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104<呉越同舟>

前回のあらすじ

王様と人間の定義について議論をした。

モニカ「・・・・・。」


リサ「・・・・・。」


セドリック「・・・・・。」


パトリシア「なんで、貴方と同じ馬車なのよ!!!」


「いや〜、それを俺に言われても・・・。まあ、俺がいると愛しの王子様とズコパコパンパン出来なくて下半身がムズムズして落ち着かないのは深く同情するけど、それは俺のせいじゃない。文句はマルティン国王陛下へお願いします。」


パトリシア「人を淫乱女のように言わないで頂戴!!!ってそうじゃなくて!!」


彼はその髪色のように顔が真っ赤な煩い幼馴染から視線を外し、もう一人の金髪の幼馴染に向ける。


セドリック「俺達は過去殺し合いをした。なんでお前は普通に話せる?」


「そんな小さなことを気にするとは君はずいぶんと平和な環境で育ってきたようだな。羨ましい。今この瞬間は利害が一致しているんだ。それでいいじゃないか。」


彼は口角を上げている。


リサ「・・・・。」


モニカ「・・・。」


「それとも・・・第2ラウンドをお望みか?」


パトリシア「!!」


セドリック「・・・。今はやめておこう。」


「ま、そんな下らないことより、どうやって倒すかを考えよう。まず俺は災厄がどんな見た目なのかも知らないんだ。俺を囮にするにしても敵を間違えたら囮にすらならないだろう?」


セドリック「兵士からの報告によれば青い大型の狼の姿をしているらしい。」


「大型というのは具体的にどのぐらい?」


セドリック「リーダー格が人間5人分の体高、取り巻きが3人分。」


「デカいな。って、ちょっと待って複数いるのか?」


セドリック「取り巻きは確認されているだけで3体。」


「真っ当に戦うと前衛が足りないな。」


セドリック「ああ、だから志願兵を募った。」


「なるほどね。で、一体一体はどんな性質があるんだ?」


セドリック「彼らの攻撃は前足や牙による物理攻撃にブレスという名の氷の弾丸。それがリーダーを含めて4体。」


「攻撃魔法は撃ってこないのか?」


セドリック「報告にはない。」


「そうか、でも、確定するまでは撃てる想定のほうが良いだろうな。ともかくこれは大仕事だな。」


彼は天を仰いだ。


「ちなみにこちらの攻撃はどのくらい効果があったんだ?」


セドリック「斥候部隊に弓矢で攻撃してもらったが、毛皮に矢が弾かれ効果がなかった。その後、氷弾で反撃され・・部隊は壊滅。誰も傷をつけられていないから確かめられていないが恐らく自動回復能力もある。」


「要は防御もすごいってことね。」


リサ「セディの言うとおり絶望的な相手です。何故、貴方は志願したのですか?」


「あれ?以前言いませんでしたか?」


リサ「確か尊き女性のためとか何とか言っていませんでしたか?セディには違う理由を言ったようですが。」


「矛盾しているように感じているかもしれませんが、理由はある一つの目標のためです。まあ、解説する気はありません。興味があれば勝手に想像してください。」


モニカは無言で彼を眺めている。


っと、馬車の速度が下がった。


「ん?終点かな?」


兵士の声「王子殿下、馬車で移動できるのはここまでです。」


彼は馬車から降りる。パトリシアは自力で降りているが、リサはセドリックに補助をしてもらっていて、モニカが順番待ちになっている。


「・・・・。賢者殿、お手を・・。・・まあ、感覚が鈍りそうだったら無理にとは言わないが。」


モニカ「・・・・。」


モニカは無言で彼の手を取り降りる。


「あの辺りの森だけ不自然に凍ってるな。」


彼らは小高い丘にいて森を見下ろしている。遠くにはチエロと思われる山も見える。チエロのそばに羽ばたいているのはドラゴンだろうか?


セドリック「あの辺りに例の災厄がいるはずだ。」


パトリシア「結構遠いのね。」


兵士「途中、二、三ベースキャンプがありますのでそこで休憩しながら向かうことになります。」


「肉食の野生動物等は出るんですか?」


兵士「災厄にビビって逃げちまったから遭遇することはまずない。」


「そりゃ、助かります。」


彼は背嚢を背負う。


二時間後。


リサ「はあ、はあ、」


モニカ「はあ、はあ、」


後衛の二人が遅れている。キャンプ同士を結ぶ道は兵士が突貫で切り開いたものであり獣道より多少マシという状態だ。要はかなり歩きにくい。


「・・・。休憩しないか?俺は疲れた。」


彼は全く疲れた様子はないが、疲れたと主張している。


セドリック「またか?」


パトリシア「え?もう?」


「俺には加護がないんだ。君たちみたいな化け物じみた体力はないんだよ。」


セドリック「このままでは日没までにつかないぞ?」


「では、こうしよう。君たちは先に行ってくれ。目印があるから迷うことはないだろう。まあ、最悪、加護無しの男が遭難しても君達的にはあまり痛手ではないだろう。どうだ?」


パトリシア「セディ、そうしない?」


リサ「ま、待って、それは流石に・・私は彼とゆっくり行きます。」


モニカ「わ、私も・・・・。」


セドリック「二人になにかしたら承知しないぞ。」


「わざわざそんな面倒なことするか。」


幼馴染と兵士たちは先に行き、姿が見えなくなった。辺りには残った3人の呼吸音だけがする。


リサ「はあ、はあ、・・・・。」


モニカ「はあ、はあ、・・・。」


「もしかして二人共、腹減ってないか?」


彼は妙に楽しげな様子で尋ねた。

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