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52<その時彼は一瞬だけ無表情となった>

前回のあらすじ

とあるロリコンの誕生をここに記す

「・・というような感じだ。良いな。」


茶髪「いや、師匠・・あんなのできないよ。」


黒髪「どうやったらあんなのが思いつくんだよ・・。」


青髪「師匠、無理です。無理です。」


「ん?君たち何を言っているんだ?これはセレスタ語の授業だぞ?文法に気をつけろというお話だ。」


リサ「え?」


「あと、あの例文だけど、あれは聖女様と同じ覚悟をもつ者が言わなければ何の意味も持たない言葉だ。俺のような軽薄でなんの責任も持っていない嘘から生まれたような人間が言っても、ただの空虚な言葉にしかならない・・ですよね?聖女様?」


彼は眼を細め口角を上げた表情で聖女を見る。


リサ「・・・。答えにくいことを聞きますね。」


「先ほどのお返しです。ああ、返答はいりませんよ。俺は結構傷つきやすいので。」


子供たち「難しくてわかんないや。」


「それが分かるようになる時は君達が苦難に陥ったときだろうから、逆に言えば一生分からないのが理想の人生だ。」


子供たち「「「で、でも師匠みたいなことを言えないと・・。」」」


「君たち、目的と手段が逆になっている。こういうポエムを言うことが目的ではないはずだ。どんな手段でも良いから合法的な方法で欲しいものを手に入れるのだ。この授業はその手段の一つに過ぎない。まあ、その前提でコツを言うと相手をよく観察することだ。例えば相手が何に興味を示すか、どんな経歴を持っているか、どんな癖を持つか、朝、何時に起き、最初に何をするか、最初に体を洗うのは右手か左手か・・ヘブア!!!」


彼は再び聖女様にビンタを食らった。


「な、な、な、なぜ・・?」


リサ「今度はストーカーの授業ですか?少なくとも国語の授業からは離れていますよね?」


「あの~ですね。その~ですね。何と言いますか~。自室に持ち帰って検討をですね~。」


彼はどこかのエロ本が見つかり目の前で処分された哀れな男と同じ様な言い訳をしている。


リサ「もう・・。算術の授業にして下さい。それなら変なことにはならないでしょう。」


「「「やだ〜〜〜。」」」


「・・・君達、算術も捨てたもんじゃないぞ。例えば君達が物を買う時は知らず知らずのうちに税金も払っているわけだが、1銅貨未満は切り捨てとなる。・・つまりお金の払い方によっては得する状況が存在する。具体的には・・もが。」


今度はリサ様の手によって口をふさがれた。


リサ「教会に属するものとして聖職者の一員として脱税の方法を教えさせるわけにはいきません。もう、真面目にやって下さい。」


「・・俺は真面目にやっていますよ。勉強には動機が必要です。最初は勉強するとなにか得するぐらいの不純な動機でいいと思うんです。そのうち勉強自体が楽しくなるでしょうから。あと、脱税ではなく節税です。」


リサ「・・・。」


黒髪「師匠の授業は面白いよ?リサお姉ちゃん?時々不思議な例えが出るけど・・。」


「ほら、彼らもやる気に満ちている。じゃあ、節税の方法を・・。」


リサ「駄目です。じゃあ、歴史にして下さい。昨日何か調べていたようですし。」


「しょうがないですね。歴史なんで先達に敬意を払い真面目にやりましょうか。君達少し退屈かもしれないが、我慢して欲しい。」


リサ様は部屋から出ていく様子がない。


「リサ様やエリザちゃんも聴講希望ですか?」


リサ「ええ。」


リサ様は俺まっすぐ見て静かに答える。


「まあ。分かりました。う~む、災厄についてにしようか。」


俺は1000年前に受けた災厄の講義を覚えている限り再現した。


「まあ、前回の災厄から100年経っているし、こうしてリサお姉ちゃんみたいに始原の加護持ちも出てきているので、黒い霧の濃度が高いと言われる土地には近づかないようにね。そのうちリサお姉ちゃん達が倒してくれるのでそれまでは旅行は控えようね。まあ、もしかしたら災厄が出ない可能性もあるけどね。」


女の子「災厄ってお兄ちゃんと同じ赤い目なの?」


「ああ、俺は見たことはないが、そう言われている。」


リサ「・・・・・・・。」


妙な雰囲気になってしまったが、彼は構わず続ける。


「今言った通り、一般的には加護がない者は魔物または災厄と呼ばれている。そしてそれらは目が赤い事が多いらしい。」


リサ「・・・・。」


「17歳の判定の日に加護が出ない者はどのような気質であっても例外なく死刑判決となる。例外なくね。それがこの国の法律であり、他の多くの国でも同様だ。専門用語では加護法と呼ばれているね。」


子供たち「「「「・・・。」」」」


「聖女様、何か付け加えることはありますか?」


孤児院の外で物音がした。


リサ「いえ、特にありません。・・どうやらお迎えの馬車も来たようですし、今日はここまでですね。」


「じゃ、皆、またね。」


女の子「うん。」


「「「うん。また。」」」



「まあ、まだあまり慣れていませんが、なかなか面白かったですよ。」


帰りの馬車内で彼は楽し気に聖女に話しかける。


リサ「貴方は・・もし・・・。」


リサは対照的に無表情で俯いている。


「ん?」


リサ「なんでもありません。忘れて下さい。」


「そうですか。」


その後、二人はセレスタに着くまで無言であった。


リサ「軽薄な人からあんな言葉が出てくるはずがない。大嘘つきで本当に憎い人。」


彼と別れた後、教会の私室でリサは独り言ちた。




彼は最近漸く慣れてきた宿舎で目覚める。


「休日か。何か面白い依頼でもあれば良いのだが。」


彼は洗濯をし、部屋を出たところで顔見知りのシスターさんと出会った。


シスター「おはようございます。」


「おはようございます。セフィリアさん。」


シスター「今日は休日ですが・・そんな旅装でどうしたのですか?」


「ギルドで何か良い依頼でもないか確認しに行くところです。」


シスター「・・・。貴方は働き過ぎなんじゃないかと時々心配になります。」


「自分のためにしていることですので・・ですが、暖かい御言葉ありがとうございます。」


シスター「その貴方自身のためという一点だけは詳細を教えてくれませんね。」


「・・すみません。」


シスター「良いんですよ。無理に聞こうとは思いませんから。行ってらっしゃいませ。」


「ありがとうございます。では。」



シスター「もし紅い目でなければ人間だと勘違いしてしまいそうですね。容姿もいいし・・。」



カランカラン。


彼はいつものようにギルドの戸を開ける。一瞬中にいた同業者達が彼を見たが、興味を失ったのか内輪の会話に戻っていく・・というのがいつもの光景だが今日は様子が違う。


**「む?」

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