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50<塗潰された神の言葉>

前回のあらすじ

彼は教会の下請け作業員になった。

勇者ジョン・ベルクナーは災厄を討伐した勇者としては珍しく手記を残していない。他の生存者も同様。唯一ケイゴ・ニノマエの手記だけがテルーオ歴5500年ごろまでは存在していたが今では紛失しており、この災厄については研究が進んでいない。



その他

この災厄に関連して人類の存続にとって重要な事柄があるので記載しておく。

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子孫達の良心にかけるしかないが、この記述が何者かに消されないことを祈る。



「先人の思いも空しく完全に塗りつぶされ裏の頁の文字も消えているが、果たしてなんと書かれていたのだろうか?」



討伐メンバーの略歴

ジョン・ベルクナー:生まれはレーグノ・・・・・(以下略)


「誰かが資料を消したせい故か、この災厄は妙に記述が少ないな。まあ、ともかくケイ兄は黒い狐型の魔物と戦った訳だな。」


彼は部屋に置かれた時計を確認する。


「閉館時間までに少し余裕が有るか?ついでに絶望の大鬼についても見てみるか。」



絶望の大鬼

史上最悪の災厄。文明の破壊者。



討伐メンバー

勇者ファン・シェンジェ、剣聖コ・ギオン、賢者ワン・チエ、聖女ダオ・リン、以下略(絶望の白狐と同様に討伐に各国の一般市民まで駆り出されたため正確な記録なし)



「この時代の始原の加護持ちの名前はなんというかなじみがない響きだな。さて、具体的には・・」



コンコン


開かれた入口のドアに敢えてノックする人がいるようだ。


「はい?」


リサ「また、お勉強ですか?」


「ええ、まあ。歴史の勉強を少々。」


リサ「そろそろ閉館時間なので退室お願いします。出した本はそのままでいいですよ?」


「え?片づけなくていんですか?」


リサ「はい。」


「助かります。それにしても聖女様が直々に雑用をこなすんですね。」


リサ「ええ、貴方はレトローヴォ草を供してくださる重要人物ですから。」


「ああ、なるほど。そんな大したもんではないんですけどね。」


リサ「まあ、それについては議論が平行線ですから今は脇において、ともかく明日はよろしくおねがいしますね?孤児たちが貴方の授業を待っています。」


「まあ、がんばります。リサ様。」


リサ「フフ。」



彼が置いた本は開きっぱなしになっており、偶々その頁の一説にはこう書かかれている。


彼の災厄については形ある資料が殆どなく様々な憶測があるが、この時代辺りから現在も数多くの国に存在する「加護法」に関する記述が見つかり始める。尤もこれより前の時代の資料は少なく、元々あったものなのか、この災厄のせいで制定されたのかについては憶測の域を出ない。



茶髪の男の子「来た〜〜〜〜〜、俺達の紅眼師匠!!!」


彼は今セレスタから大分離れたメルドという地方都市の孤児院に講師として訪れている。メルドの町はサンクトゥーロ領に属する。


「えっと、皆、こんにちは。」


黒髪の男の子「ほら、女子どもはさっさとどっかいけ!!授業の邪魔だ!!」


「女の子にそう言った態度はやめといたほうが良いと思う。後で必ず後悔する。」


茶髪の男の子「待って、待って、待って、待って、紅眼師匠。授業はまだ早いよ!!」


リサ「人気ですね。」


彼が育った孤児院では彼はまるで奴隷みたいな扱いだったが、一体何が違うのだろうか?


「理由は分かりませんが、そうみたいですね。」


女の子「え〜〜、やだ〜〜、私も紅眼お兄さんと話し・・授業受けたい。」


「エリザちゃん。そう言ってくれるのは嬉しいけど、君はリサお姉さんに教えてもらったほうが良い。」


女の子「こんな清純ぶった腹黒オバサンに教わりたくない〜〜〜。歳考えろ〜〜〜!!痛々しいんだよ〜〜!!!」


ピキッ!!!


室内に凄まじいプレッシャーが突如発生した。彼はリサ・サンクトゥーロ公爵令嬢様から若干視線を反らした。


リサ「エリザさん。まず貴女には年長者に対する儀礼から教えこむ必要があるようですね。・・・・・・来なさい。」


女の子「いや〜〜〜、助けて〜〜、お兄ちゃん!!!鬼婆に殺される〜〜〜〜!!」


「エリザちゃん。生きていると回避不可能な困難に直面することがあるんだ。そして君にとっては今がその時なんだろう。そういう時は腹をくくるしかない。まあ、頑張って。」


女の子「イヤ〜〜〜〜〜〜!!!」


パタン。


「・・・行ったか?」


茶髪の男の子「行ったみたいだ。」


黒髪の男の子「行った。行った。」


青髪の男の子「おう、バッチリだぜ。」


「で、前回から少し経った訳だが・・・お互いにバッティングはしてないな?これは重要な確認だぞ。」


「「「おう。そこは大丈夫。全員違うよ。」」」


「俺の記憶が正しいなら確かルドルフがエリザで、クリスチャンがカトリーヌ、リヒャルトがシモーヌだったと思うが変わりないか?」


「「「すげー、全部正しーよ。」」」


「一途なのは良いことだ。浮気は良くない。心変わりするにしても筋は通さないとな。不誠実なことをすると全身ぶっとい鉄の鎖でぐるぐる巻きにされて石畳の冷たい牢屋に放り込まれて刃物を突き付けられたりするからな。皆も気をつけような?」


茶髪「妙に具体的だけど・・師匠は牢屋に放り込まれたことあんの?」


「あ・・・!いや・・・俺じゃなくて知り合いの話だ。俺じゃない。うむ。」


黒髪「授業の前に紅眼師匠はリサお姉ちゃんの事どう思ってるの?」


青髪「気になる。気になる。」


「・・絶対本人には言うなよ?」


茶髪「言わないぞ。」


黒髪「・・・あ・・・・待・・」


一瞬だけ室内に風が吹いた。ちなみに彼の背中にドアがあり、当然そのドアが開いているかどうかは彼からは見えない。


「まあ、とても綺麗でかわいらしい女性だよね。」


青髪「あ・・師匠・・・。」


「ん?どうした皆?まるで俺の後ろに本人がいるみたいなベタな事言わないでくれよ?」


**「そうですよ。さあ、師匠、続きをどうぞ。」


「・・・そうだな。まさに聖女という感じで素敵な人だよね。特に大した用があるわけでもないのにわざわざ会いに来る信者も多いしな。」


**「それは一般的な評価です。師匠個人の想いは何でしょうか?」


茶髪「・・・・・・。」


「ん?どうしたルドルフ?」


**「ルドルフのことは脇において早く続きをお願いします。」

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