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51<ロリコン>

前回のあらすじ

ノベロは子供達に浮気の有害性について説いた。

**「早く続きをお願いします。」


「出来れば違う立場で出会いたかったヒトかな。・・・こんな感じでいいですか?リサ様。」


リサ「あら、気づいていましたか?」


「貴女も人が悪い。」


リサ「忘れ物をして取りに戻ったら面白そうな事を話していたので。つい。」


リサはそう言いながら白墨を2本持っていく。


リサ「聞きたいことは聞けましたので邪魔者は退散します。」


パタン。


リサは俺の返事を待たずに帰っていった。


「さ、思わぬ邪魔が入ったが続きといこう。」


茶髪「師匠、凄いですね。」


青髪「うん。うん。」


黒髪「全く表情を変えずにサラリと言うんですね。」


「そうかあ?まあ、コツは優先順位を考えることだな。」


茶髪「優先順位?」


「物事に順番をつけるんだ。」


黒髪「ん?ん〜?」


「なにか例えを出そうか。」


青髪「お願い。お願い。」


「例えば君達は歯医者は好きかな?」


「「「嫌い。」」」


異口同音である。


「まあ、そうだろうね。俺も極力関わりたくはない。」


子供たちは無言で続きを促す。


「でも、もし歯がズキズキして、眠ることすら出来なくて寝不足で死にそうな状態を想像してほしい。」


「「「やだ〜〜〜。」」」


「その極限状態で歯医者に行けば治るよと言われたら、多分君達は自主的に行くんじゃないかな?もちろん手持ちのお金で足りるとしてだ。」


「「「うん。」」」


「この場合、歯医者という場所は何も変わってないんだ。相変わらず近づきたくない危険な場所だ。変わったのは君達の状態だけだ。」


「「「うん。」」」


「多分君達はこう考えたはずだ。歯医者に行くよりも歯が痛いほうがヤダ・・とね。」


「「「うん。」」」


「つまり歯医者に行くほうが優先順位が高くなったということだ。」


「「「う。うん?リサ姉とのやり取りと同じなの?」」」


「ああいう言葉は少し恥ずかしいけど、あそこで黙ったら更に根掘り葉掘り追求されるだろう。なら、言ってしまったほうが良い。」


茶髪「え?師匠も恥ずかしいの?とてもそうは見えないんだけど・・。」


子供というのは無駄に鋭い。


「そりゃ、俺だって綺麗な人を相手にすると緊張はするよ。さ、俺のことはどうでも良いんだ。重要なのは君達だ。」


俺は黒板に白墨を当てる。


「さて、一応この授業はセレスタ語の授業だ。今から人の容姿を褒めるのに使えそうな言葉を羅列する。初めて聞く単語もあるかもしれないね。」


女神、天使、妖精、柳、桜、百合、雪、月、向日葵、貴き、凛とした、可憐な、綺麗な、美しい、唯一の、愛しい、・・・


「まあ、なんだ想像上の存在とか花の名前とかポジティブな形容詞とかの後は色のたとえだな」


碧海、真紅、癒瘡木のような、緑碧、白銀の、夕暮れのような、・・・・


「まあ、こんな感じか?」


茶髪「いっぱいあるね。」


「と、思うだろうけど、使う表現は決まっている。なぜなら・・」


青髪「なぜなら・・?」


「君達は浮気をしないからだ。ここに書いたのは色んな人を褒める場合の言葉だ。特定の人物用だったらかなり少なくなるはずだ。」


黒髪「・・ほんとだ・・。」


少年の一人は感動したかのように目をキラキラと輝かせている。彼が将来、詐欺にあわないか少し心配である。


「さて、実践だ。そうしないと覚えない。じゃあ、ルドルフやってみろ〜。」


ルドルフ少年は先ほど連行されたエリザちゃんにお熱である。


茶髪「む・・・コホン。・・・?師匠・・・・例が欲しいです。」


「む?そうだな。ルドルフはエリザちゃんだったよな・・・だとするならば・・・」


エリザの容姿の特徴は赤髪、茶色眼である。


またまた室内なのに風が吹いた。そして彼はやはりそれに気がついていない。


「俺はひと目見たときから君の癒瘡木ユソウボクのように意思が強く美しい茶色い瞳の虜なんだ。それと同時にときおり見せるその夕日のような鮮やかだが何処か寂しそうな赤い髪を見ると思わず愛撫したくなる。いつもは強気な君がもし辛い目にあったとき、誰にも頼りたくない時があるかもしれないが、それでも君を見ている人はいる。だから困った時は人に頼るんだ。もし、その頼れる人の中に俺が居たらそれ位以上の喜びは・・・・ヘブア!!!!!」


バチーーーーン!!!


