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8<完全上位互換>

前回のあらすじ

彼は無罪だ。

-彼が封印された記憶に触れようとしています。重要事項にはノイズが付加されます。-


テルーオ歴■■■■年■■月■■日


女「さて、■■■・■■■■■■■■殿、何故呼び出されたか分かりますか?」


男「何故でしょうか?真愛なる■■■■■■■■■・■■■■・■■■■■■■■殿下。」


灰色のレンガ造りの部屋で男女が木製の円形の机を挟むように対峙している。机の上には何冊かの本が置かれている。男女の頭部はぼやけて認識ができない。


女「これらの本に見覚えはありますか?」


男「ん!?これは・・・な、なぜここに!?」


三冊の表紙には煽情的な格好をした美しい女性が笑顔で写っている。


『巨乳メイド、朝から晩まで貴方様のためにスケスケ衣装でご奉仕します。』

『万乳引力の法則-理論と実践』

『爆乳女家庭教師、深夜の個人レッスン』


女「これらの本はなんですか?」


女の声は決して大きくはなかったが、室内に妙に響いた。


男「あ・・いや・・これは・・そ、そうだ!!これは宰相殿から無理やり押し付けられたのです。直ぐに返却しようと思っていたんです。本当なんです。本当なんです。■■■■様!!!信じてください!!」


女「ジトー・・・・。」


男「・・・・。」


男は身震いをした。


女「では、これらをこの場で処分しても問題ありませんよね?不要なのですからね?」


男「え!?!?え・・っと・・俺には全く必要ないものですが、流石に借り物ですので勝手に破棄するのは良くないと思います。俺には全く必要ないものですが。持ち主の王宮騎士団長殿にも悪いと思います。俺には全く必要ないものですが。(早口)」


女「おや?さっきは宰相の物と言っていませんでしたか?」


男「え!?・・・あ!!!」


女「クレアード・チェーノ」


無機質な女の声が室内に響いた後、続けて鉄の鎖が彼女の腕に現れ、意志を持つかのように本に強く巻きつき、ビリビリ音を立てながらそれらを引き裂いた。


男「!”)#()()$=$)#=!!!」


男は奇声を発している。


女「あらあら、どうしました?まるで宝物が壊れてしまったような反応ですがどうしたのですか?私の■■■?」


男「すまぬ。わが友よ。君達を傲慢■■様の攻撃から守りきれなかった。無力な私を許してくれ。」


彼は床に両ひざと両手をつき変わり果てた姿となった友を呆然とした様子で見ている様だ。


女「・・・・。」


そんな彼を女は腕を組みながら無言で見下ろしている。


男「あ・・・いや・・・これはですね。・・そのですね。・・なんと言いますか・・自室に持ち帰って検討をさせて頂きた・・・。」


男は立ち上がりつつも痛いところを突かれた商人のようなセリフを言いながら後ずさる。


女「貴方には教育が必要みたいですね胸なんていうのは飾りなんです唯の脂肪の塊です良いですね歳をとったら垂れてくるんですお風呂で浮いてくるんですその点貧乳はそのような劣化は生涯に渡り絶対に起こらないのです人間は歳をとった状態の方が長いのですそれを考えると貧乳は巨乳の完全上位互換ということになるのですいいですね?(早口)」


女は長文のセリフを息を切らさず、句読点も用いず、噛むこともなく、早口で言ってのけた。


男「完全上位互換というのならばそこまで敵視なされずとも・・。」


女「何か言いましたか?私の■■■?」


男「貴女様が巨乳であろうとも貧乳であろうとも、俺にとっては最も尊い女性であるという事実は変わりません。」


女「な、な、な、またそうやって誤魔化す。」


女は両手の人差し指の先端同士を触れさせている。


男「■■なしの人間に特別な配慮をして下さる女性は貴女様以外にはいませんよ。とはいえもし貴女様が不安に思うのでしたら他の本も全て処分いたします。」


彼は先程までとは打って変わり真面目な様子で続ける。


女「・・・・。処分は不要です。私の下らない嫉妬で貴方の本を読めなくしてしまいましたね。ごめんなさい。」


男「いえ、俺にもデリカシーがありませんでした。」


女「せめてものお詫びとして今度町で夕食でもいかがでしょうか?■■■。」


男「喜んで。■■■■■■■■■様。」


女「フフフ。お時間をとらせましたね。用事はそれだけです。」


男「では、失礼します。」


男は無言で■■の部屋から出て静かにドアを閉める。


男「ふ~、危ない。ダミーだけで良かった。」



「ハッ!!・・・?何故俺は泣いているんだ?情けない男が苦しんでいるだけのつまらない夢だったが、悲しむような要素は無かったはずだ。」


いつもの木造の部屋で目を覚ました彼は顔をぬぐう。


「最近妙な夢ばかり見るな。新しい環境で疲れているのかな?」


コンコン


戸が叩かれる。


ユリ「お坊ちゃま、朝ですよ・・って。おはようございます。」


スレンダーなユリさんが室内に入ってきた。


「完全上位互換・・・・・か。」


ユリ「上位互換?お坊ちゃま?」


「・・・コホン。なんでもない。おはよう、ユリ姉。今日も綺麗だね。」


テルーオ歴4998年4月22日


先生「今日は全人類の敵である災厄についての講義を行う。」


**「・・・・・。」


内容が内容だけにクラスは静まり返っている。


先生「皆に質問だが災厄と聞いて連想するものは何だ?」


***「絶望の大鬼。」


***「黒い霧。」


***「自動回復。」


***「崩国の大蛇。」


***「獄炎の赤龍。」


***「絶望の白狐」


「・・・赤い目。」


先生「フム。みんな結構出てくるな。まあ、何と言っても有名なのは最初に誰かが挙げた絶望の大鬼だろうな。当時の世界人口を単体で2割まで減らした文字通りの怪物だ。記録によれば当時の勇者を始めとして始原の加護持ち達はまるで相手にならなかったと言われている。」


「名前は聞いたことはあるのですがどんな災厄だったのでしょうか?」

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