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名札探し


奇妙な少女との収容生活が始まってから一週間が過ぎた。最初こそあんなにぎこちなかったが今ではお兄さんお兄さんと慕ってくれている。俺の特殊な超毛体質のことを聞いても拒絶はされず、むしろそれをきっかけに仲を深めた。そんな彼女の名前はリリィといい、義父母に育てられたと本人は言っている。


と、ここまで聞くと一見何故こんな部屋に?と疑問が湧くのだが本人曰くそれは話したくないらしい。


さてそんな楽しい楽しい監獄生活、俺の髪にしまい込んでいた勇者から拝借した宝もそろそろ底を尽きそうで、どうにかしてここから抜け出さないとと脳みそをフル回転、思考回路をバチバチにいきり立たせていたがいつまでたってもいい案が浮かんで来なかった。


そう、この部屋の錠前、パキラの超毛でいくら弄っても鍵が解除されるどころか逆に毛そのものが力を失ったようにへにゃりとへし曲がり普通の髪の毛になってしまうのだ。このことを看守のジョンに聞いても彼曰く「いやー、俺?下っ端だし?知るわけないじゃん?」と軽く受け流されてしまった。


冷静に考えると勇者その他諸々を不意打ちとはいえ倒してしまった上あの透明なお姫様も激昂させてまぁ極刑は間逃れないだろう。でも死にたくないよね。


そんなこんなでパキラは意気消沈して膝を抱えて座り、大きくため息。


「はあ…どうしたもんかな……」


「どうかしたんですか?お兄さん」


そう言うとリリィは俺の膝のお山を崩してあぐらにさせ、その上にポンと座ってきた。


「リリィで良ければ話を聞きますよ?」


「おお…、リリィはいい子だなあ」


そのまま彼女の銀の髪をさらりと撫でていると見知ったあの声が聞こえてきた。


「お前…ロリコンだった…のか」


いつから居たのか巡回していたジョンとパキラの目が合った。


「ち、違うぞ!誰がロリコンじゃ!」


ちなみに彼には地球(こっち)の用語を暇つぶしがてら教えていたのである程度理解はある。


「はは、パキラ。『イエスロリコン・』」


「『ノータッチ』…じゃねえよ!俺にそっちの趣味は無い!!」


「まあまあ怒んなって。お前、確かここから出たがってたよな?恩赦、欲しい?」


「え……」


それは願ってもない提案だった。


「欲しいんならとある条件がある(・・・・・・・・)。ちょっとばかし身体を動かして貰いたくてな、呑めるか?」


「おう、任せろ!どうせこのままじゃ一生牢屋か箱に詰められて殺されるだけだ!」


「オーケーいい返事だ、それじゃこれにサインしてくれ」


パキラはそれを二つ返事で了承するとちらりとリリィと目が合った。そのなんとも悲しげな碧眼がパキラを捉えるとどんどん彼女をここに置いていく罪悪感が重くのしかかる。


「あの、僕たち二人でっていうのはダメ?」


「うーん…」


ジョンはひとしきり腕を組んで悩んだあと直ぐに向き直った。


「まあいいだろ!」


「軽っ!」


「それじゃあ嬢ちゃん、こいつにサインを…」


パキラのサインの少し上の空白にリリィと書き、ジョンは満足げに羊皮紙を丸めて筒状の箱に押し込んだ。


「いやー助かった助かった!これで首の皮繋がったぜー!」


その様子をみてパキラはふと思った。


「いや…別にどうでもいいんだけどさ、これ何をすればいいんだ?」


そうだ、肝心の内容を聞いていないことを。


「ああなに、とても簡単で、誰にでもできることさ」



一呼吸置いて、ジョンは口を開く。



「なに、特別ルールで人殺しをして貰うのさ。聞いたことないか?『名札探し』。お前らにはそこに出場して貰う」

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