シン宅配システム P-BOX
前作の『シン宅配システム』はこの作品の序章とするつもりでしたが、
少し長くなったため別の話にしました。
宅配業界に衝撃が走った。
最大手の宅配会社が取扱い荷物に制限をかけるという。
ネット通販により、増え続ける荷物でドライバーは音を上げたからだった。
しかし、このような状況でただ手をこまねいているだけでない。
再配達を防ぐため、駅に宅配ボックスを設置するなど対策を施している。
しかし、荷物の増加には追いつくはずもなかった。
ある男は、このニュースに接し、すぐに思いついた。
画期的な宅配システムを。
再配達をゼロにできるという。
だから、既存の会社より、料金を抑えられる。
試算段階だが、予定料金は既存の会社の半分くらい。
しかし、問題点があるのも確かだ。
他社にマネされても困るし、多くの荷物は扱えない。
だから、会員制になってしまう。
会員の紹介が必要としよう。
だが、セキュリティーには自信がある。
それに24時間対応を実現させる。
さあ、第一次会員を募集します。
会員登録してみませんか。
なお、会員登録には審査があります。
1年が経った。
シン宅配システムが稼働し始めたのだった。
「・・・です」
制服の男は女を見た。
システム稼働当初、男は微笑みで迎えたが、
最近では少しうんざりした様子だ。
給料は高いとは言えず、それも深夜2時、
不機嫌さが顔に出ている。
無愛想は課題であるが、この料金なら許される範囲だ。
「身分証をお願いします」
制服の男が言う。
彼女の運転免許証を確認すると、奥の部屋へ向かった。
「これですね」
男は彼女の物を掲げると、女は頷いた。
「一応、中のモノを確認します」
男は彼女に問う。
「グッチのバッグです」
彼女は伏し目がちに答える。
「バッグの中にバッグ?」
制服の男は苦虫を噛み潰したよう呟き、
彼女に書類を渡す。
「これに受け取りのサインして」
彼女は書類に住所、氏名、受け取りの日時を書き、
男には渡した。
「今度は気を付けてね」
制服の男は嫌味みを含ませ、言った。
そして、彼女はグッチのバッグが入った大きなバッグを抱え、
交番を後にした。
もう、お分かりいただけたでしょう。
料金を格安にできるシン宅配システムP-BOXを。
ドライバーは荷物をお届け先の最寄りの交番に届けるのだ、
落し物として。
だから、段ボール箱に詰めることも配達証を付けることもできない。
そうなると、真に送りたい荷物は大きめのバッグに入れることになるのだ。
料金激安!
セキュリティー万全!!
24時間対応!!!
シン宅配システムP-BOX(Polic BoX)、
そろそろ気付き始めた警察官の冷たい視線に耐えられる方、
一度ご利用してみませんか。
良い子、大人はぜったいマネしないでね!




