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100<余生の終わり >

前回のあらすじ

災厄が生まれたらしい

「魔石は王子様にとられてしまったよ。なんか重要な魔物だったらしい。」


フリッツ「おう、そうか、残念だな。」


「まあ、運ぶのが大変だったからあれで良かったのかもしれない。」


ソフィア「あら、いらっしゃい?今日はどうしたの?フリッツの言うとおり新しい狐の仮面を買ったのね。」


「ああ。ソフィの顔を見に来た。」


ソフィア「え!?」


フリッツ「む!?」


「フリッツ、そう睨むな。変な意味じゃない。明日からしばらく村をあけることになった。」


フリッツ「しばらくってどのくらいだ?」


「分からん。数週間で済むかもしれないが数年単位かもしれない。」


ソフィア「え?でも、どうして?」


どうやら二人は詳しい事情は知らない様である。


「王子様がとある国に赴くらしいんだが、それの同行をついさっき命令された。」


フリッツ「え?!お前、王子様と何の関係があるんだよ。」


「昔、食料を分けたことがある。」


正確には孤児院の夕飯を作らされたというのが正しい表現である。


ソフィア「訳がわからないわ。」


「まあ、いろいろと事情があるわけだ。そういう訳で遠征前に天使のように可憐なソフィアお嬢様の顔を目に焼き付けに来たというわ・・・ヘバ。」


フリッツは無言で彼の肩をグーで軽く殴った。


「な、何をする。フリッツ。」


フリッツ「こ、こ、恋人の前で口説くな。」


フリッツは照れたのか少し顔を赤くしながら抗議している。


「照れながら言われても余り迫力がないぞ。」


フリッツ「煩い。」


ソフィア「クスクス。」


「・・・・。」


彼は笑いながら二人を見ている。


ソフィア「ジョン?」


フリッツ「ジョン?そこまで強くは叩いていないはずだが?」


「二人共・・・。今までありがとな。」


フリッツ「おい、ただの遠征なんだろう?」


ソフィア「ジョン?」


「俺は君達を良い友人だと思っている。」


彼はフリッツに視線を合わせる。


「フリッツはあまり頑固にならないようにな。あと、素直にな。間違っても好きな女性に悪態をつかないようにな。」


フリッツ「・・・本当に、余計なお世話だ。」


彼はソフィアに視線を合わせる。


「ソフィアは・・・・。」


ソフィア「ジョン?」


「まあ、あまり彼を拘束しないようにね。」


ソフィア「・・・もう。」


フリッツ「・・・まあ、何だ。お前には感謝している。」


フリッツはソフィアを一瞬見ながら告げる。


「君が素直に礼を言うのは気持ちが悪い。」


フリッツ「お前な!」


ソフィア「ねえ。」


「うん?」


ソフィア「今だから言うけど、私にありがとうって言ってくれたのは貴方が初めてだったの。貴方にとっては何気ない一言だと思うけど本当に嬉しかったの。」


「・・・・。どういたしまして。」


彼は静かにゆっくりと何かの感情をこめるように返事をした。


フリッツ「・・・・。」


フリッツは無言で再び彼の肩を軽く殴った。


「明日俺はこの村を去るけど俺の部屋にあるものは好きに持っていって良い。後は・・そうだな、俺が帰って来た時は君達の子供を見せてくれ。茶髪になるのか金髪になるのかはたまた全く違う髪色になるのか大変興味がある。ハッハッハッハッハッ。」


フリッツ「ジョン!!!!」


ソフィア「・・・・もう!!!!」


二人の顔が真っ赤である。案外早く彼らに家族が増えるかもしれないが、その光景を彼が見る事は果たしてあるのだろうか?


「・・・・・・。さようであるならば。」


彼は後ろを振り返らず立ち去った。ソフィアとフリッツからは彼がどんな表情をしているかは見ることができない。


「思わず本当の事を言いそうになっちまったな。さて、次は夕飯を兼ねてあそこでいいか」


彼は居酒屋シグルドに向かう。


シンシア「あら、・・狐の仮面?ともかくいらっしゃい。ジョンさん。」


「こんにちはシンシアさん。」


シンシア「昼間は良く来てくれるけど、この時間は珍しいね。」


「まあ。偶には良いかなと思いまして。夜はどんなメニューがあるんですか?」


シンシア「ディナーコースがあるわ。ランチより高いけどね。」


「ん〜、じゃあ、このAセットで。」


彼は1銀貨を机の上に置いた。


シンシア「毎度あり。シグ〜、Aセットひとつ〜!」


シグルド「おう。少し待ってろ〜!」


シンシア「で、どうしたの?」


「明日からしばらく村から離れる事になりまして、この村でのサイゴの夜にシグルドさんの料理を食べておこうかなと思いまして。」


シンシア「あら、嬉しいわね。でも、明日って急ね。」


「まあ、王子様直々の依頼ですから。詳細は話せませんが。」


シンシア「そう。・・・タイミング悪いわね。」


「え?それはどういう?」


シグルド「おう、出来たぞ〜、って狐・・・もしかしてジョンか?」


「はい。ジョンですよ。・・今日も美味しそうですね〜。」


シンシア「シグ、ジョンさんって明日からしばらく村の外に行くみたいなの。」


シグルド「む、そうか。タイミング悪いな。まあ、しょうがないか。」


「何かあるのでしょうか?」


シンシア「今度ね私達結婚することにしたの。ぜひジョンさんにも式に出て欲しかったんだけども・・。」


二人の手には光るものが見える。


「なんと言うかタイミング悪いですね。まあ、ともかく、おめでとうございます。」


シンシア「フフ、ありがとう。」


「ちなみにプロポーズの言葉はどのような・・・。」


シグルド「料理が冷めない内に食べろ。ジョン。(少し早口)」


シンシア「クスクス。もう、シグったら。」


「後学のために知りたかったのですが、残念ですね。」


シンシア「もしそんなに気になるのなら帰ってきたらこっそり教えてあげようかしら?」


「・・・・・・・。ハッハッハッハッ、それはとても楽しみですね。また一つ帰ってくる理由が出来ました。」


彼の返答には一瞬だけ間があった。


シグルド「ま、待て、シア!!!変な約束をするな!!」


シンシア「あら、いいじゃない。減るもんじゃないし。」


シグルド「いや、何か大切な物が減る気がする。ダメだ。」


「ハッハッハッ、いろいろとご馳走様でした。」


シンシア「また、いらっしゃい。」


「ええ。出来るだけ早く帰って来れるように努力しますよ。・・・・・さようであるならば。」


彼は後ろを振り返らずに店を出る。


「最後は村長さんかな。」

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