86<誰かが言われたかった言葉>
前回のあらすじ
彼は結構物覚えが良い。
シンディ「何よ!!!ちょっと可愛いからって調子に乗ってこの世は自分のものとでも言いたい訳!!!」
「・・・・。シンディ、君にはそう見えるか。」
シンディ「どういう意味よ。」
始原の加護持ち3人「「「・・・。」」」
3人は彼がどう答えるか気になるのか無言で彼を凝視している。
「少なくとも喧嘩腰しかも身分が低い人間に対する態度としてはかなり抑えた態度に見えるけどね。」
シンディ「それは!!!彼女たちが・・・彼女たちが・・!!」
「シンディ、始原の加護の持ち主は世界を守るために強制的に命をかけさせられることになる。だからこそ色んな面で優遇される。それが世界に出来る彼ら彼女らへの唯一の誠意なんだ。
シンディ、君は多分5年後も普通に生きていると思うが、彼女たちは5年後に己が生きてるかどうかすらわからないんだ。彼ら彼女らにとってはこのような下らない些細な時間ですらとても貴重な物なんだ。
何が気に入らないか分からないが、どうしても気に入らないというのなら距離を置くのが一番いいだろう。馬が会わない人というのは存在するからな。」
彼は優しく静かな声を出した。
パトリシア「あ・・・・・・・・。」
リサ「・・・・・・・・・反則よ。」
モニカ「・・・本当、反則ですよ。」
シンディ「煩い!!!!何よ済ました顔しちゃって!!!!」
シンディは偶然一番近くに居た聖女に襲いかかる。
彼は雪月白桜を鞘ごとシンディに向ける。
シンディ「え?」
彼は鞘をシンディの首の薄皮を一枚切ったところで止めた。シンディの背後では護衛と思われる人物達が武器を構えている。ついでにパトリシアも剣を抜いている。
「聖女リサ・サンクトゥーロ様。彼女には貴女様を害する能力はありません故・・どうか、どうか、寛大な処置を・・・。あの刑だけは御勘弁を彼女には酷です。」
彼は真剣な声で懇願する。
シンディ「え?ジョン?」
リサ「・・・・・。シンディ・ドゥハン。始原の加護を持つ者として命じます。ニヘル・ドゥハン及びエレーヌ・ドゥハンと話をしたいので同行下さい。ジョン、村長の家まで案内をお願いします。」
「了解しました。・・・ダメだったか。」
シンディ「・・・・。」
護衛は表情が抜け落ちた顔でシンディを凝視している。
「シンディ・ドゥハンさん。頼む。返事をしてくれ。頼む。」
**「・・・・。」
護衛はまだギリギリ堪えているようだ。
シンディ「・・・。了解しました。」
彼は鞘を引いた。鞘の表面にうっすら血が付着している。
パタン。シンディは腰が抜けたのか、その場に座り込んでしまった。
「・・・。俺が彼女を運びましょう。そうすれば変なことも出来ないでしょうし。」
リサ「お願いします。」
「シンディ。横抱きするぞ。」
シンディ「ジョン、違うの。そんなつもりなかったの。」
「それは村長宅で話そう。」
彼はシンディの膝の後ろと背中に腕を回して横抱きする。
モニカ「・・・・。」
パトリシア「・・。」
リサ「・・・・・。」
3人は彼の背中を凝視している。彼は何かを感じたのか身じろぎしている。
「この状態なら流石に危害を加えようとは思わないはず、警戒は不要だとは思いますが、判断はおまかせします。怪しいと思ったら俺ごと斬って構いません。今の俺の行動が貴女方を油断させるためのカモフラージュと言われても否定する事が出来ませんので。」
**「・・・・。」
名も無き護衛達の雰囲気が柔らかくなった。
リサ「・・・・・。護衛に命じます。武器を下ろしなさい。」
モニカ「同じく私の護衛に命じます。武器を下ろしなさい。」
彼を先頭に一行は村長宅に向かう。
シンディ「ねえ、ジョン。私どうなっちゃうの?」
「それは俺には答えられない。これは意地悪ではなく分からないというのが正しい。あと、君の場合はあまり余計なことは話さない方が良いかもしれない。」
リサ「・・・・。」
この会話を最後に無言となった一団は村長宅に着いた。
ニヘル「ジョン?一体どうしたんだ?」
「村長、なんと言ったらいいのか・・シンディさんが聖女様に襲いかかりました。」
ニヘル「な!!!」
村長は目を見開きながら青ざめた顔をしている。
「聖女様が村長とエレーヌさんとお話したいとのことです。」
ニヘル「聖女様・・・・ど、ど、どうぞこちらへ。」
リサ「ジョン。」
「はい。」
リサ「中立の立場として証人になって頂けませんか?」
彼は周囲を見回す。敵意や疑いを向けている者はいないようだ。
「分かりました。」
応接間には部屋の最奥に聖女、賢者、剣聖がすわり出口側にニヘル、エレーヌ、シンディが対面で座り、彼は中立ということで両者の間つまり机の脇に座った。
ニヘル「シンディが聖女様に襲いかかったというのは・・。」
最初に事実確認が行われた。ここでは特に両者とも揉めることはなかったので省略する。
リサ「ジョン。今までのやり取りで嘘はありませんよね?」
「はい、両者ともにその発言には嘘は含まれていません。」
リサ「では、処分についてですが・・・。」
室内に緊張感が走る。
リサはモニカとパトリシアと小声で何かを話している。
パトリシア「異議はないわ。」
モニカ「私も賛成よ。」
リサ「村長さん、宜しいですか?」
ニヘル「はい。伺いましょう。」
リサ「1つは法律に則り、シンディ・ドゥハンの斬首刑。これは災厄討伐前の始原の加護持ちを保護するため、この国だけでなく主要な国で共通の刑となります。」
シンディ「え!?」
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