【第4話】人見知り『柳田冬乃』
「よし、今日はとりあえずここまでだ。また明日。」
「うん、ありがとね。」
春花が言った。
「よし、帰るかー。」
ギュッギュッ…
「うん?」
服が引っ張られた様な気がして俺は振り向いた。
冬乃がいた。
「どうした、冬乃。」
「…ろ」
「ん?もう1回いいか?」
「一緒に帰ろ。」
驚いた。
人見知りだと聞いていた冬乃が俺と帰りたがっているだと…!?
てか、こんな美少女と帰っていいものなのだろうか。
「家こっちなのか?」
「…ん。」
恐らくうんと言ったのだろう。
「なら帰るか。」
気まずい。
中々会話が弾まないまま、家の前に着いた。
「んじゃ、俺ここのマンションやから。」
「…も。」
「ん?もう1回頼む」
「私も。」
「え!?」
「冬乃もこのマンションなのか?」
「…ん。」
小さく頷いた。
そして入り口を通り、エレベーターに乗ろうとする。
「何階だ?」
「…い。」
「ん?」
「7階。」
「お!俺もや。」
なんだろう。冬乃と喋っていると、不思議と元気になれる気がする。俺は今まで女子となんか喋ってなかったけど、すごく楽しい。
「もしかして柳田さん?」
「…で…の。」
「ん?」
「なんでわかるの。」
「いやーなんかここに引っ越してきた時、隣の家の子が同じ高校だって言う話を聞いたんだ。」
「…は…り?」
「ん?」
「てことは、隣?」
「そうだな。」
「…ち…たい。」
「ん?」
「毎日登下校したい。」
「もちろんいいぞ。」
「ただ、あんまみんなにバレないようにな。」
ていうか、俺何回聞き直したんやろ。
別に全く苦ではないが…。
「じゃあまた明日。」
「うん!」
思わず驚く程の冬乃の声だった。