71<天国への片道切符>
前回のあらすじ
彼は顔にけがをした。
「あ、いや、レトローヴォ草も置いてあるんだね。差し支えなければ入手法を教えて欲しいな。ソフィ。」
ソフィア「実はセレスタの教会に行くと少しだけ売ってもらえるの。」
「・・・。教会で売っているんだね。」
彼の回答には一瞬の間があった。
ソフィア「あまりこれが役に立たないのが理想だけどね。」
「違いない。俺も大怪我しないように気をつけよう。」
ソフィア「最近品薄みたいだから値上げせざるを得ないわ。気をつけてね。」
「その品薄の原因って分かる?最近は大きな自然災害とかは起きてないですよね?」
ソフィア「ん〜、前回町に行ったときは、なんでもチエロのドラゴン地帯から大量に採取する専門の人が居たそうなんだけど、事故で亡くなったとかなんとか言ってたわね。」
「ちなみにその話を聞いたのはいつ頃?」
ソフィア「確かセレスタの街に行ったのは一週間ぐらい前ね。」
彼は怪訝な顔をしながら黙り込む。
ソフィア「・・・?どうしたのジョン?真面目な顔して?」
「・・・。いや、今後は不便になるなと思ってただけだ。気にしないで。ソフィ。」
ソフィア「そう、ところで仮面を幾つか持ってきたんだけど気に入ったのある?」
ソフィは鬼、龍、熊、犬、狐、猫、うさぎの仮面を持ってきた。
「その中だと狐が良いかな。」
何の因果か白い狐の仮面である。
ソフィア「被ってみる?」
「代金を払う前だけど良いのかい?」
ソフィア「ええ。私がつけてあげる。」
「ありがとう。ソフィ。」
ソフィア「どういたしまして。ほらついたよ。違和感ある?」
彼が選んだ仮面は顔の上半分を覆うタイプで食事には支障がない。又、サイズが丁度よかったのか視線も遮らない。
「丁度いいみたいだ。ところで幾らだろうか?」
ソフィア「廃棄予定だったからタダでいいわ。」
「あ、いや、さすがにタダとは行かないだろう・・・。」
ソフィア「そうねえ、じゃあ、時々でいいからこの店に来てくれない?別に何も買わなくてもいいわ。」
「え?」
ソフィア「・・あ。ごめんなさい。やっぱり嫌・・かしら?」
「言われずとも時々来ようかなと思ってたから、あまり対価になっていない気がしたんだ。」
ソフィア「・・・・・そんな事ないわ。」
ソフィは静かな声でそう告げた。
「そうだとよいのだが。」
店内にはうっすらホコリがかぶっている商品が多く、あまり売れている様子がない。どうやって生計を立てているのだろうか?
ソフィア「もしかして貧乏そうだなとか思っていない?」
「あ・・いや・・・そんなことは・・ない・・・ぞ。」
ソフィア「クス。その反応は殆ど答えているようなものよ。雑貨屋の方は正直趣味みたいなものなの。私には裁縫の加護があるからそれを生かして、時々セレスタに行って服を売りさばいているの。結構評判いいのよ?」
「さっき町に行くと言ってたのはその関係?」
ソフィア「そうよ。・・・・・。」
ソフィアはジトーとした目を彼に向けている。
「む?」
ソフィア「ジトー。」
何処かの誰かみたいについに口で言い始めた。
「商品をご自身では着ないのだろうか?貴女が着れば良い宣伝になりそうだ。」
今のソフィはかなり地味な格好をしている。
ソフィア「天下の往来で下着だけ履くわけには行かないでしょ?」
「え!?下着?・・それはまた・・」
ソフィア「あら?ジョンは私の下着姿に興味あるの?」
「そりゃあ・・・・って、これは何と答えるのが正解だ?」
ソフィア「・・・あら?貴方の本音が聞けると思ったのに残念ね。」
「・・・コホン。衣服の中でも下着に絞った理由を聞いても?」
ソフィア「クスクス。普通の服だと競合が多すぎて、私のような零細では勝負にならないから、ニッチなところで勝負しているの。」
「そうか。とても苦労しているんだな。」
ソフィア「ねえ、ジョン。村の外に行きたくない?」
「ん〜、しばらくは用事が思い浮かばないんだよな〜。ソフィは次回はいつ頃街に行くんだい?」
ソフィア「次回は一カ月後ぐらい。」
「そうか、まあ。日が近づいたらもう一度言ってくれないか?何か町で買いたい物が出てきているかもしれないし・・。」
ソフィア「そう?あまり期待しないで待っているわ。」
彼は雑貨屋を後にした。
ソフィア「ふう・・やっぱり素敵ね。特に顔が。もっと強引に誘った方が良かったかしら?いや、多分無駄よね。ああいう人って絶対に意中の人にしかそういう興味はないでしょうし。」
善行度690599(+50)
さて、ドゥハン村には一軒の居酒屋があるが、そこに彼の姿があった。飲み足りなかったのだろうか?
-居酒屋シグルド-
「こんにちは。シグルドさん。」
シグルド「ん!?誰だ!?・・声からすると新入りか?なんで狐の仮面なんかしているんだ?」
「ええ、ジョンです。少し顔が腫れているので仮面で隠しています。」
シグルド「それは災難だな。というかなんであれを4杯飲んでピンピンしているんだ?大人しくぶっ倒れておけよ。」
「ハッハッハッ。昨夜は夢の中で大層立派な九つの尻尾を持つ白い狐に出会いました。あれは神獣だったのかもしれませんね。正にあれは天国の様な光景でした。あのお酒のおかげかもしれませんね。酒の名前を『天国への片道切符』に変えたらどうでしょうか?」
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