【第15話】緊急会議
「とまあ、色々なことがあって今に至ってる訳や。」
「ん?どうした冬乃?」
冬乃は歩道上で泣いていた。
恐らくものすごくいい子なのだろう。
「ううん。なんでもないよ。ありがとね。」
泣いていた顔から一瞬で笑顔に変わった。
相変わらず声は小さい模様。
――[ちょっとみんなに話したいことあるから春花の家集合してほしい。今すぐ。]
冬乃が帰宅直後ベッドに寝転び、キャトルセゾンのグループLINEにこう送った。
[わかった。]
[了解です!]
[はい。]
すぐ3人の返信が集まり、春花の家へ集合する事になった。
――「話って何?」
春花の家に冬乃が着いた直後、春花は冬乃に聞いた。
「あのね。私優多君に色々聞いたの。」
「どんなことなのよ。」
秋奈が聞き返す。
「優多君の過去について。」
「過去!?ゆたっちの!?」
「そう。優多君がなんでYouTuber以外に全く興味が無いだとか色々。」
「ふーん。そういえば、だいぶ前に家庭状況についての動画を出してたよね。」
春花が言った。
「どんだけ古参なのよあんた。もしかしてあいつのこと好きなの?」
「ゆ、YouTuberとしてだよ。」
ほんの少し焦りが出ていたがそこには触れないでおこう。
「へー。ほんとなのかね?」
「ほ、ホントだよ!」
また少し焦りが出ているが、一切触れないでおこう。
「そしてね、優多君恋愛1番興味なしだって。」
「え。」
「そうなんですか!?」
「それがどうしたのよ。私には関係ない話だわ。」
「前に春花と夏海言ってたよね。優多君恋愛とか興味あるのかなって。今までYouTuberにしか注いでこなかったから恋愛とかは分かんないらしいし、興味ないって言うよりかは嫌いかもね。」
「ちょ!それは言わない約束でしょ!?」
「あわわわわわ!冬乃恥ずかしいからやめてよ!」
「え?あんた達ほんとにあいつのこと気になってるの?まだ出会って間もないのに?」
「気になってるって言うかまあ。」
「いやいや、私なんかこれっぽっちも気になってないです!」
「え、春花?」
「確かにまだ出会って間もない。でも指導は既に2回してもらった。その時の優多の必死さがどうしても頭から離れなくって。これが恋愛感情なのかもう何も分かんないよ。」
「あんたそれ恋よ。」
「でも私なんかが優多と付き合えるわけないよね。
底辺と頂点だし。」
「あんたもう付き合うとか言ってんの?」
「でも、春花がその気なら応援するわ。ただ私たちを置いてけぼりにしないでよ。」
秋奈が大きく間をとって言った。
「まず好きっていう感情に気づいてからにするね。
ありがとう。秋奈。」
春花のこの言葉を最後に、緊急会議は終了した。