44<招鳥>
前回のあらすじ
洞窟探検
「はい、何でしょうか?」
**「護衛の方だけに緊急の連絡があります。」
「はいはい、今行きますよ。」
テントから飛び出ると彼以外の護衛の人たちも呼び出されたのか結構な人数がテントの外にいる。
レミリア「護衛の皆さん。急にお呼び立てして申し訳ありません。」
冒頭に挨拶した魔法使いの方が呼びかけている。
レミリア「洞窟内に強力な大型の魔物が現れました。間が悪いことに出口を塞ぐように存在しています。現在、騎士と魔法使いで応戦していますが、まだ倒せておらず旗色も悪い状態です。」
前置きが長いという事は碌でもない事態になっているのだろうか?
レミリア「現在、教師と相談中ですが、全員を護衛しながら突破するには騎士や魔法使いの数が足りません。よって、王国法に則り身分順に騎士と魔法使いを護衛にして避難となる予定です。」
「レミリア様、質問宜しいでしょうか?」
レミリア「はい、何でしょうか?」
「その強い魔物ってどんなやつなんでしょうか?」
レミリア「大型ドラゴン型の魔物です。災厄級より数段は劣りますが、それでも人間からすれば脅威です。」
ざわざわ。
ドラゴンと聞いて護衛達に動揺が走る。今回はドラゴンという生き物ではなくあくまでドラゴンを模した魔物だから『男だらけのストリップ大会』を開催しても見逃してはくれないだろう。
「その魔物はどのような行動をしますか?ドラゴンというと飛行、ブレス攻撃、魔法攻撃、爪によるひっかき等が思いつきますが・・。」
レミリア「地竜型なので幸い飛行はしません。魔法は確認されていません。それ以外は今貴方が言ったとおりです。」
護衛A「さっきの身分順に避難云々について、我々はどういう扱いになるのでしょうか?」
レミリア「立場関係なく純粋に身分順です。」
「学生最優先のほうが良くないですか?我々はあくまで護衛だ。学生を差し置いて我々が避難するのは何か間違っていませんか?」
レミリア「これは仕方がありません。」
この洞窟には現在、学生、教員、護衛、王宮魔法使い、王宮騎士をひっくるめておおよそ100人ぐらいがいる。
「それでは犠牲が大きすぎます。犠牲を減らす良い提案があります。」
レミリア「何でしょうか?伺いましょう。」
レミリアも罪悪感はあるのか彼の言葉に耳を傾ける。
「俺を囮にし、他の者が全員一気に逃げるのです。完璧に上手く行くか分かりませんが、犠牲は明らかに少なくなるはずです。如何でしょうか、フラーモ様。」
ざわざわざわ
護衛B「おいおい、マジかよ。狂ってるぞ、アイツ。」
レミリア「本当に宜しいのですか?貴方だって学生と殆ど変わらない年齢じゃないですか。」
レミリアは言葉とは裏腹に明らかに安堵した顔をしている。
「王国法に則ったところで俺はドラゴンと対峙する必要があります。ならば有効活用するべきではないですか?」
そういう彼はいつも通り真顔であり何を考えているか分からない。
レミリア「わかりました。貴方の提案を採用しましょう。」
「感謝します。作戦の決行は明朝でしょうか?」
レミリア「そうなりますね。」
「さて、俺は寝ます。囮に作戦会議は不要でしょうから。皆様、おやすみなさいませ。用があれば起こして下さい。」
彼は自分のテントに向かう。護衛達はその背中を無言で見送る。
護衛C「まるで彼は少しも恐怖を感じていないようだ。理解できない。」
レミリア「彼があの方が言っていた紅眼・・ね。本当に人よりも人らしい。」
「後ろから刺されるよりかは一人で対峙した方がマシだからな。」
翌朝。
「あ~、よく寝た。」
彼がテントの外に出ると全員勢ぞろいしている。
「ハハハ、スミマセン。護衛なのに寝坊してしまいました。こんな奴は護衛失格なのでドラゴンの餌にするべきでしょうな。ハッハッハッ。」
彼は真顔で戯けている。
セドリック「・・・・。」
パトリシア「貴方・・・・。」
モニカ「・・・・。」
「おや、ここ笑いどころだったのですが紅眼ジョークは高貴な方々には受けないみたいですね。じゃあ、フラーモ様。行きましょうか?」
相変わらず彼は真顔で戯けている。
レミリア「もし、なにか希望があれば可能なことでしたら協力します。」
「おやおや、お優しいことで。そうですね、もし俺の死体を回収したらあることをして欲しいのですがお願いできますか?」
レミリア「伺いましょう。」
「可能なら桜が見えるところに埋めて欲しいかな?あと、お供え物は化けネズミの油揚げと卵焼きでお願いします。」
セドリック「・・・・。」
彼の言葉に王子が何か独り言を言う。
レミリア「・・必ず。」
「あと、パトリシア・ラピーダ様。」
パトリシア「何?」
「言い忘れていたが今回の貴女様の案内および護衛についての依頼料は不要です。契約以外のことをしてしまうことになりましたからね。」
パトリシア「・・・・。」
「希望は以上です。おまたせしました今度こそ行きましょう。」
彼を先頭に洞窟を進む。一日目に各学生たちが討伐したからか魔物とは遭遇しない。直に入口手前の大部屋前に辿り着いた。
レミリア「この部屋にアレがいます。」
「了解。じゃあ、行きましょう。俺がドラゴンに切りつけますのでその間に逃げて下さい。」
彼は返事を待たず大部屋に突入する。
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