14<家給人足>
前回のあらすじ
腹が減ったら虫を食え。
テルーオ歴4998年6月8日
先生「では、地理の授業を始める」
彼は青空の元・・ではなく、木造の教室で学友と共に席についている。季節は初夏を思わせるような少しだけ蒸し暑いそんな何の変哲もない唯の日常の一コマである。
「椅子に座っているのは物凄く久しぶりな気がする。」
ショウジ「ニノマエ?お前は何を言っているんだ?座学は毎日受けているだろう?それにさっきまで外国語だったじゃないか。」
「いや、まあ、そうなんだが・・ほら、なんとなく?」
ワタナベ「クスクス。ニノマエ君は面白いね。」
ショウジ「ワタナベさん!?俺は?俺は?」
ワタナベ「はい、はい、ショウジ君も面白いよ。」
先生「はい、そこ、雑談するな~。」
先生はそう言いながら板書をする。
先生「まずは我が国ハルモニーオだな。島国であるがゆえに海洋資源が豊富だ。後は鉱物資源はあまりないが、製造業が盛んだ。魔道具なんかも作っているが、世界的なシェアはごくわずかだな。政治体型は帝様を頂点にした独裁政治ではあるが議会制としての特徴も合わせもつ。」
「先生、災厄に関しては・・・」
先生「言い忘れていたが、災厄や加護については専門の授業で扱うからこの授業では深くはやらない。」
先生「で、海をはさんだ大陸にはいくつかの国がある。誰か当てるか・・・。じゃあ・・ニノマエ、何か知っているか?」
「フィーノです。」
先生「随分と小さい国を言ってきたな。特徴は何か思い浮かぶか?」
「地形的には山岳地帯が多く、これといった派手な産業はありませんし土地も決して恵まれてはいませんが、食料自給率がここ数十年100%を超え続けている安定した国です。我が国ハルモニーオと同様に桜が有名です。政治体制は王を頂点とした独裁です。」
先生「うむ、正解だ。じゃあ、・・・・今、目をそらしたショウジ、答えてみろ。」
ショウジ「えっと・・ニグラリベーロ?」
先生「少し変わったのをあげてきたな。特徴はなにか言えるか?」
ショウジ「その名の通り川が多い国です。えっと・・・後は・・絶望と名の付く強力な災厄が過去に1回出現しています。そのぐらいでしょうか?」
先生「間違ってはいないが・・・補足をしよう。産業としては観光業が盛んだな。商業はあまり特徴はない。あと、過去に強力な災厄が出たせいか独特な剣術や槍術などがある。この国も王を頂点とした独裁制である。この大陸には他にもいくつか国があるが・・、ワタナベ、何か思いつくか?」
ワタナベ「やはり何といってもセレスタでしょうか?世界最大の国で政治体系は王政です。産業は各種満遍なくといったところでしょうか?鉱物資源もあり、製造業も我が国と同じぐらい盛んです。あとは歴代最多の勇者出現率が特徴でしょうか?」
先生「正解だ。この大陸には後一個国があるが・・コバヤシ、分かるか?」
コバヤシ「えっと・・・・、あ・・・ブランカネージョでしょうか?」
先生「例の災厄以外に特徴は言えるか?」
コバヤシ「現地の方には申し訳ないですが、絶望の大鬼が発生したという以外には氷に閉ざされた地という事しか知りません。」
先生「事件と言えるのは2千年前にセレスタと戦争をしていた事ぐらいしかない国だから一般的にはそのぐらいの認識だろう。この国は鉱物資源が豊富だ。あと、やたらと古代の遺跡が多い。統一的な政治体制はなく地域ごとの長達による連合体に近い。細かいこと言えば切りがないが、大まかにはそんな国だ。」
そう言いながら先生は黒板の地図に大陸を書き足す。
