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82<謹慎処分>

前回のあらすじ

彼は女神様の愚痴を聞いた。

彼がこう言った瞬間、女神?の雰囲気が変わった。


めがみ?「・・・へえ。あの娘は本当に愛されてるのね。できるだけ真似したつもりだったんだけど、仕草や口調だけではダメみたいね。」


彼女は静かに服を身につけ始めた。


「貴女様はいつもの女神様じゃないですよね?」


めがみ?「ええ、ちょっとあの娘は神のルールを破ったのでしばらくはお仕置きよ。」


「あの方は大丈夫なのですか?」


めがみ?「心配しないで。別に危害を加えるものじゃないわ。しばらくの間、外出を禁ずるだけだから。それにしても神の身を案じてくれる生物に会ったのは初めてね。あら、この格好だと話にくいかしら?本来の姿に戻るわね。」


女神の体が光り思わず彼は目をつぶった。


数秒後、光が収まったのを確認してから彼が目を開くとそこには


「貴女様は・・!!」


彼は立ち上がりセレスタ式で最敬礼をする。


「ル、ルミオ様!!こ、これはとんだご無礼を・・どうかお許しください。」


ルーミオ「クスクス。儀礼はセレスタ式なのに呼び方はハルモニーオ式なのね。まあ、どっちでも良いけど。」


彼の目の前には金髪金眼で白いローブだけを纏った非常に妖艶な第二級神様がいた。


ルーミオ「規則違反の神を連行するついでに加護がない人間に会いに来たのだけども・・」


ルーミオ様は彼の顔を覗き込む。


ルーミオ「あんまりかしこまらないで?オバサン話しにくいわ。普通に地面に座っていいわよ?」


「で、では、お言葉に甘えて・・。」


俺は腰を下ろした。


ルーミオ「フフフ。このままいけば貴方の魂は基準を満たすわね。最近のあの娘が浮かれているのも分かる気がするわ。」


彼はルーミオの言葉が理解出来なかったのか眉間にしわを寄せている。


ルーミオ「もしかしたら今の私の言葉が理解できないかもしれないけど貴方ならそうね・・遅くとも5年後には理解できているんじゃないかしら?あまり気にしないで頂戴。」


「5年後ですか?」


彼は怪訝な顔で復唱した。


ルーミオ「5年というのはあくまで例えなので遅くとも数年以内と認識して良いわ。ねえ、ノベロ。一つ聞いてもいい?」


「なんなりと。」


ルーミオ「1000年前、白い狐を保護したと思うけど。あれはどうして保護したの?あの時の貴方はあまり余裕のある状態じゃなかった様に思えたけど。」


「えっと・・。」


ルーミオ「安心しなさい。ここでの会話は二級神以上にしか見れないわ。」


「自分でも何故かわからないんですが、あの子の眼を見た瞬間、絶対に保護しようという気になったんです。すみません、あまり答えになっていませんね。」


ルーミオ「いえ、これ以上ない回答よ。フフフ。」


ルーミオはなぜかとても楽しげである。


「ルーミオ様?」


ルーミオ「もし、貴方の願いが叶ったらあのコに教えてあげて。きっと喜ぶと思うわ。」


「あのコ?」


ルーミオ「解釈は貴方に任せるわ。ところでノベロは何か聞きたいことあるかしら?加護判定以外で二級神が人前に表すのは1000年ぶりで結構珍しいのよ?制約に引っかかる事は言えないけど。」


「それじゃあ・・・あの女神様は何故俺にあんなに親切なのでしょうか?初対面の頃からずっとなのです。・・・油断すると勘違いしてしまいそうで困っております。・・とても可愛いし。」


ルーミオ「クスクス。フフフフフ。彼女が親切・・ね・・フフフフフ。」


「あ、あの?」


ルーミオ「ごめんなさいね。貴方を馬鹿にしたわけじゃないの。昔似たような事を言った生き物が居たなって思い出だしていただけ。制約には引っかからないけどこれは本人から聞いて欲しいわ。私が教えちゃうとあの娘拗ねちゃいそうだから。他にある?」


