68<異世界>
前回のあらすじ
彼は新しい女性に手を出した。
彼らが建物から出た辺りで意外な人から話しかけられた。
「はい、何でしょうか?フリッツさん。」
フリッツ「ソフィアと何処に行くつもりだ?」
「あ、そう言えば会場を出た時点で俺の目論見は成功しているな。お客さん、どちらまで?」
ソフィア「あら、それを女性に言わせます?深夜に男女が一緒に向かうところと言えば女の部屋しかないでしょ?・・・ポッ。」
フリッツ「ソフィア、駄目だ。そいつは言葉巧みに女を騙し不埒な事をするに違いない。」
言葉巧みに女性をダシにして、会場の片付けをサボる・・フリッツの言っている事は真実である。
ソフィア「あら、男女の同意の上なら問題ないはずよ。果たして貴方に口出しをする権利はあるのかしら?」
フリッツ「お、俺は幼馴染として・・・お前が心配なんだ・・。」
ソフィア「フリッツ・クライスト。私は貴方の家族でもなければ・・・恋人でもない。無理やり連れてかれているのならばともかくとして、私は自らの意思でジョンさんと歩きたいと貴方に言っている。私の事は放っておいて下さい。そもそもジョンさんに失礼だとは思わないのですか?」
ソフィアは声色を変えて告げた。
ソフィア「それに貴方を待っている人が居るみたいですよ。」
シンディ「フリッツ〜〜。こんなところにいた。今夜こそ私の彼氏になって貰うんだから!!ソフィアと裏切り者のジョンなんか放って於けばいいじゃない!!ほら、こっちよ。」
「裏切者って・・・・この村・・面倒くさいな・・・・。」
ソフィアは彼のセリフがツボに入ったのか肩を震わせている。
ソフィア「フフフ。お腹痛い。・・・貴方みたいなタイプがこの村に来るのは初めてね。」
「少し不安になってきた。」
ソフィア「逃げちゃ駄目よ?半年間はこの村の外に出るには誰かの同行が必要なんだから。」
「そう言えばそんなルールがありましたな。その時はお願いできますか?」
ソフィア「・・・・・。あら?本当に私でいいの?」
一瞬の沈黙の後、ソフィアは確認する。
「貴女が一番話が通じる気がするので。もちろん嫌でしたら無理にとは言いません。少なくとも半年間ぐらいはあまり積極的に外出する予定はありませんから。」
ソフィア「貴方って見た目と違ってなんと言うか・・真面目ね。」
「俺の見た目ってどう見えます?」
ソフィア「涼しい顔しながら女の子を食い散らかしてそう。」
「・・・ひどい。あんまりだ。」
ソフィア「って、ここが私の家よ。」
いつの間にか二人は村の端に来ていた。
「雑貨屋?」
ソフィア「そう。もし、何か変わったものが欲しかったら来てね。まあ、特に用がなくてもジョンさんなら歓迎よ?」
「そりゃ、光栄だね。暇なときには寄らせて貰うよ。」
ソフィア「む〜、それ、二度と来ない言い方。次はいつ来るの?」
ソフィアは腰に手を当ててご立腹のポーズだが、顔は笑顔だ。
「フフフ、じゃあ、明日寄らせて貰うよ。」
ソフィア「フフフ、ありがとう。じゃあね、ジゴロジョンさん?」
「え?ジゴロ?どうやら俺と貴女には大きな認識の齟齬があるようだ。どうだ、お互いこの差を埋める努力を・・」
パタン。扉は無情にも閉ざされた。
「明日誤解を解こう。」
彼は傷心した様子で夜道を通り自室に向かい過去最長の日記を記入し床についた。
「む?ここは?」
彼はあたりを見回す。見覚えのある木製の簡素な小屋に庭には大きな桜の木が一本生えている。記憶と違うのは季節が春であり、桜の花が満開であることぐらいである。
「俺の記憶では常に雪があった気がするが・・まあ、夢の中だからか」
**「クア・・・。」
彼が声の方に振り替えると狐がいた。
「ああ、君か。今日の夢は大盤振る舞いだな。おいで。」
白い狐「クア~~~~~♪」
「今日は嫉妬してくれないのか?俺はいろんな女の子と話ちゃったぞ?」
白い狐「クア。」
「女神様から聞いたけど、嫉妬してくれていたんだよな。この前はすまなかったな。だが君はもう嫉妬する必要はない。俺は地上の人間を信じ切ることができないからな。頑張っても上っ面の友人関係がせいぜいだ。」
白い狐「クア。」
「本当は悲しいことなんだろうけどな。なんだろう麻痺してしまったのかな。」
白い狐「クア・・・・。」
「今日な、人間の反応が全然違ったんだ。」
白い狐「クア。」
「目の色が少し変わっただけなのにな。前世の明日を信じて疑わなかったガキの頃を思い出してしまった。まるで異世界に迷い込んだみたいだ。ハッハッハッハッ。」
白い狐「・・・・・。クア。」
彼は白い狐を撫でる。
「他の人間は毎日こんな世界を悠々と何の対価を支払うこともなく生きてんだな。実に平和な世界だ。」
白い狐「クア。」
「加護なしで得したのは君やボロン師匠や女神様に会えたことぐらいかな。ん?こう考えると結構あるな。まあ、代償が少しデカすぎる気もするがな。」
白い狐「クア。」
「少なくとも昼寝していても火炙りにされそうになったり、剣聖が襲ってきたり、命を助けた人間に刃を向けられることは想定しなくても良さそうだ。」
白い狐「・・・・・。」
狐は彼の足に頭を擦り付ける。
「今日は、今のこの景色のように春の陽気の様な日だった。」
白い狐「クア。」
「ああ、分かってるよ。この状態は一時的なカゲロウのようなものだ。俺の正体がバレれば、一瞬で消える。異物への人間の冷たさは骨身にしみて知っているよ。まあ、それは君も一緒に体験したな。」
白い狐「クア。」
「ただ、この幻が続くと俺は堕落するかもしれない。」
白い狐「クア?」
「自惚れかもしれないが、村人の反応を見るにどうやら俺の容姿はこの時代の人間にとっては悪くはないみたいだ。」
白い狐「・・・。」
狐は足を甘嚙みする。
「おっと怒らないでくれよ。俺が信用できるのは君と女神様とボロン師匠と・・あとは・・・動物ぐらいだ」
白い狐「・・・・クア。」
「話を戻すとだね、だから、対策としてだね・・・・」
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