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66<魔王ノベロ>

前回のあらすじ

彼は村中の少女(10~80歳)から黄色い声援を浴びた。

酒瓶を持った男たちがやってくる。


フリッツではない茶髪の男「シアさんの許可がでたぞ!!この気に入らない新入りを潰すぞ〜!!というわけでシグさん特製のこれを飲んでもらおうか!!」


彼の杯に透明な液体がなみなみと注がれる。


「シアさんはシンシアさんの事だろうけど・・シグさん?」


そんなことを言っている彼に一人の男が近づく。


黒髪の男「この宴の酒は全て俺が提供している。いいから呑め、新入り。」


彼は一瞬何か覚悟を決めた後、意を決して飲みほし、あっけにとられたように男の方を見た。


黒髪の男「お〜〜!!新入り!!!良い飲みっぷりだ!!ん〜なんだ?このシグルド様の特製の酒に文句あるってか?ああん?」


「・・中々強いですが美味しい酒ですね。シグルドさん。」


シグルド「中々見どころあるじゃないか。だが、今日はお前はみんなの玩具だ。」


「え?」


シグルド「おい、お前ら飲み比べだ。新入りはこれを飲み続けろ!!お前ら新入りに負けるなよ!!」


「「「「ウッス!!!」」」



女の声「恒例の行事が始まったわね。もし危なそうになったら止めてあげて欲しいわ。」


男の声「何故、俺に言うんですか?」


女の声「愛娘を裏切ってまでソフィアと二人きりにしてあげたのよ?それぐらいお安い御用でしょ?」


男の声「う・・・・。はい。」


女の声「よろしい。」


紅眼の彼の知らぬところで、そんな会話が離れた所で行われていた。



さっきの茶髪の男「おい、新入り、調子に乗るなよ!!シンディちゃんはな俺が餓鬼のときからずっと狙ってきたんだ。彼女の事を何も知らないぽっと出のお前なんかには負けられない。というわけで勝負だ。俺が勝ったら手を引いてもらおう。」


「あ、ハイ。」


彼は茶髪の飲むペースに合わせて一緒に杯を空にする。


茶髪の男「な!シグさんの酒をそんな涼しい顔をして飲み干すとは・・無念。スマン。シンディ、君をチャラ男から救えなかった。・・悪役っぽい事言って場を盛り上げろ。」


バタ。


茶髪の男は最後に助言めいたことを言い残して倒れた。


青髪の男「クッ!!フランツがやられただと!!・・お前の代わりにシンディは俺が救い出す。新入り勝負だ!!」


どうやらさっき茶髪はフランツと言うらしい。


「コホン。良い度胸だ。名も知らぬ戦士よ。全身全霊の覚悟で我にかかってくるが良い。フランツとやらの仇を見事とってみせよ。・・・こんな感じか?」


口角をあげながら彼は低い声で悪役っぽいセリフを言う。


**「お〜〜〜、言うね〜〜。いいぞ〜いいぞ〜、パウル〜〜、やっちまえ〜〜〜。」


彼は先ほどと同様に新しい挑戦者の飲むペースに合わせて一緒に杯を空にする。


青髪の男「馬鹿な!!シグスペを3杯目だぞ!!!なんで平然と・・・・無念。スマン、シンディ、フランツ。この化け物は俺には無理だ。」


青髪の男は沈黙した。


彼はシグスペと呼称された酒を観察しながら首をひねっている。


赤髪の男「む?どうした新入り?顔色が悪いようだが?フランツ、パウル、どうやら貴様らの犠牲は無駄ではなかったようだ。今こそジョンを俺が倒し、シンディのスパイシーな匂いがするパンツを嗅ぐ権利は俺の物だ。」