「加護がない人間は俺以外にもいるのでしょうか?」


ルーミオ「今は貴方だけだけど過去には何人かいたわ。」


「その加護なしの人物は災厄とは・・」


ルーミオ「彼、彼女は災厄とは対峙していないわ。災厄の討伐は本来始原の加護持ちの義務だもの。あの娘が貴方に頑張ってもらいたいのはもっと別の理由なの。私は立場上手助けできないけど、心情としては彼女に近いつもりよ。理由は話せないけどね。」


「そうですか・・。」


ルーミオ「他に何かある?」


「少し荒唐無稽な事でもいいでしょうか?」


ルーミオ「フフ、忘れたの?今、貴方の目の前にいるのはこの世界の二級神の内の一柱よ?」


「失礼しました。実はこの村にいる間、簡単な本を書こうと思いまして・・」


ルーミオ「あら、面白そうね。」


「特定の条件を満たした人物にしか読めない様にすることは可能でしょうか?」


ルーミオ「例えばどんな条件?」


ルーミオは質問には答えず違うことを聞き返した。


「俺と同じように加護を持たない人間だけが読めるような本です。それ以外の者には・・例えば白紙に見える・・とか。」


ルーミオ「・・・・・。」


「ルミオ様?」


ルーミオ「間違いなく貴方はこちら側の魂ね。」


二級神は静かな声で独り言のように呟いた。


「え?」


ルーミオ「貴方が死するときに善行度を少し使えばそう言った細工は可能よ。そうねえ・・消費するのは10文字ごとに1ぐらいかしら?」


「漫画絵の場合は・・?」


ルーミオ「情報量が多すぎるので、それはやめといた方が良いと思うわ。どんな絵を描くつもりか分からないけど、多分、あの子に会えなくなるわよ?」


「りょ、了解しました。ところで具体的には何をすれば隠せるのでしょうか?」


ルーミオ「隠したいところを心で念じておけば大丈夫よ。後は貴方が現世を離れるときに字数に応じて勝手に善行度が消費されるわ。」


「なるほど。ありがとうございます。」


ルーミオ「ではノベロ君。頑張ってね。あの娘はしばらく会えないけど貴方の行いはずっと見ているはずだから是非格好良いところを見せてあげてね。」


「はい!」


彼の意識が浮上する。




ルーミオ「・・・貴方は既に己の死を覚悟しているのね。本当に■■■■ちゃんは愛されているわね。」


彼がいなくなった空間を見ながらルーミオは独白した。




「む?朝か。もしかしたら今までの偶に夢に出てきたあの御方は女神様本人だったのだろうか?だとするならば15歳の夜に出てきたあのかなりエッチでキス魔な女神様は本物だったという可能性も微レ存・・・・イテ。」


壁に立て掛けた雪月白桜がコテンと倒れてきて柄の部分が彼の頭にあたった。


「さて、馬鹿なこと考えてないで、やることは・・・。」


コンコン。と音が室内に響く。どうやら玄関に誰かいるようだ。


「ん?」


聖女の声「早朝にすいません。」


今はちょうど地平線に日が見えてきたような時間である。


「聖女様?いかがしましたか?」


そう言いながら彼は雪月白桜を忍ばせる。


聖女の声「お顔を見せては頂けませんでしょうか?」


「聖女様はお一人ですか?」


聖女の声「ふう・・コホン。一人です。戸を開けて頂けませんか?」


彼は躊躇いがちに仮面をつけて戸を左手で少し開ける。


聖女「あ・・・。」


聖女は白いローブ姿で本当に一人で佇んでいた。杖も持っていない。


「聖女様、こんな早朝にどうかしましたか?宿に何か不満でもありましたか?」

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