先生「今まで挙げたのが近隣諸国だな。さらに海をはさんだ所には・・まずは・・デゼルト大陸にあるデゼルト王国だな。国の面積は広いがその名の通り多くの部分が砂漠であるので、人が住んでいるのは海岸沿いの一部だけだ。あと、さらに離れた大陸には多くの国があるが、我が国と関係が深いのはレーグノ王国だ。ここは魔道具開発が盛んだ。我々が日常使う魔道具の多くはこの国からの輸入品だ。ちなみにレーグノとセレスタは歴史的にあまり仲が良くない。」
「なんででしょうか?」
先生「元々セレスタを追われた人々が興こした国がレーグノだからな。千年も前の話だが、いまだにそう言ったのは根強く残っている。とは言え貿易なんかは普通に行われているし、観光客も普通に行き来している。」
「なるほど。」
先生「ということでテストには今日あげた国を出す。特に我が国ハルモニーオ、セレスタ、ニグラリベーロについては特徴についてもしっかり復習するように。」
キーン、コーン、カーン、コーン・・
終鈴が鳴り響く。
先生「今日はここまでだな。」
ワタナベ「ねえ、ニノマエ君」
「うん?」
ワタナベ「放課後、一緒に勉強しよ?」
「ああ。いいよ。」
ショウジ「な、俺もいいよな?」
「ああ。もちろんだ。ヒデ。」
**「俺も俺も」
**「私も私も」
「う、うん?」
コバヤシ「皆、ニノマエ君のノート目当てね。かくいう私も・・。」
「良し、みんなでやろう。」
彼は人気者である。
その後、特に大きな事件もなく約2年の月日がたった。
-とまり木の一体が他種族により破壊されました。-
-正式な過程を経て処理されたため、とまり木が持っていた善行度は無視されます。-
-猪族への罰則はありません。-
-彼が封印された記憶に触れようとしています。重要事項にはノイズが付加されます。-
テルーオ歴■■■■年■■月■■日
男「■■■■様。」
女「うん?な~に?私の■■■君?」
男「貴女に拾われて今日で3年ですね。」
女「そういえばそうね。どうしたの?愛の告白でもしてくれるのかしら?」
男「これを受け取って頂けませんか?」
男は赤い簪を差し出す。決して粗悪品ではないが、女が着ている青いドレスに比べると少し見劣りする。
女「これは?」
女は真意を知りたいのか静かに問い返す。
男「ハルモニーオの女性が良くつけている装飾品です。」
女「この国では珍しい品ね。」
男「この前の休日、偶々街で見かけまして貴女様の美しい■髪に似合うと思いまして購入しました。貴女様に受けた恩には到底釣り合いませんが、どうか受け取ってください。」
女「クスクス。有難く頂戴します。ねえ、私の■■■。」
男「なんでしょうか?」
女「つけて下さいませんか?」
男「よろしいのでしょうか?」
女「ええ。」
男「で、では失礼して・・・。」
ドンドン!!
彼が簪をつけようとすると扉を誰かにノックされる。
女「ハァ。本当に間が悪い。何かしら?」
女は不機嫌さを隠さずにノックをした人物に冷たい声をかける。
男の声「緊急事態との事で陛下がお呼びしています。どうか至急玉座の間までお願いします。」
女「分かったわ。身支度するから半刻待つように伝えて。」
男の声「了解しました。」
女「・・コホン。■■■、お願いね。」
男「後の方がよろしいのでは?」
女「今しか時間がない気がするの。お願い、私の■■■。」
男は静かに簪を付けた。
女「フフフ。フフフ。」
女は姿見を見ながらひたすら笑い声をあげている。
男「気に入って頂けましたでしょうか?」
女「貴方が店の前で5時間も悩んで選んでくれた簪ですもの。当然です。ありがとう。私の■■■。」
男「はひょ!?な、なんで知っているのですか?」
女「フフフ、女は少し秘密があった方が魅力的なの。あまり詮索しないで・・ね?」
男「あ、はい。」
女「さて、緊急事態との事だけども何かしら?」
女と男は重い足取りで部屋を出る。
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