93<そこの君、無駄な抵抗をやめ人質を解放するように>
前回のあらすじ
シンディを励ました。
テルーオ歴6017年10月13日
-とまり木の内の一体が持つ感情値が閾値を超えました。-
-次の「 」が確定しました。-
「ん?・・・気のせいか?」
彼がこの村に来て半年がたった。
「そう言えば、そろそろ一人で外出が出来るんだったか?」
彼はこの半年で半日程度、全力の素振りを続けることが出来るようになった。あと、変わったことと言えば・・。
シンディ「ねえ、ジョン、今日はどこ行くの?」
「掲示板を見てから考える。」
シンディ「もう、貴方はいつもそうね。」
「なあ、シンディ、なんで君は俺に抱きついているんだ?」
いつの頃からか日課の薪割りが終わった後、シンディが彼に抱きついてくるようになった。
シンディ「あら、貴方が言ったことでしょう?好きなことをせよ・・と。」
フランツ「・・。シンディ・・。」
パウル「く・・羨ましい。」
イェンス「あいつめ・・シンディのパンツを嗅いでいるのかな?」
「いいのか?君の幼馴染達が何か言いたげだぞ?」
シンディ「あんな人達のことなんてどうでもいいの。どうせ、あの人達が来たらしっぽを振りながらそっちに行くんだから。」
「まあ、そうだろうけど、適当には付き合ったほうがいいとは思うのだが?」
シンディ「あら?確か半年前に・・えっと、確か裏切り者のことなんか忘れてしまえって貴方言わなかった?」
「あれ?そんな事言ったっけ?」
シンディ「ええ、言ったわ。」
「でも、俺も君にとっては裏切り者じゃなかったか?」
シンディ「あら?そうだったかしら?」
「なんか都合の良いところだけ覚えてないか?」
シンディ「もう、煩いわね。細かい事気にしてると愛しの彼女に嫌われるわよ。」
「今女性に抱きつかれているという事実が一番不味い気がする。って、それは全部大嘘と言っただろう。」
シンディ「あら、嘘なら良いじゃない。」
「グヌヌ。」
ソフィア「クスクス、まさか、ジョンがシディに言い負かされるなんてね。」
「ソフィ、笑ってないで助けてくれ。俺は今、野生のシンディに拘束されている。」
フリッツ「ソフィ、ソイツを助ける必要はない。全部自業自得だ。」
「フリッツは厳しいな。それはそれとしてこの前は野菜ありがとう。」
フリッツ「おう。」
「で、フリッツ、物は相談なんだがシンディを引き剥がしてくれないか?」
フリッツ「それは無理だ。なぜなら俺もソフィに拘束されているからだ。」
確かにフリッツはソフィに右腕を拘束されている。
ソフィア「フフフ。フリッツは私のものよ。例えジョンでも駄目よ。おとなしくシディに抱きつかれてなさい。」
「ほら、君の初恋を手伝ってあげたよしみで・・さ・・駄目かな?レンタルぐらい良くないか?1カ月1銅貨ぐらいでさ。」
フリッツ「・・・なんだよ。その値段設定・・・。」
シンディ「ねえ、そのせいで一人の女の子の初恋が終わったんだけど?それについてはどう思ってるの?裏切り者さん?」
ミシ。
シンディの抱きつく力が強くなったようだ。
「・・・・この村・・面倒くさいな・・・・。」
ソフィアはいつかの日のように肩を震わせている。
ソフィア「初日にも聞いたセリフね。まさか今こんな関係になるとは思わなかったけど。」
シンディ「ええ、ソフィとこんなふうに話せる様になるとは思わなかった。」
ソフィア「ええ、そうね。シディ。」
「ねえ、君たちなんかいい話風に終わらそうとしてるけど、とりあえず引き剥がしてくれない?」
シンディ「もう、しつこい男は嫌われるわよ?」
「この場合は意味が逆じゃないか?」
シンディ「じゃあ、飲み会の時に言ってくれた言葉をもう一回言ってくれたら離れてあげる。」
フリッツ「うん?このやり取りは・・。はて?」
ソフィア「・・・。」
ソフィアは何かを言いたげだが黙って経緯を見守ることにしたようだ。
「えっと、確か・・天使のように可憐な貴女様にこの様に熱い抱擁をされて俺は幸せです。願わくばこの一時が夢でなければ良いのですが。」
シンディ「〜〜〜〜〜!!!」
シンディは真っ赤になって悶えている。
ソフィア「あれ、全然本気じゃないのよね。・・本当、女の敵よね。」
「さ、さあ、約束通り、人質のジョン氏を開放してもらおうか?シンディ・ドゥハン。」
シンディ「ん?貴方は今幸せなのよね?じゃあ、ずっとこうしててもいいよね。」
ソフィア「なんかこのやりとり結末含めてデジャブね。フリッツ。」
フリッツ「ああ、結局、人質の黒髪の男は解放されないんだったな。俺も見覚えがある。」
ソフィア「あの時と違うのはきちんとパンツが隠れていることぐらいかしら。」
シンディ「え?ソフィ?」
フリッツ「ああ、あれはある意味、凄かったな。熊さんが丸出しだったもんな。」
シンディ「え!?フリッツ?」
「シンディ、どうかしたか?まあ、しょうがない。このまま引きずるしかないな。」
シンディ「ねえ、お姫様抱っこして?引きずるよりそっちのほうが楽でしょ?」
「分かった。」
シンディ「貴方は何だかんだ文句は言うけど最後には甘えさせてくれるのよね。」
「そうしないと君は張り手を打ってくるだろう。」
シンディ「!!!・・もう、そんなことはしないわよ。」
「そうか。」
彼は静かな声で返答する。そしてそのままシンディの膝裏と背に腕を回し持ち上げる。
「・・・。少し太ったか?」
シンディ「こうやってデリカシーが全くないことをストレートに言ってくるの貴方らしいわ。好きな人相手には変わるのかしら?」
「さあ、どうだろうね?」
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