでいる。

息を切らせつつも、ゴウピカの目には憎悪が宿っていた。

「テメエら…殺してやる。殺してやるぞ」

粉砕男の大きな拳と、葵のライフル。その二つを向けられても、ゴウピカは恐れなかった。



…と思いきや。



「いつの日かな!!」


捨て台詞と共に、彼は忙しない走り方でその場から逃げていった。

勿論、部下は置き去りだ。


二人はつくづく呆れた。


周囲には倒壊した建物や荒れ果てたコンクリートの大地。

あんなやつにここまでされたと思うと、腹立たしかった。




ゴウピカは飛行を始め、一気に加速する。周囲の木々を薙ぎ倒しながら飛んでいき、宇宙船の落下地点である砂漠地帯に直行した。

砂が宙に巻き上がり、そしてすぐに地面に還る。ゴウピカは宇宙船を見つけるとすぐに乗り込み、一人操縦を始めた。

宇宙船は被っていた砂を払い落としながら、浮上を始める。

「なんて星だ…。必ず皆殺しにしてやる!」

怒りに満ちた顔のゴウピカ。その言葉には一片の嘘偽りもなく、本気で地球全土の生物を皆殺しにしようと目論んでいた。

感情に流されやすく、暴力的なゴウピカ。

そんなやつがどういう末路を辿るのか、運命は静かに語り始めていた。


突如、宇宙船の一部の機械から警告音が響く。機械は、ある事を警告していた。

「危険物接近。危険物接近」

無機質にその言葉を繰り返す機械に、ゴウピカは焦る。

「危険物!?い、隕石か!?」

恐る恐る窓の外を見ると…。


「あ、あれは!!」

ゴウピカは驚きのあまり、ついに鞭を落とした。


こちらに向かってきたのは…黄金の巨大光球だった!

無数の光の魔力の塊だ。こんな物を作り出せるのは…。



「コ、コウノシン…!!」

ゴウピカは、ここへ来てようやく予感した。


死を。



光球は凄まじい勢いで宇宙船にぶつかり、そのまま熱を放ちながら押し出していく。

押されながら、宇宙船は熱で少しずつ歪んでいき、ついにバラバラに。

中からゴウピカが姿を現し、ついに彼自身が光球に衝突、骨の髄まで熱が駆け抜ける。


悲鳴もあげられず、ついにゴウピカは光球の最終到達地点に辿り着いた。


そこは…闇の一派の星だった。


真下を見ると、闇の一派の兵士達が驚いてこちらを見つめてる。

迫りくる光球を前に、パニックに陥っていた。

ゴウピカは意識を失いそうになりながらも、高笑いした。

「は、ははは。最後にこいつらの間抜けな面を拝められるとは最高の死に方だ!コウノシン様、感謝するぜ…さあ、死いいいいねえええええ!!!」

光球はついに地面に激突、同時に光球を形成していた魔力が分散、無数の光の粒に変化した後、閃光を放ちながら爆発した!

多くの闇の一派が吹き飛ばされ、ゴウピカは彼等と共に血肉を散らした。




「…やりましたね、コウノシン様!」


白の刺客の拠点星。


天に手のひらを向けたコウノシンに、部下一同が拍手していた。

先程光球を放った手の平を下ろし、コウノシンはため息をつく。

「部下が一人死んだところで大きな影響はない」


コウノシンは白いマントを翻し、次の計画を練るのだった。

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