シンディ「え?時々下着が減ってることがあるけど・・。アイツが犯人?っていうかスパイシーって何!?」


「パンツ?」


なんと今度の挑戦者は変態のようだ。


赤髪の男「というわけで勝負だ。新入り!!」


「パンツは要らないが、その意気や良し。見事我を倒してみせよ。」


彼は新しい挑戦者の飲むペースに合わせて一緒に杯を空にする。


赤髪の男「馬鹿な・・・。本当にナニモンだ。コイツ。」


シンシア「もう馬鹿は貴方でしょ。イェンス?・・・シグ・・。」


シグルド「おう。」


ガシ。ズリズリズリ。


シグルドがシンシアの呼びかけに応え、赤髪の変質者を外に引きずっていった。水でも飲ませに行ったのかもしれない


「どうした?我に挑む勇者はもう居ないのか?君達のアイドルであるシンディの前で我を倒したくはないのか?シンディを取り戻したくはないのか?」


彼は結構悪役を楽しんで演じているようだ。


シンディ「キャ〜〜〜〜、誰か助けて〜〜、ジョンに食べられちゃう~~(棒読み)。」


フリッツ「おい。新入り。調子に乗るな。」


復活したフランツ「え?いつもスかしているフリッツが余興に参加しただと・・。」


「これはこれはフリッツさんではありませんか?先程はどうも。・・其もそこに転がっている勇者たちの仲間入りをしたいと?大変勇敢なことだ。だが、其方は勇敢と蛮勇の区別がついていないように思えるぞ?」


フリッツ「御託は良い、始めるぞ。」


シンディ「キャ〜〜、格好良い〜〜、フリッツ、ジョンなんか倒しちゃって〜〜!!!」


いつの間にかシンディがフリッツの横をキープし抱きついている。


彼はフリッツの飲むペースに合わせて一緒に杯を空にする。


フリッツ「クッ、シグさんの酒は相変わらずおかしな度数だ。」


「やるではないか。当然、まだ行けるのだろう?勇者フリッツとやらよ。」


彼は全く酔っていないようで普段の顔色で挑戦者を煽る。


フリッツ「抜かせ。当然だ。」


彼はシンディをチラリと眺める。視線が会ったが特に反応はない。


再び彼らは一緒に杯を空にする。


フリッツ「う・・。クッ。キツイナ。」


彼は再びシンディを眺める。彼女は首を横に振っている。


「・・・・。グ・・・。見事だ。・・・勇者フリッツ・・・・よ。其の・・勝ちだ。」


彼は芝居がかったセリフとともに大げさに大の字に倒れる。


***「お〜〜!!!スかした野郎だと思ってたがやるじゃねえか!!フリッツ見直したぞ〜!!!」


倒れながらも彼は前世のあの日以前の様なとても良い笑顔をしていた。


シンディ「フリッツ〜〜〜、あ〜〜〜、いい匂い。クンカー、クンカー、クンカー、クンカー。」


フリッツ「シンディ、鬱陶しいから離れろ。」


「駄目だ、フリッツさんそんな事言っちゃ駄目だ。女の子相手には「いと厭わしいのでお離れ下さい。甚だ煩わしいです。」と丁寧に言わないと・・・」


彼も結構酔っていたようだ。


シンディ「嫌・・・・・だった?」


フリッツ「嫌とは言っていない。」


どうやら彼のセリフは聞こえなかったようだ。


シンディ「じゃあ、今夜ずっとひっついてる〜〜。いいよね?」


フリッツ「・・水を持ってきてくれ。そしたら少しなら良い。」


ふと床に転がっている彼の頬にガラス製のコップを当てる者がいた。


シンシア「ご苦労さま。ジョンさん。」


シンシアが水入グラスを頬に当てていた。どうやら水を飲めということらしい。


「シンシアさん、ありがとうございます。」


シンシア「どういたしまして。」


「シンシアさん、この酒なんですが・・。」


シンシア「ん?どうしたの酔いが回ってきた?お姉さんが膝枕してあげようか?」


「あ、いや、それは大変魅力的なお誘いですが・・膝枕は別の機会にお願いします。この酒は毎回新入りに振る舞われるのでしょうか?」


シンシア「そうだけど。どうかした?」


「いや、何でもないです。」


女性の声「えっと、ジョンさんであってますか?」


彼の背後から女性の声が聞こえた。

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