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【完結】異世界から帰還したら、パーティーメンバーの女騎士(ポン)が付いてきた。いや何してんの?  作者: 環月紅人
第三話 女騎士とごはん

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おまけ わさびを食べる女騎士

 焼肉屋でのちょっとした話。

 席を立ったセシリアがしばらくして上機嫌で帰ってきたなと思ったら、どうやら新しいサラダ皿を持ってきたようである。


 レタス、ブロッコリー、たまねぎ、枝豆。それからスイートコーンにヤングコーン。ごくごく定番といったサラダバーのメンツで、その選択は別にいいのだが、問題はそのドレッシングだ。


「わさび? にしてみました!」

「ああ……」


 しまったな……。自分の皿を見下ろすと食べ切ってしまっているのに気付く。味見させてやる約束だったのに、普通に俺食べてしまったらしい。


 別にそれを惜しがることはなく自前で持ってきてくれたのは助かるが、それはそれとしてご機嫌なセシリアを俺は心配した目で見る。


「言っとくが辛いぞ」

「大丈夫です」


 嘘つけ。堂々とお前は……。前に唐辛子でひぃひぃ言ってただろお前。パーティーメンバーのなかで一番騒がしかったのを覚えている。

 ジッとした目で静かに見守る。

 だいたい展開は読めている話だ。


 フォークでサラダを取り、ドレッシングの匂いを嗅いでみて、うすらと(おや……?)みたいな顔をする。何かおかしいことに気付いたか。

 それでも意を決したように、セシリアはぱくりと口にする。

 一口咀嚼して「ンッ」と硬直し、おいおい……と俺が見守るなかで、ことりと静かにフォークを置く。

 口許を抑えて、


「へぅぅ……!」


 へぅぅってなんだよ。


「……これ飲めこれ飲め」


 妙な断末魔をあげるセシリアに苦笑して、コップを差し出す。すごい涙目だ。コクコクと頷いて受け取られる。当然ながらドレッシングなので、わさびをそのまま口にするよりは全然食べられる範疇だとは思うが、辛味を抑えているわけじゃないし、ツーンとは来るものがある。

 慣れてなきゃ辛いとは思うけど……。


 セシリアの顔がめちゃくちゃ面白い。面白がってる場合じゃないんだろうが。


「ああこれ食べちゃダメなやつです……!」

「いやいや食べていいやつだわ」


 ムリムリといったふうに首を振るセシリアに笑う。

 本当に辛かったみたいだ。意気消沈してハー、と息を吐きながら、甘いスイートコーンばかりをちまちまと突いて口直しを図っている。


「貰うよ」

「いえ、大丈夫です……」


 本当に大丈夫なのかお前。

 せっかくの楽しい焼肉で、ただのわさびドレッシングに囚われてほしいとは微塵も思わないんだが……。

 それなりに意固地になってしまっているみたいで、ドレッシングの掛かっていない部分を食べたり、ドレッシングを切ろうと野菜を持ち上げてみたり。試行錯誤しながらつらそうに食べるセシリアがいる。

 心配だ。無理しないでほしい。


 ……そういえば。


「じゃあ赤と緑どっちがいい?」

「何がですか? 赤でお願いします」

「口直し。……言う前に答えるじゃん」


 タブレットを操作してシャーベットアイスを注文する。赤はりんご、緑はメロンで、りんご味を一つ注文。

 カップアイスの形を取るので、単品かつ持ってくるだけのそれは大した時間も掛からずにすぐ届く。


 セシリアが手間取る前に蓋を開けてやり、ほら、と言ってアイスを食べさせてやった。

 一口ぱくり。反応は、


「んぅぅ……!」


 ……………。こいつはあほなのかもしれない。

 お次はキーンとなった顔をしてやがる。


「痛いです……」

「でも甘いだろ」

「甘いですけど……」


 複雑な顔だ。でもアイスはセシリアの口に合うはず。

 こめかみに手を当てながら、口を結んで身悶えるセシリアに俺は辟易とした面で見守る。

 本来ならどっちも普通に美味しいはずなんだけどな……。

 謎に散々な目に遭うセシリアだ。

 もっとも、彼女らしいとも言える、賑やかなそんなひとときでもある。

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