79<切り捨てた者>
前回のあらすじ
フリッツはヘタレだった。
「やあやあ、お二人さん。大変仲良くなってくれて何よりだ。」
ソフィア「ジョン!!!」
フリッツ「ジョン!!こ、これは!!」
二人は離れようとする。
「あ〜、ストップストップ。二人の仲を邪魔したいわけじゃないんだが、ソフィアにお客さんなんだ。対応して貰って良いだろうか?」
ソフィア「私にお客さん?」
「確かソフィアは下着を時々、都で売ってると言ってただろう?それについて始原の加護持ちの女性3人が興味を示したらしくてな。」
ソフィア「え?始原の加護持ちの方々?」
「ああ。あそこにいる御三方だ。姿絵は新聞で見たこと有るだろう?」
ソフィア「え!?本当に本物!?」
「ああ。本物だ。」
ソフィア「あ、あ、あ、どうしましょう。こんな格好で失礼じゃないかしら?」
ソフィアは己の服装を見下ろしている。
「ソフィ、大丈夫だと思うぞ。今日は公式の訪問ではなくプライベートみたいだからな。フリッツ、ソフィについてやってくれないか。俺は偉い人にかかりきりで疲れちまってな。ソフィが対応している少しの間だけ俺と交代して休ませてくれると嬉しい。」
フリッツ「おう。分かった。・・ジョン。今まで済まなかった。」
「おう、今度野菜でも分けてくれ。それで帳消しだ。」
フリッツ「ああ、必ず。」
彼は二人が使っていた木製ベンチに座る。
「ふう〜〜〜。疲れた〜〜〜。」
遠くではソフィアと3人が何やら話し込んでいる。その隣でフリッツが赤い顔をしている。
「下着のデザインでも話し合ってるのかな。」
しばらく話し合った後彼らは解散し、ソフィアとフリッツが彼の元へ戻ってきた。
「どうだった?」
ソフィア「一部在庫がないデザインを希望されたの。それが出来るまではこの村に滞在するみたい。」
ソフィアの言葉に彼は目を見開いた。
「ちなみにそれはどのくらいの期間が掛かりそうでしょうか?ソフィア様?」
ソフィア「なんで丁寧語なの?大体一週間ぐらいあれば出来るかな?あまり急がなくて良いとも言われたけど、多分忙しいと思うから早めに納品するつもりよ。」
「そうか。まあ、頑張ってくれ。」
フリッツ「ああ、そうそう、少し面白いことを聞いたぞ。ジョン。」
楽しそうにフリッツは彼に話しかける。
「なんだ?」
フリッツ「あの方たちはこの村での滞在中の護衛はお前に任せたいみたいだぞ。良かったな。あんな美女に囲まれ・・・」
ズ・・ドン!!!
と音がしたと思うとソフィアの右足が地面にめり込んでいる。恐らくソフィアが思いっきり踏んづけたのだろう。
フリッツ「ぬ!!!」
いい踏み込みだ。彼はそう小声でつぶやいたが幸い誰の耳にも届くことはなかった。
ソフィア「フリッツ。私ね。手に入れた物は絶対に手放さないタイプなの。もし浮気したら・・・チョン切るから。」
ソフィアはフリッツに向けて猟奇的な言葉を浴びせている。一体ナニをチョン切るつもりなのだろうか?
「これがヤンデレか。頑張れよフリッツ。ところであの人達に護衛なんかいるのか?今日は護衛という名の道案内だから理解は出来るけど明日以降は要らないだろう。そんなに広い村でもないし。」
一般的には彼女らは当代の人類最強の加護持ちの内の3人である。
フリッツ「まあ、その辺りは村長と話し合うだろう。ソフィ、誤解だ。」
ソフィア「ふん!」
ソフィアはフリッツをチラチラ見ながら顔を反らしている。フリッツはオロオロしている。
「二人共程々にね。・・・些細な切欠から永遠の亀裂に進展することもよくある事だろうしさ。」
彼は何を思い出しているのか少し遠い目をしながらぼそりと言った。
ソフィア「!!・・フリッツ。ごめんね。」
フリッツ「いいんだ。誤解を招くことを言った俺が悪い。ソフィ、許して欲しい。」
ソフィア「うん。本当にゴメンね。」
フリッツ「良いんだ。」
彼は二人を置いて3人に向かって近づく。
「とりあえずはこの村での目的はとりあえずは達したと考えて宜しいですか?後は時間が解決するでしょうか?」
パトリシア「ええ。ジョンさん。代表してお礼を言うわ。ありがとう。」
「・・・・。どういたしまして。剣聖様。」
パトリシア「・・・・。ジョンさんはどうして私達の事は役職で呼ぶの?トリシャって気軽に呼んでくれてもいいんだけど。」
「・・・・・・。勇者様に切り刻まれたくはないので遠慮しておきます。剣聖様。」
彼はほんの僅かな一瞬だけ真顔になり、その後口角を上げて剣聖にお道化ながら返答した。
リサ「じゃあ、私ならどうですか?特にそう言ったシガラミはないですよ?ジョンさんならばリサでいいですよ?」
「貴女方は貴族令嬢でもありますのでご容赦を。」
モニカ「ジョンさんは真面目ですね〜。・・・ねえ、ジョンさん。私慣れない長距離を歩いて疲れてしまったの、手を繋いでくれないかしら?」
モニカが手を握ろうとした瞬間に彼は反射的に後ろに飛び退く。
モニカ「え?!」
リサ「え!?」
パトリシア「え!?」
「・・・。昔読んだ本の一節に熟練の魔法使いや治癒師は杖を握る手の微妙な感覚から魔法の出力を調整出来ると書いてありました。その、災厄討伐後に握手する機会があればその時は喜んで応じたいのですが、今は勘弁下さい。賢者様。全人類の敵にはなりたくありません。」
彼はそんな本を読んだことはない。完全に口からの出まかせである。
リサ「・・・・。」
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