25 役者集結
「で、あたしたちがどうして此処に来たかって話ね」
「ターリアさん、私たちより先に進んでいったのにアレスやエイミーさんのところには居なかったから…」
「あたし、方向音痴なんだよね。密林でずっと迷ってたのよ。そしたら、ジェラキドスが暴れてたからその場所に行ったらもう死骸になってて、その直後にいきなりダックスクロウに襲われたのよ」
「それで俺が見つけたというわけだ」
なるほど、あの時別れた後にグランさんとターリアさんは合流していたんだ。
「話はここからだ、ダックスクロウを倒した後に木の上に青い衣を身に纏ったファリスくらいの少女が居たんだ」
「その子から、「北東の果てにある塔に向かえ、そこに目的はある」って言われてね。なんだコイツとは思ったけど、今更アレス坊ちゃんとも合流できないだろうって分かってたから向かうことにしたってわけ」
青い衣…それってボクたちが見た赤い衣の少女みたいな…!
「ターリアさんたちもあの少女を見たんですか?」
「ん? クロエたちも会ったことあるの?」
「私たちのときは赤い衣だったんですけど、その子から「火山の先にあるこの塔に向かえ」って……」
「へぇ、面白いこともあるもんだね」
何か繋がりがあるのか……?
でも、どうしてこの場所を知っていたんだろう。
「ともかく、この上に居るってわけだよね。あのモンスターが」
「なら、手っ取り早く仕留めてくるべきだな。あいつを此処に長居させておくのは不味い気がする」
とりあえずはそうだ。
この異常な現象を起こしているガイザロスを仕留めるんだ!
ボクらは意を決して塔へと踏み込もうとした…そのときだった。
「な、なんだ!? また粉が…!」
パトリックさんの瓶が光った!
また何かが……聞こえる、この音は外から!
「またモンスターが集まってきた!」
「な、なによあの数!?」
外から迫ってくるモンスターの数はハッキリとはしないけど、確実に6頭以上はいる!
しかもさっきの時とは違って敵意を発しているね! ここは応戦しなきゃ……
ゴキャッ!
一番前に居たジェラキドスの首が断ち切れた音が聞こえた…それと同時に、目の前には――
「あの黄色い衣のやつが言っていたことは正しかったみたいだな」
この声は…アレス!
「皆さんお久しぶり~。あ、クロエっちー!」
「え、エイミーさん…」
あの二人まで…!
まるで誘導されてきたみたいだ。いや、これは意図的に誘導されてきたのかな…?
「ファリス、貴様らの会ったという少女の話は事実だったというわけだな。此処は俺たちが抑えるから塔を登れ」
「えっ、でもモンスターの数は—―」
「行け! せっかくの災害級になるかもしれないっていう金星を貴様たちにくれてやるんだ。つべこべ言わずに任せておけ!」
「大丈夫! うちらはこんなところじゃ死なないから!」
アレスとエイミーさん!
「じゃあ任せたよ、坊ちゃん! エイミー!」
あっ、ターリアさんが先に行っちゃった。
「おいファリス、早く行け! お前は行くべきだ! 行ってヤツを討ち取ってこい!」
「わ、わかった…!」
ボクらも塔の内部へと突入した!
内部も外側と同じでかなりの年月を過ぎて古びているけど、まだ大きな階段や手すりなんかもあって原型が残っている……。
「なんていうか、すごく不思議な場所ね…」
「そうね、こんな長持ちする設計なんてただの建物じゃないさね」
「……妙だね」
さっきから近くに全くモンスターの気配がしない。確かにここを登っていったのに、中からモンスターが出てきたのに、肝心の内部はがらんどうだ。
「だが、この上に何かいるのは確かだ。油断せずに行こう」
グランさんの言う通りだ。もしかしたら、途中で襲い掛かってくるかもしれない…!
慎重に上へ上へと進んでいく…。だけど、相変わらず気味の悪い静けさが続いている。この塔の壁が相当厚いからか外からの音は聞こえてこないし、窓はとても高い位置にあってアレスたちの様子も分からない。
「光が見えてきた…もしかして屋上が近いのかしら」
「驚くほど拍子抜けだな。奇妙かもしれんが、まるで案内されているようにも感じる」
案内…なんだろう、この胸がザワザワする感じ。あの先に何かが待っていることは確かなんだ…!
ボクたちは最後の階段を上った。
そして、光の先へとたどり着いた……!
「こ、これは…!」
手を伸ばせば雲に手が届きそうなその場所で、真ん中にはあいつが手ぐすね引いて待っていた。
「ガイザロス!」
「あれが…って、前とは別のモンスターみたいになってるじゃない!」
「あいつの能力か?」
そうか、シルバーの二人は初めて見るんだっけ。
「火山でやつと戦ったときに脱皮したんです。そしたらあの姿に……!」
「へぇ、子供が大人になった…ってことかしら? なんにせよここで――」
ギシャアァァァァァッ!!!
この咆哮……! 今までよりもさらに強力になっている!
「…! 待て、みんな!」
「グランさん?」
「近くに感じるんだ、数多の殺気が…!」
殺気!? 辺りを見回すけど何もいない…いや、これは合図だ!
咆哮を聞きつけたモンスターたちが雲から降りてきて、塔の隅から這い上がってきて…あっという間に囲まれた!?
そうか、ここまで何事もなかったのはこれが狙いだったんだ!
「ど、どうすれば……!」




