【第6話】頼れるJK『横川夏海』
「え?ゆたっち?何、話って。」
まずいことになった。
「なんでもない、先行っててくれ。」
「そんなこと出来るわけないじゃん。」
「なんかあるなら言ってよ。」
「そう言われても…」
「おい、お前夏海とどういう関係だ?
彼氏と彼女か?さっきの話聞いてたか?もう許さんぞ。」
「ちょっと待って。
君が誰かも知らないし、何が起きたかも知らない。」
「だけど、ゆたっちは大事な友達なの。」
「たしかに、まだあって2日目。だけど、友達。」
「お前、もう既にゆたっちって呼ばれてんのかよ。
てかゆたっちってお前YouTuber気取ってんのか?」
「YouTuberですらない、陰キャは夏海に近づくな。」
「本当に誰?」
「もうやめて。」
「今日は仕方ねえ。ただ次はもうない。」
耳元で言われた。
「夏海、ありがとな。」
「困ったときはお互い様です。」
「また何かあったら言ってね。ゆたっち!」
「てか、さっきもそうだが、ゆたっち呼びだと変に怪しまれるだろ…。」
「いや、私はゆたっちって呼び続ける!」
「全く困った。」
冬乃に夏海。
初めてこんな女子と喋った。
今まで恋愛に無頓着だった俺だが、初めてなんか胸がドキドキしていた。ただ、これは恋愛のドキドキではないだろう。ただ単に初めてのことで変な感情を持ってしまっただけ。あとまともに話してないのは春花と秋奈。
この4人と出会えて本当に良かったのだろうか。
今でも妻とそんな話をする。
春花、夏海、秋奈、冬乃。
まさかこの4人の中の1人と一生一緒に過ごすことになるとは。
中学まで恋愛すらしたことなかったのに。
「ゆたっちー!行くよー!」
「おっけ。」
俺は色々な感情を抱きながら、教室へと向かった。