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第3話 社畜は仕事が100%。そんなお話。

重度の社畜は、仕事とカフェインがないと生きていけないみたいです。

 


「で、もう一つの選択って?」


『それは、いせ『異世界に行くことです。』......。』


 きましたー!異世界。なんとまあタイムリーな話題でしょう。こんな偶然ってあるんだ!チラッとデスクの上に『異世界転生物語』(見慣れた本)が見えたのは華麗にスルーしておく。



「これがテンプレってヤツかあ」


『......?何か言いましたか?』


『......』


 選択肢って言ってるけどこれはもう一択といっても良いんじゃないかな。精神生命体として1000年過ごすか異世界転生するかなんて、答えは決まっている。



「ナニモイッテマセンヨー。ゴホンっ。じゃあとりあえず、異世界ってどんなところ?」


『はい、貴方の魂が適合する異世界は5つあります。1つ目は、灼熱の世界。星ではなく宇宙全体が熱いです。』


「死ぬじゃん。」


『精神生命体になれば影響はありませんよ。』


 死ななくても確実に発狂する。ぼっちで一生暮らせと。あ、精神生命体に寿命とか無いのか。



『2つ目は、貴方がいた世界より少し文明が遅れた世界です。』


「少し?」


『貴方の知っている例でいうと、一番進んでいる星でマヤ文明くらいです。』


 どこが少し!?神界の感覚とかわからないから!数万年単位で生きてそうだもん。この人たち。どのみちマヤ文明で生きていくのは無理。却下。というかさっきから幼女が何も喋らない。いじけているように見えるのは気のせいではないだろう。



『3つ目と4つ目の世界は、どちらも貴方がいた世界に似ています』


「じゃあそこで良いじゃん。」


『人は居ませんがいいですか?』


「ごめんやっぱ無理。」


『そうですよね。それと最後に5つ目は、地球でいう中世くらいの文明レベルで人間もいます。でも他の知的生命体も多く、動物も獰猛です。』


 ......なるほど。これはアレだ。全部ダメだな。困ったぞ。特に最後の"獰猛な動物"って明らかにモンスターだし。余裕で死ねるし。



『ちなみに私のおすすめは、2つ目の世界です。』


「まさかのマヤ文明!?」


 予想の斜め上をきた。現代人がマヤ文明でどうやって生きろと。アレか。狩りか。それとも物々交換?どちらにしろそんな縄文的な生き方はしたくない。



「もうホントに帰りたい。......慰謝料を要求する!」


『なんでっ!?仕事から開放されて田舎でのんびりとか、破格の条件じゃないですか!?文明レベルなんて小さなことです!』


「マヤ文明じゃなきゃ考えたかもしれないけど。」


 マヤ文明は論外だ。



『それと全てはこちらのミスが原因なので、世界を渡る際にはそこにいる女神様から何かしらの特典がもらえますよ。』


『......』


「......選べる?」


『ランダムです。』


「まじですか。」


 はじめから期待などしていないが。そもそも手が滑って殺人した挙句隠蔽しようとして、さらにそれがバレたあとの説明役を部下に取られていじけている幼女なんて不安要素しか無い。うっかり呪いの特典とか貰いそうで怖い。



「呪われた武器とか無いよね?」


 あっ......!おい!目を逸らすな!あるの?マジであるの?ヤバイコレヤバイ。



『......じゃあどこの世界に行くか決まりましたか?』


 スルーされた。



「......そもそも初めから選ばせる気無いよね。5番目の世界で。」


 とりあえず現地の人と会話が成り立ちそうな5番目の世界を選ぶ。......ていうか基準が「人と会話できる世界」って絶対おかしい。



『......2番目の世界ですか?』


「5番目だよ!」


 どれだけマヤ文明を推すんだ。



『......わかりました。女神様ー!仕事ですよ!』


『......』


『女神様ー!』


『......フフッ。私はいらない子。仕事しかできないのにその仕事も部下に取られる私。......生まれてきてごめんなさい。』


 ......なんというか痛々しい。社畜から仕事を取った見本のようなものだな。正直見ていられない。



『女神様ー!あなたはいらない子なんかじゃありません!女神様にはまだやるべき仕事が1000万年分あるんですよー!だから元気だしてください!』


『グハッ......!』


 ......とどめを刺すな。この幼女が少し可哀想になってきた。



『......はあ、はあ。......じゃあ世界を渡る前に少し説明することがあるからついてこ......ついてきてください。』


 ......まだまだ先は長いみたいだ。




次、異世界へ行きます。

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