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【完結】異世界から帰還したら、パーティーメンバーの女騎士(ポン)が付いてきた。いや何してんの?  作者: 環月紅人
第四話 女騎士の最高な一日

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おまけ VRではしゃぐ女騎士

 VR深海アドベンチャーで遊んでみたときの話だ。


「ぶいあーるとはなんでしょう?」


 んんシンプルな難問が来たな。

 これってなんて答えればいいんだ。


「あー……」


 どうせいまは待ち時間なので、言葉を尽くして説明してあげようと励む。考え事しながら話そうとするとどうも所在のない両手がふわふわと謎の輪郭を描いてしまってよくない。


「こう、目の前に俺がいたり物があったり、一つの空間があるとするだろ」

「は、はい」


 果たしてこのポンなセシリアにちゃんと説明してやる意義はあるのか疑問なところはあるのだが。これも現代知識を教える延長線上だと思ってトライする。


「それがこう、ゴーグルを被ると、目の前に別の空間が広がっているように見えるんだ」

「……?」


 ……………骨が折れそうだな。


「ええとだな、例えばあそこに揚げ物屋があるだろ?」

「ありますね。すごく美味しそうです」

「それがゴーグルを被ってみると、そうだな。異世界……アベリアの王城前に変わるんだ」

「何故?」

「画面を映してるっていうか……」

「……?」


 その無言で伺ってくるときのジッという顔やめてくれ。なんか恥ずかしくなってくる。

 少し投げやりになって大雑把に伝える。


「いま俺の世界にいるわけだけど、VRだとお前の世界に変えることが出来るんだよ」

「なるほど! じゃあ転移ということですか!」

「いや、そこにあるものは触れないんだ」

「ええ……?」

「あくまで見えるものが現実にあるものじゃない何かになるっていうか……」


 ぽこぽことクエスチョンマークを頭上に発生させるセシリア。俺が悪いのか彼女の理解力の問題なのか分からない。映像表現や技術が当たり前にある世界にあって、そのなかでVRという次世代技術を『科学の発展』として当然のように受け入れている側からすると、ゼロから説明してやるにしてもどこがゼロなのか、伝え方に悩むのだ。


「まあ、体験するのが一番か」


 最終的に根負けし、施設内の案内や指示を待ってみることにしたのだった。

 一番初めに通されるメイキングルームではヘッドセットの付け方を学ぶことが出来る。髪を縛っていたり髪飾りなどの影響で被れない場合があるので要注意。俺もセシリアも問題なく被ることが出来たが、被った瞬間に「うわっ」と派手に驚くセシリアがいて他のお客さんにくすくすとされていた。気まずい。


 座席に座りながら手元の操縦桿を握る。これは映像内で自分の行き先を好きに選択することが出来るのだ。

 テーマは海底遺跡の探索。駿河湾近郊から深海に潜る潜水艇に搭乗して、時に4D要素の演出がリアルな体験を味わわせてくれる。

 様々な深海生物との遭遇も目玉だ。


「めんだこぉ……!」


(VRだけど)メンダコと奇跡の再会を果たすセシリアの小さな喜びが隣から聞こえてきて、俺の探索は正直、あまり落ち着かないところがあったりした。



「面白かったですね!」

「シーラカンス怖かったな。ぐわああって来て」

「そんな場面ありました?」

「ルート選択の違いか?」


 それか見落としの可能性もある。VRという主観の関係上、一度に全体を見られるわけじゃないので、左の景色を気にしすぎていると右に深海生物が通過していることなどままあったのだ。

 そのあたり、セシリアとこうやって感想戦が出来ることを考えると、一人で来るよりも楽しめる部分が多そうである。


「あぁー、まだ視界が慣れない……」


 VR酔いで俺が眉間を揉み込んでいると、やけに余裕そうなセシリアが覗き込んできてジト目で見る。


「ぶいあーるまたしてみたいですね」

「まあ、気に入ってくれたなら嬉しいよ」


 なんで俺よりVRの適性があるのか意味分からんが。

 いやはや、セシリアは末恐ろしいのである。


「ところでVRがどういうのかは分かったか?」

「幻術ですよね。トーキマスがする感じの」

「……ああ、幻術か……」


 なるほど。すごいスッキリした説明。

 確かに。これなら異世界人でも分かりやすい。


 ……………。

 なんだよ。

 最後の最後に、一杯食わされたような気分になってしまうのだった。

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