65<女の敵>
前回のあらすじ
彼は以前訪れたことのある村に潜入した。
「あの建物か。」
二人は村長宅に戻った時、村長は庭で盆栽を弄っていた。
ヘニル「ん?もしかしてもう終わったのか?」
「全部仕留めました。」
シンディ「父さん、干し肉作りたいんだけど回収用の袋ってどこに置いたっけ?」
ヘニル「物置入ってすぐ右だ。ジョンには報酬を渡そう。」
彼は600銅貨を手に入れた。
善行度690499(+200)
「毎度あり。」
ヘニル「あと、ジョンには鍵を渡そう。半年ほどはそこの青い建物に住んでもらう。」
「わかりました。ではまた。」
シンディ「ねえ、ジョン。」
彼は自分の部屋に向かおうとしたらシンディに呼び止められた。
「はい?」
シンディ「まだ仕事って見つかってないよね?」
「ああ。明日ゆっくり考えようと思っている。」
シンディ「ねえ、父さん、話してもいい?素人目にも彼の剣技は凄かったわよ。」
ヘニル「どうせ駄目と言ってもお前は話すだろう。」
シンディ「うん。ねえ、ウチで仕事しない?」
『うん。』じゃねえ。と村長が小声で言っている。
「どんな仕事?」
シンディ「薪割り。さっき見せてくれた剣技、薪割りにうってつけな気がするのよね。」
「ちなみにどのくらいの量?」
シンディ「村人全員分だから重さで言うと平均で1日人間3人分ぐらいかな?季節によって増減するけど。」
「結構な量だな。今までシンディ一人で割っていたのか?」
彼はシンディを観察している。健康的ではあるが女性としては標準的な体格であり難しそうである。何か専用の加護があれば事情は違うのだろうが。
シンディ「普段はセレスタのギルドに頼んでまとめて割って貰うんだけど、最近セレスタの方で何か大きな事件があったらしく人が来ないのよね。」
「どんな事件なんだ?」
シンディ「やっぱり興味ある?何でも人に化ける魔物が出たとか何とか。」
「・・・・。え!?」
シンディ「まあ、そういう反応になるよね。」
彼の反応には一瞬の間があったが、シンディは気にしなかったようだ。
「見分ける方法はあるのだろうか?」
シンディ「何でも黒髪で赤い目をした男で端麗な容姿をしているそうよ。」
「端麗の情報はいらん気が・・?まあ、要は黒髪紅眼の男に気をつければ良いんだな。いや、人に化けられるなら自由に容姿を変えることも出来るのかな?」
シンディ「そういう噂もあるけど、17年間変えていなかったそうだから特定の人物にしかなれないんじゃないかという噂の方がよく聞くよ。」
彼は少しホッとしたような表情を見せた。
「物騒な世の中だ。で、話は戻って薪割りだけど引き受けるのはやぶさかではない。」
ニヘル「おい、シンディ。タダ働きさせる気か?報酬を話してないだろうに。」
シンディ「結構な重労働だから一日5銀貨でどう?」
おおよそ一日3銀貨あれば平民は質素ながら生活はできる。
「う〜む。」
シンディ「少ない?」
シンディは少し困り顔だ。
「いや、少し貰い過ぎかなと思いまして。3銀貨でいいですよ。」
シンディ「え?」
「あまり新入りが貰いすぎると妬まれそうなので。」
ニヘル「なるほどな。分かった。」
「では契約成立ということで。」
シンディ「本当にいいの?」
「ああ。」
シンディ「ありがとう。あ、そうそう、今日はジョンの歓迎会だから。」
「え?」
彼はぽかんとした顔をしている。
ニヘル「新入りが入る度にやっているんだ。まあ、正直な所適当な理由をつけて酒を飲みたいっていうのが実情だがな。」
シンディ「ジョ〜〜ン!!」
彼は今シンディさんに抱きつかれている。
「シンディ、飲みすぎだ。」
彼は村の若い男達から親の仇を見る様な目で見られている。
シンディ「ねえ、ジョン、どうやったらフリッツを振り向かせられるの〜〜〜?教えてよ〜〜〜!!!」
シンディが意識したか定かではないが、この一言で彼へのヘイトは激減した。
「知らないよ〜〜〜、フリッツさんに直接聞いてきてくれよ〜〜。」
フリッツも当然会場内にいる。チラチラ彼らを見ているが、近寄ってくる気配はない。フリッツの隣には同年代ぐらいの女性の姿が見える。
シンディ「ね〜〜、ジョン、フリッツを嫉妬させたいから適当に私を口説いてよ〜〜。」
「なんだよ!!その意味不明な理論は!!」
シンディ「も〜、ちゃんと言ってくれるまで離さな〜〜〜い。」
彼は息を吸う。
「・・・。天使のように可憐な貴女様にこの様に熱い抱擁をされて俺は幸せです。願わくばこの一時が夢でなければ良いのですが。」
彼は真面目そうな表情を作り大変気持ち悪いポエムを作った。
シンディ「あ・・・!!!この顔で・・反則だわ・・!!」
シンディの顔は赤くなっているので恐らく成功なのだろう。
「「「「キャ〜〜〜〜!!」」」」
彼は村中の少女(10~80歳)に黄色い声援を浴びている。
とある女性「ねえニヘル。私も貴方にあんな事言われたい」
ニヘル「その・・誰もいないときにな。」
「さ、さあ、シンディさん。俺は約束を果たした。だからジョン氏に自由を返してもらおうか?」
引き続きフリッツは遠くからこちらを伺いながら隣にいる女性と談笑している。
シンディ「ん?貴方は今幸せなのよね?じゃあ、こうしててもいいよね。ほら結構効いているみたいだから、演技続行よろしく〜〜。」
傍目には全く効いているようには見えないが、知り合い目線だと違うのかもしれない。
「え!?」
***「おい、新入りのくせに生意気じゃないか。俺達のシンディに手を出すとは・・。」
彼は心底めんどくさそうな顔をしている。
ボブヘアの赤髪女性「ほら、シンディ、一人で独占してないで離れてあげなよ。私も新入りさんと話したいの。」
ボブヘアの女性はそう言いながらシンディを彼から引き剥がす。この女性は少し彼よりも歳上なようだ。
「ありがとうございます。えっと・・・。」
ボブヘアの赤髪女性「シンシアよ。よろしくね。色男さん。」
「初めまして、シンシアさん。ジョンと言います。」
シンシアは彼をフ〜ンとかヘ〜とか言いながら観察している。
彼は居心地が悪そうだ。
シンシア「ジョンは何処から来たの?」
「様々な街を放浪していたので何処からというのは回答が難しいのですが生まれはセレスタです。」
彼はまるで回答を用意していたかのようにすらすらと答えた。
シンシア「ふ〜ん。じゃあ、いろんな街でああやって女の子を引っ掛けているんだ〜。」
「ち、違う。そんな事は断じてしていない。あれは脅されたんだ。」
ソフィア「へ〜、じゃあ、シンディに言ったのが初めて?」
「あ・・いや,それは・・・・・。」
シンシア「はい。ギルティ!!」
「え?」
シンシア「皆〜、ここに女の敵がいるわ〜〜!!潰しちゃって!!!」
「え!?」
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