99<良き友人>
前回のあらすじ
ドラゴンに勝利した。
フリッツ「もしかして、その魔石か?」
「ああ、ひょんなことから入手したんだが、良い使い道が思い浮かばなくてな。このままだとただの漬物石だ。」
フリッツ「それにしてもデカイ魔石だな。竜でも倒したのか?」
「・・・。まあ、ドラゴンはドラゴンでも小型の奴だよ。」
フリッツ「そうか。ソフィならまだ店に居るはずだ。俺も直ぐに行くつもりだ。」
「分かった。ありがとう。」
彼らは人だかりが出来ている脇を通り、村の端にあるソフィの店を目指す。
聞き覚えのある男の声「む?お前は・・・?」
「ん?」
セドリック「狐の仮面?リサ姉は持ち帰ったと言っていたが・・。」
シンディ「!!!!誰だろう?・・・ジョンとはまた違った系統の色男ね・・。」
「これはこれは勇者様。お会いできて光栄ですね。しがない村人に何か御用でしょうか?」
彼は最敬礼しながら慇懃に答える。
シンディ「た、た、大変失礼しました。」
シンディも最敬礼をしている。慣れていないのか脚がぷるぷるしている
セドリック「良い。楽にせよ。平民相手に儀礼について煩く言うつもりはない。」
彼は無言で雪月白桜に右手を沿わす。
セドリック「・・!、王族として宣言するが、お前の正体を今ここで明かすつもりはない。」
セドリックは少し慌てた様子で仮面越しに彼をまっすぐ見ながら告げる。
「そりゃ助かります。」
彼は雪月白桜から手を離す。
シンディ「?」
セドリックはシンディに視線をやる。
シンディ「!!!!」
彼女は少し顔が赤くなっている。
セドリック「失礼、レディ、お名前を伺っても良いだろうか?」
シンディ「わ、私はシンディ・ドゥハンと・・も、申します!!」
声が高くなっている。
セドリック「私はセドリック・ユベラージョイだ。」
セドリックは自身の名前の国名は省略した。
セドリック「シンディさん、貴女は彼の良い人か?」
「いいえ、違います。」
セドリック「お前には聞いていない。」
「そうですか。」
シンディ「・・・。良き友人です。」
一瞬だけ寂しそうな顔をしながら彼女は答えた。
セドリック「・・・・。そうであるか。」
セドリックは彼が抱えている魔石を見る。
セドリック「最近この辺りで大型のドラゴンを模した強力な魔物の目撃情報がいくつか寄せられている。お前は何か知らないか?これは王族としての質問である。」
「まあ、隠す必要はないから答えましょう。そいつはついさっき討伐されたので、ご安心下さい。」
シンディ「え?」
セドリック「その魔石か?」
「ええ。今から雑貨屋で使い道を相談する予定でした。今のところ漬物石が最有力候補です。」
セドリック「その魔石は国で預かる。今すぐ譲渡するように。」
「漬物石にするよりは良い用途でしょうね。重たいんで気をつけてください。」
彼は何の執着もなかったのかあっさりとセドリックに渡した。
セドリック「む。確かに重いな。」
「魔石も無くなったので特にこれ以上用がなければ俺は自宅に戻りますよ。」
シンディ「ちょっと、ジョン。王子様相手に失礼じゃない?」
「・・・・・。」
彼はあっけにとられたような間抜けな顔をしている。
シンディ「・・・何よ。ぽかんとした顔しちゃって・・・ちょっとかわいいじゃない・・。」
「いや、君からそういう発言が出たのが少し意外だったから・・かな。」
シンディ「もう、失礼しちゃうわね。」
セドリック「・・・。手短に本題を告げる。」
彼はセドリックに向き直る。
セドリック「災厄が発生した。場所はニグラリベーロだ。聖女との取り決めによりお前を招集しに来た。」
過去に絶望と名のつく強大な災厄が発生したことがある国である。
シンディ「・・・・!!!!」
「・・・・。了解しました。今からでしょうか?」
セドリック「ああ。と言いたい所だが今日はもう遅い。明日、俺と一緒にセレスタに来てもらう。」
「ご配慮痛み入ります。む・・・?俺もあの豪華な馬車ですか?」
セドリック「俺とお前は別の馬車だ。」
「それは助かります。王族と同じ馬車だったら息が詰まりそうですから。」
セドリック「・・・・・。」
「・・・・・・。」
シンディ「ジョン?」
セドリック「お前は相変わらずマイペースと言うかなんと言うか。」
「・・・・・。まあ、少し珍しい境遇で生きてきましたので。」
シンディが先程から彼を見ている。
「もし、本題が終わりでしたらおいとませて貰って良いですか?お別れの挨拶をしたいので。」
セドリック「ああ。構わん。最後の夜だ。自由に過ごせ。」
そう言うと金髪の王子は立ち去った。
「さて、時間はない。どこから回るか・・。」
シンディ「ねえ、ジョンは王子様と知り合いなの?さっきの感じだと・・。」
「まあ、知り合いではある。お察しの通り良い仲とは言えないけどね。」
シンディ「・・・そう。ねえ、今日の夜二人きりで会えない?」
「・・・。いいぞ。今夜、戌の刻ぐらいにそこの切り株でいいか?その時間なら門番以外は外には居ないだろう。」
シンディ「・・うん。またね。」
シンディは村長宅へ向かった。
「さて、何を言われるんだか・・・。まずはフリッツとソフィかな?」
ソフィアの雑貨屋のドアを開けるとカランカランと聞きなれた音がする。
フリッツ「よう。さっきぶりだな。ん?魔石はどうした?」
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