【第8話】リーダー『村上春花』
全くどうしたらいいのか。
学校中だけでなく、登下校中も話はできない。
さすがにあいつらの家に上がるわけにもいかない。
もう諦めるべきなのかもしれない。
そりゃそうだ。まだ転校して2日目で4人の女子と喋っているという状況がおかしい。
ましてや、全くタイプの違うYouTuber相手なんだ。
もう諦めよう。
━━ブー
携帯だ。
[春花さんから新着メッセージが1件あります。]
どうやら春花のようだ。
「なになに…」
[みんなで話し合った結果、みんなの家で交代制で優多に来てもらうようにしました。てことで今日は私の家。
18時頃冬乃と一緒に来て。]
「家だと…?」
冬乃がいればとりあえず道には迷わないが。
ていうか、転校して2日目で女子の家だと?
こんなアニメのような展開があるものなのか。
なんだかんだ今日の学校は終わった。
1人で真っ直ぐ家に向かう。
この2日間色々ありすぎた。
冬乃は意外と積極的だし、夏海は元気すぎると思っていたが、正義感あるし、秋奈には早速嫌われたし…
あとは春花か。
まあとりあえず家に着いた。
18時まで暇を潰そう。
そうだ、久々に動画でも撮ろうか。
「はい、皆さんこんにちは!ゆたっちです。
今日は久々にマッスルプロ野球をやりまーす。」
よし、撮り終えたぞ。
17時47分か。丁度いい。
冬乃を呼びに行こう。
━━ピンポーン
「はーい。」
何やら聞き馴染みのない声だ。
お母さんか…?
出てきたのは若い女の人だった。
「どちら様?」
「隣に引っ越してきました三宅です。冬乃さんはいますか?」
「冬乃?16時半くらいにどっか出かけてったぞ。」
「あ、ちなみに私は冬乃の姉だぞ。」
なんか男みたいな口調だな…
「ありがとうございます。」
おかしいぞ。
冬乃は今家にいるはずだし、仮に先行っていたとしても
16時半は早すぎる。
[冬乃、家にいなかった。どうすればいい?]
冬乃に連絡しようか迷ったが、さすがにキモがられる可能性があるのでやめといた。
そして、すぐに返信が来た。
[嘘!うちにもいないけど…
まあいいや!とりあえず地図送るからこのとおり来て!]
同時に地図の写真も送られてきた。
その地図通り行き、着いた。
表札も村上だし間違いないな。
━━ピンポーン
「はーい。」
「三宅です。」
「よっ!優多!」
「夏海と秋奈は?」
「よ…」
「ん?」
「嘘よ…今日指導あるの嘘。」
「は?どういうことだ。」
「優多に直接聞きたいことがあって呼んだだけ。」
「あ、でも明日から交代制で来てもらうよ。」
「そ、そうなのか。で、聞きたいことってなんだ?」
「私たち4人と出会って今日で2日目。みんなとも話せたし、顔も分かってきたよね?」
「お、おう。」
『私たち4人で、誰がタイプ?』
「…!?」