彼が適当に気持ちが悪いポエムを適当に作っていると大きな音が適当に響いた。


リサ「あ、あ、貴方は一体何を子供たちに教えているんですか!!!それに言っている事が完全なセクハラですし、意味も不明です!!!このロリコン!!!!」


攻撃の主であるリサは顔を真っ赤にしている。


女の子「お兄ちゃん・・・もう一回言って~♡」


「聖女様、これは由緒正しきセレスタ語の授業です。たまたま題材として女の子の褒め方を使っているだけに過ぎません。・・そうだろ?君達!!」


彼は左頬にモミジ型の斑点を作りながら無駄なキメ顔で聖女に反論した。


「「「うん。」」」


リサ「貴方達も「うん。」じゃありません。」


女の子「エリザ、お兄ちゃんと結婚する〜〜♡」


「あ、エリザちゃん、これは授業の一環でだね・・。あくまで例えであってだね・・。」


女の子「・・・グス、グス、・・・うわ〜〜〜ん!!!」


「ルドルフ!!何を呆けている!!・・今が千載一遇のチャンスだぞ!!」


茶髪の男の子はすかさず泣きわめいている女の子に駆け寄った。彼は自分のミスを子供に押し付けることに成功したのである。字面にすると彼はとんでもないダメ人間だ。


リサ「ともかく、こんな将来のスケコマシを量産するような危険な授業は即刻中止です。中止!!!いいですね?聖女権限で中止です!!」


「聖女様本当に良いのですか?」


リサ「え?」


子供たちは示し合わせたかのように悲しそうな顔をしている。


リサ「う・・・。でも、ナンパな男性を量産するわけには・・・。」


黒髪「リサお姉ちゃん、駄目?」


青髪「駄目?駄目?」


茶髪「・・・そうだ。お姉ちゃんを題材にすればいいんじゃない?ね?」


リサ「ふぇ?」


女の子「駄目よ!!こんな腹黒聖女なんかにお兄ちゃんのあれは・・・キャン!!!」


聖女様は無言でエリザにビンタをした。音量が違うことからだいぶ手加減をしていたようである。


リサ「・・・。レトロヴェート。エリザさん何か言いましたか?」


聖女様はエリザに初級回復魔法をかけながら問いかける。


女の子「ヒ、ヒイ・・・。」


「・・サイコ聖女・・。」


リサ「何か言いましたか?」


「いえ、何でもありません。」


リサ「子供たちの言うことにも一理ありますね。じゃあ、お願いします。」


「え?」


リサ「え?じゃありませんよ。私が題材になると言っているんです。さあ、早く。」


聖女様は先ほどまでとは異なりかなり乗気なようである。彼は少し考え込むそぶりを見せる。


「え~、コホン。貴女様を形容する場合どうしてもその妖精のように可憐で儚げなお顔や黄金のように美しい金髪等に代表される様に煌びやかな外見に注目がされてしまうが、貴女様の魅力の本質はそんなところにはない。」


彼は先ほどまでの楽しげな様子からは一転して至って真面目な様子で始めた。


リサ「・・!」


「「「「・・・・・。」」」」


「貴女様は今でこそ聖女様という立場により戒律を重んじた清貧な生活を送られているが、本来は快活で自由に侍女から逃れて町中を勝手に探索するようなお転婆な気質であるように感じる。それを自分から望んだわけでもない義務を押し付けられ、それに不満を吐くこともなく、己を律し義務を果たそうとする。それは並大抵な覚悟ではできないことであり、尊敬に値する尊き御方だと思う。貴女様が公の場ではどんな存在に対しても丁寧な口調を崩さないのはその覚悟の表れなのでしょう。」


尚も真面目な様子で彼は続ける。


リサ「・・・・・。」


聖女様はいつもの朗らかな笑顔ではなく珍しく真顔であり、彼を無言で凝視している。


「「「「・・・・・。」」」」


「エリザちゃんが聖女様を腹黒いと思うのはしょうがない。立場ができると一つのミスで多くの人を路頭に迷わせることにもつながる。どうしても汚い部分まで考える必要も出てくるのだろう。決して誰かを傷つけたくてしていることではないはずだ。その立場ですら彼女が望んだわけではなく世界から押し付けられた物だしな。リサ・サンクトゥーロ様、貴女様は素晴らしい女性なんだ。」


聖女は少し赤い顔で彼を見ている。


リサ「・・・・・。」


エリザ「・・・リサお姉ちゃん。今までごめんなさい。」


リサ「いいのよ。貴女はまだ子供なのですから。」


聖女様は少し赤い目でエリザちゃんを愛撫している。


彼女らを静かに放置しながら彼は子供たちに向き直る。

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