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34<蚊帳の外>

前回のあらすじ

ノベロは数日間、猫の尻を追いかけまわした。

「なんか変な夢を見た気がするんだが思い出せんな。まあ、気になるが仕方がない」


彼は普段の通りトイレ掃除に向かう。


「気のせいか?」


シーンと孤児院内は静まり返っている。


「今日は珍しく全弾命中している。」


彼はトイレ掃除の後、いつも通り朝食を用意しようとする。


「いや、気のせいじゃない。静かすぎる。」


彼は食事の準備を中止し孤児院内の見まわる。


「何故か俺以外に誰もいないようだ。」


彼は自覚はなさそうだが少し歪な笑顔のような表情をしている。


「今日はサボろう。」


彼は食事をとった後、書庫に駆け込んだ。それを咎める者は存在しない。


「む?これは?」


彼は動物の絵が描かれた本を手に取っている。


「え~、何々、狐の鳴き声は犬の様にワンもしくはクーンやコンコンというような高い声?あれ?」


彼は目を見開きながら頁をめくる。


「まあ擬音語だからな。続きは・・え~、夜行性であり、昼間は昼寝していることが多い。・・俺に無理やり合わせていたとしたら悪い事をしたのかもな。」


彼は頁をめくる。


「食性は肉食で主にネズミやうさぎや鶏に昆虫などを食す・・。狐の記述はここまでか。」


彼は本を戻した。


「他に何か面白い・・・、そういえばアレはどんな話なんだろうか?」


彼は書棚から真っ黒いハードカバーに紅い文字で題名が書かれた本を取り出す。


「傲慢王女の断罪・・これか?」


昔々、とある氷に閉ざされた王国がありました。そこには金髪金眼の国王に同じく金髪金眼を持つ王妃に二人の美しい容姿を受け継いだ金髪金眼の第二王女プルーナがいました。


プルーナは両親を初めとして周囲から愛され真っすぐに育ちました。物語はそんな彼女の16歳の誕生日から始まります。


**「第二王女殿下、おめでとうございます。」


誕生日パーティーは王城の一室を使って行われます。会場内には豪華な料理が用意され、国内の優良な貴族が集まり、口々に彼女に祝いの言葉を言ってくれます。


プルーナ「皆、ありがとう。」


髭を生やしたオジサン「ところで第二王女殿下はまだ婚約者がおられなかったと記憶していますが・・。」


プルーナ「フフフ。」


国王「おっと、ルージャ伯爵殿、その話題に関してはそこまでにして貰おうか?」


伯爵「これは失礼しました。」


王妃「ルナには愛する人と結ばれて欲しいと思っています。相手の事なんてお見合いなんかじゃわからないでしょ?だから学園でいい人を見つけて欲しいって思っていますわ。」


王妃がこのように宣言した途端、妙な静けさが場を支配しました。


伯爵「それはもしや伯爵以上でなくともということでしょうか?」


王妃「あら?そう聞こえましたか?フフフ。」



学園に入学したプルーナはとある人物に出会います。彼は平民ではありましたが容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能であり女子生徒から大人気でした。プル-ナ姫も直ぐに彼を大好きになり、オーロ君も美しいプルーナに惹かれていました。


