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 17 大峡谷

 

 草原を進んだ先に私たちを待っていたのは、大口を開けた巨大な峡谷!


「す、すごい大きさ…どんなものでも吸い込まれていきそうだわ」

「うん…あまり想像したくないね」


 奈落の底は光も到達しないみたい。だけど、よく目を凝らしてみると所々に橋がかかってる。


「アレスたちもこの谷の先に行ったのかしら?」

「どうかな…うわっ!」


 突如として後ろからモンスターが襲撃してきた!

 咄嗟にそれを避けて相対すると、大きな翼と細い身体を持っている…所謂「翼竜」ってやつね!


「ギャロニクス! かなり頭の良いモンスターだから気をつけて!」


 ギャロニクス…あいつ、峡谷の上を陣取っててこっちからじゃ攻撃できない! 私が持ってる剣を投げても回収ができなくなるわね…。

 そんな事をお構いなしに、向こうは上から一方的な音波みたいなブレスを吐いて…っ、なにこれ! 着弾したところが竜巻みたいな風の刃が!


「あいつは口の中の細かい歯を強力な衝撃波と一緒に吐き出してくるんだ!」


 風の刃に見えるのはその歯ってことね…空を飛んで飛び道具を使ってくるだけでも厄介なのに!


「クロエ、ここは場所が悪い。目を瞑って耳を塞いでて!」


 ファリスは何かの球を取り出した。私が目と耳を閉じてると、バンッ!ってすごい音と見えなくても分かる凄まじい閃光が走った!


「今だ、峡谷に逃げ込むよ!」


 何を使ったのか分からないけど、ファリスに手を引かれて私たちは峡谷の壁面へ降りた。


「ふ、ファリス、さっき何を使ったの?」

「フラッシュバン…閃光玉ってやつだね。すごい音と光を発して相手の目と耳を潰す道具さ」

「閃光玉…ファリスは平気なの?」

「もう慣れてるからね。師匠から使い方を教わる時に散々目と耳が死にかけたけど…」


 慣れてるって…何も知らないであれを使われたらたまったものじゃないわね。


「それより、あいつはどうなったの?」

「ビックリして落ちていったね。たまにこの閃光玉の対処法を知ってる個体がいるって前に聞いたから警戒したんだけど、杞憂だったよ」

「頭が良いってそういうことね…」


 峡谷の橋を進んでいくと、向こう岸に人が見えた。

 近づくにつれ、武器を持ってることを見るにハンターね!


「やっほー! 君たちもハンターだよね!」


挿絵(By みてみん)


 右手に盾を、背中に剣を背負った女性のハンターが出迎えてくれた。歳は私と大して変わらなさそう。


「はい、ガイザロスの調査に参加させてもらってます」

「やっぱり? でも、君たちの腕章はブロンズだけど…」

「ええまあ、それには色々あって…」


 周りのハンターの人たちはカッパー以上しか居ない。このハンターの人もシルバーね。


「そっかそっか。なんにせよまずは自己紹介だね、うちはエイミー。剣盾使いだよ!」

「クロエです…実は同じ剣盾を使ってます」

「えっ、ホント!? よかったー! こんな難しい武器を使ってるのはうちだけじゃなかったんだ!」


 すごい喜んでる…やっぱり玄人向けって本当なんだ。


「おいエイミー、何を騒いで…ん? 貴様らはあのときの」


 アレス…! あのイヤな感じの大剣使い!


「あれ? あっくんも知ってるの?」


 えっ、あっくん? 2人は知り合いなの?


「ああ、港町で…ってお前も居たじゃないか。忘れたのか?」

「えー、そうだっけ? なんかあっくんが怒ってたのは覚えてるけどいつもプリプリしてない?」

「ったくお前、俺がいつも怒ってるヤツみたいな…」


 何この人…あのアレスをあだ名で呼べるあたり、普通の関係じゃなさそう。


「ふむ、貴様たちのその腕章…また一つ強くなったようだな?」


 相変わらずすごい上から目線…だけど、私よりもファリスのことが気になるみたい。


「おいちっこいの、貴様はまだそんなところなのか?」

「えっ…」

「え、じゃない。分かったら一歩でも早く――」


 ギャオォスッ!

 声を遮って、鋭い咆哮と共に奈落の方から墜ちたはずのギャロニクスが現れた!


「人が喋ってるところだろうが!」

「あいつ、さっきから邪魔してきてるやつだよね」

「ああ、ヤツは相当俺たちを怒らせたいらしい」


 ずっとアレスたちを妨害してきてる相手ってこと? 執念深いヤツみたいね…!


「これ以上のさばらせるのは厄介だ。貴様ら、この場で始末をつけるぞ!」

「はーい!」

「「「「了解!」」」」


「ファリス、私たちも!」

「うん!」


 こっちは全員で8人も居る。恐れる事はないわ!


 キュオォンッ!!

 ん? さっきとは違う咆哮…?


「!…あの面倒な声は!」

「仲間呼びだね、来るよ!」


 周りに3体のギャロニクスが集まってきた! ちょっとこれってまずいんじゃ……!


「恐るな! 各自で2人組を作って対処しろ!」

「さっすがあっくん!」

「褒めるのは後だ、やれるな? エイミー」

「もちろん!」


 2人組…こんな早く的確な判断をしてくるって、やっぱりゴールドハンターは伊達じゃないってことよね。


「クロエ! 君の力を見せてよ!」

「えっ、エイミーさん!?」

「二人組作ってくれない? さっきアレスはあのちっちゃい子を引っ張って強引に二人組作っちゃったし」


 えっ、いつの間に—―


「ちっこいの、貴様は俺とだ。全力を見せなきゃ許さん!」

「わ、わかったよ…」


 ちょっとあいつ何やってんのよ、人に断りなくパートナー引き抜くなんて! しかも脅しじゃないのそれ!

 とっととモンスターを倒してファリスを取り返さないと!


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