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106<本当の幻>

前回のあらすじ

スカウトを受けた。


「む?空の上・・?このパターンは・・。」


白い狐「クア〜〜!!!」


あの狐が彼に飛びかかってきた。


「君は本当に可愛いな〜。」


俺はあぐらを組み狐を抱きしめる。


白い狐「クア♪クア♪」


狐は幸せそうに頭を擦りつけている。


「君と会うのは久々な気がするな。」


彼はふと狐の左前足が気になる。


「そういえば君の左脚って黒い斑点なんかあったか?あの日に君がやたらと気にしていたのは覚えているが・・。」


白い狐「クア?」


彼は狐を撫でる。


「多分君は単なる俺の妄想ではなく本物のあの子にも関わりがあるのだろうな。」


白い狐「クア♪」


「もう少しだ。もう少し。もう少しで君に名前をつける条件が整う。」


白い狐「クア〜〜♪」


「ついでにあの優しく美しい女神様の依頼も叶えないとな。」


白い狐「クア♪クア♪」


この子もあの女神様には好意的であるようだ。仲が良いというのは本当らしい。


「ところで君は人間たちについてどう思う?」


白い狐「・・・・。」


少し機嫌が悪いように見える。


「そうか。変なことを聞いた。今のは忘れて欲しい。」


白い狐「クア。」


「今夜も俺の意識が飛ぶまで一緒に居て欲しい。」


白い狐「クア~~~♪」


彼は狐を抱きしめながら横になる。


「久々に幸せな夢を見たな。・・・無事起きれたという事は今は毒殺や闇討ちをする気はないようだな。」


彼はテントの中で目を覚ます。彼の扱いは一般兵と同じ扱いで兵士達と雑魚寝をしている。


兵士A「おう、おはよ。って君は前線部隊だったな。もう一度生きて会えることを祈るぞ。」


「・・・。ありがとうございます。」


彼は朝食を済ませテントを出る。


なにやらとあるテントの近くで人だかりが出来ている。


リサ「セドリック様、流石に擁護が出来ません。」


モニカ「貴方様は勇者なのです。これは流石に・・・。」


パトリシア「待って、二人共、私のせいなの・・。」


彼はこっそり様子を見る。


パトリシアは妙に光っているが、


セドリック「・・・・・・。」


反対にセドリックがげっそりしている。まるで千年前のとある日のとある剣聖のようである。


彼はたまたま隣りにいた兵士に尋ねる。


「何があったんですか?」


兵士B「ああ、大声じゃ言えないんだが、勇者様と剣聖様が昨夜・・その・・・とても仲良くなってしまっていたらしい。勇者様は見てのとおりだ。」


「普段と違う環境で興奮して松ぼっくりが燃えるように燃え上がってしまったんですね。本当にいい御身分だ。あれ?でも、聖女様の回復魔法で治るんじゃないんですか?」


兵士B「あれはあくまで傷や病気を治すってだけらしいから栄養不足には効果ないらしいぞ。飯食って寝るしかないらしい。」


「へ〜、勉強になります。」


さて、世界の英雄様が無様な姿を晒しているが、どうにかしないとまずいだろう。と考えたのかは定かでないが、彼が人だかりの中に突っ込んでいった。


「え〜、我らが勇者様はどうしたんだ?」


リサ「・・・。あ・・その・・・。」


「勇者様は一体何発撃ったんだ?今度から早撃ち勇者様と呼んだほうがいいか?」


ブフッ!!どこかで笑い声と「アイツ誰もが言えないことを言いやがった。」という声が聞こえた。


パトリシア「・・・・。」


赤髪の幼馴染が凄い形相で彼を睨んでいる。


「まあ、冗談はここまでにしてどうするんだ?旅程が遅れれば遅れるほど、最前線で臣民達が死んでいくぞ?王子様〜?俺はどうでも良いと思っているけど、君はまずいんじゃないのか?」


セドリック「・・・・・・。」


「まあ、俺だったら置いて行けば良いんだろうけど、勇者様はそうは行かないよねえ。」


彼は周囲を見回す。


「誰か勇者様を運びたい人います?子孫に自慢できますよ〜。まあ、生き残れればですが。」


兵士たちは目をそらす。始原の加護持ちも見てみる。全員目を反らしている。パトリシアも反らしている。


「セレスタの未来はとても明るそうだ・・誰か俺の背嚢を代わりに運んでくれ。」


そう言いながら、彼は背嚢を降ろし、セドリックを背負った。



「おい、早撃ち勇者、しっかりしがみつけ。ずれ落ちるぞ。」


鎧は脱いで貰ったとは言え結構重い様だ。彼の歩みが少し遅くなった。


セドリック「・・・・。」


パトリシア「ねえ、セディ、ごめんね。」


パトリシアは時々セドリックに水を飲ます。


モニカが彼の服を掴む。


「ん?どうかした?」


モニカ「休憩しますか?」


彼は周りを見る。リサは少し疲れているようだ。


「そうだね。少し休憩しようか。」


彼はセドリックを岩に座らせ背嚢から水を取り出す。


「剣聖。俺の背嚢は重くないか?大丈夫か?」


パトリシア「・・・・。やたらと重いけど何が入っているの?」


パトシリアは一瞬だけ何か複雑な表情をした後、素朴な疑問を口にした。


「非常食に回復薬、後は水筒とか着替えとか地形図とかだな。」


パトリシア「へえ・・・・・。」


「まあ、至って普通で特別な物はないさ。」


彼はリサの様子を伺う。・・・おやつを口に含んで大分良くなったようだ。


リサ「・・・・・。」


ふとリサと彼の目が合った。彼女はボーッと彼を見ている。


「・・・・?」


そんな彼の裾を誰かが引っ張る。


「ん?」


モニカ「もう、行きませんか?あまり休むと体が冷えてしまいます。」


「そうだな。」


モニカ「・・・。」


リサ「・・・・。」


モニカとリサが顔を見合わせ、モニカが顔を横に振っているのが見える。


「まあいい。勇者、もうひと踏ん張りだ。」


セドリック「・・・・ああ。」


どうやら声を出せるぐらいには回復したらしい。


「・・・少しお腹出てねえか?訓練をさぼっただろう?」


セドリック「・・・・。」


背中に乗っているセドリックだけに聞こえる声量でつぶやく。


「まあ、多少太ってたほうが病気には強くなるらしいけどな。」


セドリック「・・・・。」


その後、何とかベースキャンプまで辿り着いた。


「あ〜、疲れた。って、食事の準備だな。」


兵士C「おう、黒髪。疲れてる所すまないが、じゃがいもを頼む。」


「はい〜。」

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