独白(モノローグ)
今日も暑かった
汗を書きつつ本を開き、ページをめくる日だった
書籍では中断してしまい、
続きの出なくなった本を読んでいた日だった
本を読み終えてから、
その続きが書かれていたサイトを開き、また読み始めた
物語を完結まで読み終えて、別の本に手を伸ばす
この本も中断したものだ
本を読み終えてから、またサイトを開く
この物語はサイトでも途中までだ
でも、作者は書き続けていた
ゆっくりでも、物語はまだ続いている
別の本では、サイトでも物語は止まってしまっていた
少し悲しいが仕方ない
事情はいろいろとあるのだから
自分がとても好きだった物語は、サイトにはもう無い
交流した作者も物語も消えている
たとえ中断してしまった物語でも、読めるのは幸せだ
サイトを開けば、まだそこにあるのだから
とても大切な本を開き、物語を読み始める
投稿サイトのなかった頃に読んだ、
心に刻まれた物語の書かれている本だ
この本を読んだときには、作者はもうどこにも居なかった物語
読み始めた物語は、今でも色鮮やかに、
心のなかに、その物語の風景が描き出されてゆく
本は世界の扉を開いてくれる
たとえ作者が居なくても、
たとえ物語が中断したままでも、
開かれた世界の中で、作者の想いはそこにある
読みながら、物語の世界を旅して、
読んだ世界を、心に描き出している
読み進めて、物語と共に世界を旅してゆき、
そして中断した物語の先へ、一歩を踏み出す
頭の中で、心で、書かれていない物語を描き出し、
新たな物語を心のままに作り出し、その物語に想いを馳せる
これは私の物語だ
でも、
あの人の書いた物語でもある
そんな不思議な思いにとらわれる
暑い一日だった
物思いにふける日だった
中断してしまった物語を想い、物語の続きを夢に見たい
今夜は夢の中で、読めなくなった物語の続きを読もう
物語が無くなっても、
あの物語のことは忘れません。
それはとても幸せなことだったから。