ある昼休み、プルーナと彼ことオーロ君は学園の裏庭にある噴水の前であるベンチに腰掛けています。


そんな二人を遠くから令嬢たちが優しく見守っています。


プルーナ「今度の休日は一緒に新しい演劇を見に行きませんか?」


プルーナがオーロの右腕を両手で抱きつきながら優しい声で尋ねる。


オーロ「生憎演劇に行けるような経済的余裕がないのです。」


プルーナ「大丈夫。視察という名目で無料で見れるのです。平民から見た場合の感想が欲しいのですよ。」


オーロ「そういう事でしたら喜んでお供いたします。」


プルーナ「フフフ。」


女の声「あら?税金で勝手なことをしないで頂戴。」


突如、二人に割り込む声がした。


プルーナ「・・・!!」


オーロ「お前は・・・。」


銀髪の女「初対面の女をお前と呼ぶなんて、身分云々の前に人としてどうなの?」


プルーナ「お姉さま・・・。」


第一王女「あら、私の顔は覚えていたのね、ルナ。」


そこには意地悪そうに目が吊り上がった女が立っていました。


オーロはプルーナを庇うように前に出る。


第一王女「お名前を聞いてもいいかしら?」


オーロ「オーロだ。」


第一王女「オーロ・・オーロ、ああ、なるほど。フフフ、貴方、綺麗な顔をしているわね。・・・・・・。」


オーロ「ど、どういう意味だ。」


第一王女「貴方は本当に何者なのかしら?とても興味があるわ。」


第一王女は楽し気な様子でオーロを観察している。


オーロ「グ・・。」


プルーナ「だ、ダメです。いくらお姉さまでも彼だけは・・・。」


プルーナはその可愛らしい両頬を涙で濡らす。


ヒソヒソ。


遠巻きに見ている令嬢たちが何かコソコソと話している。


第一王女「貴女の教育係は一体何をしているのかしらね?」


プルーナ「何の事?」


第一王女はオーロに視線を向ける。


第一王女「金髪に茶色の眼で妙に容姿の整った男・・ここまでヒントがあるのに・・。」


オーロ「い、一体お前は何なんだ。ルナのこの怯え様・・いつもそうやって苛めているのか?」


プルーナ「オーロ、私の事は良いのよ。」


オーロ「プルーナ王女。」


プルーナ「でも、初めてルナって呼んでくれたね。」


オーロ「あ・・。」


第一王女「そろそろ茶番は終わったかしら?で、オーロ君の中では妹に真実を教えてあげることがいじめになるのかしら?」


プルーナ「オーロ・・・。」


プルーナはオーロの陰に隠れます。


オーロ「お、お前は可愛いルナに嫉妬しているだけだろう。」


第一王女「嫉妬?私がルナに?なんで?」


オーロ「両親に愛されないからって・・」


第一王女「・・・・。ルナ、一体貴女はどこまで話したの?疾く答えなさい。自分が何をしたかわかっているの?」


第一王女に初めて感情らしい物が現れた。


プルーナ「な、何って、普段王宮で何しているかだけだけども・・。」


第一王女「もし、何を食べたかだったら毒殺に利用できるわね?もし誰かとパーティーをしたら貴族の勢力図が変わるかもしれない。もし貴女がクシャミをしたら医者が一人首になるかもしれない。」


プルーナ「お、お姉さま?」


第一王女「何が言いたいのかというと、権力者のほんの些細な振る舞いで多くの人が右往左往する可能性があるの。もう一度聞くけど、そこの得体のしれない平民に何を話したの?」


プルーナ「得体のしれないって・・・オーロは良い人よ!!」


第一王女「貴女、一度でも悪い人に会った事ある?」


プルーナ「み、皆いい人よ。」


ルナはそういうが眼は何かを言いたげである。


オーロ「ルナ言ってやれ、お前が悪い人だと。」


第一王女「・・・はあ。好きにすればいいわ。」


第一王女はそう言ったきり・・くるりと背を向け立ち去った。


王子にフられた第一王女は怒りのあまり世界を逆恨みし、魔法の鎖を使って強大な魔物を飼い世界を滅ぼすことにしました。その魔物はとても強いため、ブランカネージョとセレスタは互いに協力して第一王女とその配下の魔物を討伐することにしました。



「え?学園モノから急に戦記になったぞ?一体何が起きた?」



両国の軍勢が第一王女と魔物を攻め立てますが、それでも魔物が非常に強く苦戦を強いられます。ですが、セレスタの王子が放った弓矢の一撃が魔物を操る魔法の鎖に命中し、第一王女は魔物を操ることができなくなります。


第一王女の制御がきかなくなった魔物は軍勢に向かって突撃をします。しかしながら、どんなに力があろうとも突撃するだけの魔物等怖くはありません。軍勢は魔物を落とし穴にはめ、弓矢で攻撃を続けます。魔物は抵抗しますが、次第にその動きを鈍らせ、漸く倒せる・・という時に空がまるで昼間の様に明るく光りました。



「え?超展開?」



人々が夜空を見上げると円盤状の物体が高速で飛んでいます。そこから地面に向かい光が照射されたかと思うと緑色に光る美女が立っていました。


麗人「あら?こんなところに居たのね?アナタ達二人はこの世界には少し勿体ないわね。」


そう言うと、魔物と第一王女に向かって手をかざしました。


魔物「!?」


第一王女「!?」


次の瞬間、魔物と第一王女は跡形もなく消えていました。


麗人「ふふ。精々、後悔しなさい。」


次の瞬間、緑の麗人及び空飛ぶ円盤は消失し、静かな夜空だけが残りました。


こうして、世界の滅亡を企んだ第一王女と魔物はいなくなりました。その後、セレスタの王子(なんと彼はオーロ君だったのです)はプルーナ姫と結婚し仲良く同じ墓に入りましたとさ。めでたしめでたし。


著 チェインマスター・オウカ


「なんか不自然に唐突に終わったが作者は途中で飽きたのだろうか?ともかくアイツらのやってた寸劇と内容が全く違うな。こっちがオリジナルなのだろうか?」


その疑問に答える者はここには存在しない。




「でも、魔物は鎖がなくなっても第一王女様の事は傷つけなかったんだな。」




彼は物語への興味を失ったのか本棚に戻し彼は別の本を読み始める。彼の背では黒い本は白く光り空気に溶けるように消滅したが、彼がそれに気がつくことはなかった。



それから5年後、15歳となった彼は今日も訓練の傍らギルドに通う。今日はどんな依頼があるだろうか?

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