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シン宅配システム P-BOX

作者: さきら天悟
掲載日:2017/03/05

前作の『シン宅配システム』はこの作品の序章とするつもりでしたが、

少し長くなったため別の話にしました。

宅配業界に衝撃が走った。

最大手の宅配会社が取扱い荷物に制限をかけるという。

ネット通販により、増え続ける荷物でドライバーは音を上げたからだった。

しかし、このような状況でただ手をこまねいているだけでない。

再配達を防ぐため、駅に宅配ボックスを設置するなど対策を施している。

しかし、荷物の増加には追いつくはずもなかった。



ある男は、このニュースに接し、すぐに思いついた。

画期的な宅配システムを。

再配達をゼロにできるという。

だから、既存の会社より、料金を抑えられる。

試算段階だが、予定料金は既存の会社の半分くらい。

しかし、問題点があるのも確かだ。

他社にマネされても困るし、多くの荷物は扱えない。

だから、会員制になってしまう。

会員の紹介が必要としよう。

だが、セキュリティーには自信がある。

それに24時間対応を実現させる。

さあ、第一次会員を募集します。

会員登録してみませんか。

なお、会員登録には審査があります。





1年が経った。

シン宅配システムが稼働し始めたのだった。




「・・・です」


制服の男は女を見た。

システム稼働当初、男は微笑みで迎えたが、

最近では少しうんざりした様子だ。

給料は高いとは言えず、それも深夜2時、

不機嫌さが顔に出ている。

無愛想は課題であるが、この料金なら許される範囲だ。


「身分証をお願いします」

制服の男が言う。

彼女の運転免許証を確認すると、奥の部屋へ向かった。

「これですね」

男は彼女の物を掲げると、女は頷いた。


「一応、中のモノを確認します」

男は彼女に問う。


「グッチのバッグです」

彼女は伏し目がちに答える。


「バッグの中にバッグ?」

制服の男は苦虫を噛み潰したよう呟き、

彼女に書類を渡す。

「これに受け取りのサインして」


彼女は書類に住所、氏名、受け取りの日時を書き、

男には渡した。


「今度は気を付けてね」

制服の男は嫌味みを含ませ、言った。

そして、彼女はグッチのバッグが入った大きなバッグを抱え、

交番を後にした。


もう、お分かりいただけたでしょう。

料金を格安にできるシン宅配システムP-BOXを。

ドライバーは荷物をお届け先の最寄りの交番に届けるのだ、

落し物として。

だから、段ボール箱に詰めることも配達証を付けることもできない。

そうなると、真に送りたい荷物は大きめのバッグに入れることになるのだ。


料金激安!

セキュリティー万全!!

24時間対応!!!


シン宅配システムP-BOX(Polic BoX)、

そろそろ気付き始めた警察官の冷たい視線に耐えられる方、

一度ご利用してみませんか。




良い子、大人はぜったいマネしないでね!

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