69<相違点>
前回のあらすじ
彼にとって春の陽気のような日だった。
「顔を隠そうと思うんだ。」
彼は変なことを言い始めた。
白い狐「クア?」
「常に仮面を被ろうと思うんだ。そうすれば変に注目されることもないだろうし、知り合いに会ってもバレる確率が減るだろう。」
白い狐「クア♪」
一般に仮面をすると却って目立つのだが、不幸にもそれを指摘できる人物はここにはいない。
「君に肯定されると自信を持てるな。ところで仮面は何が良いと思う?」
白い狐「クア?」
「白い狐の仮面、白がなければ他の色にしようとは思うがどうかな?」
白い狐「クア♪クア♪クア♪」
「君の同意が得られて嬉しいよ。」
彼は周囲を見回す。相変わらず桜の木と遠くに山肌が見える。
「どうやら今日は剣聖からの襲撃はないようだ。ハハハ。あれがなければこの光景を君と見れたのかもな。ほら、綺麗な桜だ。」
白い狐「クア。」
「さて、ここは夢の中みたいだ。従って抜け毛のことは気にせず、心行くまで布団の中に入って欲しい。あの時出来なかった二度寝をしよう。」
白い狐「クア~~~~~♪」
彼の目の前には見慣れぬ天井が広がっている・・。
「ああ、新居だったな。・・さて、薪割りだ。」
彼は干し肉と野菜スープの朝食をとった後、隣の家に向かった。
ニヘル「おう、おはよう。ジョン。」
「おはようございます。ニヘルさん。」
ニヘル「シグ坊の酒をかなり飲まされていたみたいだが、体調は大丈夫か?」
「ええ、特に不調はありません。」
ニヘル「そりゃ良かった。さて、早速だが薪割りについてだ。」
その後、薪の場所、割った薪の置き場、規則などを教えてもらった。
ニヘル「1日人間3人分の重量を処理できれば理想だが、一人では難しいかもしれない。まあ、初日はどのくらい出来るか調べるつもりでやってほしい。」
「わかりました。」
ニヘル「俺は居間の方にいるから何かあれば呼んでくれ。」
「了解しました。」
ニヘル「・・・・・。」
「ん?何か?」
ニヘル「いや、何でもない。気にするな。」
ニヘルさんは去っていった。
それを見送り彼はナタではなく雪月白桜を構える。
「実戦で分かったことは俺は物量攻撃に弱いということだ。」
彼は刀を振り下ろし薪を真っ二つに切断する。
「普通の人間なら仲間と一緒に戦うことでスキを消すのが一番確実な方法だが、」
彼は再び刀を振り下ろし薪を真っ二つに切断する。
「残念ながら俺の場合はその方法は難しい。じゃあどうするか。」
彼はやはり刀を振り下ろし薪を真っ二つに切断する。
「あの時5人の騎士を一瞬で倒せた。もし、あの状態を常に展開できれば・・」
彼は今度は素早く刀を2回振り下ろし薪を4等分に切断する。
「いや、ああいう原理の良くわからない一時的なパワーアップに頼ってはいけないな。常に十全な状態で戦えるとは限らない。」
彼は次の薪に手を出す。
「薪は基本細いほうが使いやすい。」
彼は再び素早く刀を2回振り下ろし薪を4等分に切断する。
「ならば・・薪割りを斬撃を出来るだけ素早く連続で繰り出す訓練にしよう。そうすれば村人も助かるし俺も訓練になる。」
彼は再び・・・
二時間後
彼は次の薪を手に取ろうとして手が空を切る。
「む?薪が無くなった。」
気がつくと彼は一日分の薪を割り終えていた。
「参ったな。今日は進歩が全くなかった。まあ、しょうがない。兎に角ニヘルさんに報告しよう。」
彼が居間に向かうとニヘルは何やら本を読んでいた。
ニヘル「おう、ジョンか。調子はどうだ?それとも小休止か?みかんでも食うか?」
ニヘルさんは読書を一旦中止し、彼を見て尋ねた。
「みかんは別の機会にお願いします。全部終わりましたのでその報告に来ました。」
ニヘル「え!?もう終わったのか!?」
「はい、確認お願いします。」
ニヘルさんは彼と共に裏庭に確認に向かう。
ニヘル「うむ。確かにこれだけあれば村人全員に配れるな。これは約束の3銀貨だ。」
「毎度あり。では、俺はこれで。」
善行度690549(+50)
シンディ「あ・・・。」
「ん?・・おはよう。シンディ。」
彼は廊下でボサボサ頭のシンディと出会った。彼女は熊さんがかかれた寝間着を身にまとっている。
シンディ「見、見ないで。」
「ああ。まあ、今から帰るところだからご心配なく。」
シンディ「え?」
「ん?何だ?」
シンディ「えっと、私に何か言うことない?」
彼は一瞬考え込む。
「あまり呑み過ぎないほうが良いと思う。あと、二日酔いのときは水を多めに飲むと良いらしい。」
彼はどうだと言わんばかりに自慢気な表情している。
シンディ「ありがとう・・・。ってそうじゃないでしょ!!」
「ん?ああ、薪割りはもう終わったから。ご心配なく。」
シンディ「え!?もう終わったの!?」
「はい。では、これで。・・仮面でも探しに行くか。」
シンディ「ねえ、待って。」
彼が立ち去ろうとするとまた呼び止められた。
ちなみに先程からヘニルが二人のやり取りを何か言いたげな目で見ている。
「ん?どうした?」
シンディ「まず、こっちを見て。」
「あれ?さっき・・」
シンディ「いいから。」
彼はシンディを再び視界に収めた。寝癖はおおよそ直っている。
「で?何だ?」
シンディ「ほ、ほら、私を見て何か気がつくことない?」
「む?」
彼はかなり考え込んでいる。
「なるほど。」
シンディ「やっと気づいた?」
シンディは何かを期待するような表情を浮かべた。
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