ほしいもの
「ほら、見てみて!君にぴったり!」
嬉しそうに私に髪飾りを当てて笑うあなたは太陽みたい。
どうしてそんなに嬉しそうなのか理解できない私は、何も答えられないままぼんやり――対照的な天気だったあの日のことを思い出していた。
彼とまだ出会う前の、ひとりだったあの日。
その日は数日前から続く雨のおかげで人通りがとても少なかったっけ。
いつもの公園、止まない雨、冷たいベンチで体育座り。
それで良かった。それが良かった。だって涙か雨か、わからないから。
そんな日に私は、生きる意味も存在価値も分からないまま、間違いなくしょっぱさを感じる唇で吐き捨てるように呟いたのだ。
ねぇ、あなたはそれをどこで聞いていたの?
聞かなくて良かったのに。
どうして来てしまったの、こんな私のところに。
私には到底受け取れもしない、大きな大きな愛を抱えて。
呼んだのは間違いなく私のはずなのに、自分には見合わない愛に心がねじ切れそうだった。
神様、どうしてこんな時だけ叶えるの。
いつだって何も叶えてくれなかったのに。
喜びと幸せ、罪悪感、吐き捨てたくなるほどの甘ったるさとそんな自分に辟易する気持ち。
同じく抱えきれないほどの感情の板挟みで結局私はまた、今も動けなくなっている。
"だれか、あいしてよ、"
とっても似合うから買ってくるね、と楽しそうに上着を翻した彼に涙が出そうだった。
今日は隠すものなんて、何もないのに。




