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Pantron Chevalier Saint  作者: 水城 蓮
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第1章 魔法研究

亀投稿になるかもしれませんが、読んでいただけると幸いです。

光が収まり、目を開くとそこは大きな部屋だった、床には読めないが何か文字の様な物が円を描く様に刻まれており、その円の中には五芒星が描いてあった。ミカエルから聞いていたので、混乱もなく持っていたスマホで写真を撮る。

「あ、あの勇者様。何をしているのですか?」

写真を撮り終えると、声をかけてきた女性の方を向く。そこには綺麗なドレスに身を包んだ気品溢れる人物が驚いた様子でこちらを見ていた。

「失礼。ちょっと気になった物ですから、画像として残しておきたく写真を撮っておりました。」

そう答えると写真?などと疑問に思う声が聞こえてきたが無視をして辺りを見回すと桜と悠馬も静かに佇んでいた。驚いていない様子を見るとこの2人も途中で誰かに会って、話を聞いているのだろう。

「悠馬、桜、大丈夫か?」

「ああ。驚いていないって事は聖達も天使に会って話を聞いてきたってところかな。」

「うむ。私も問題ない。だが、天使から貰った力は聞いていた通りここに着いた瞬間に身体に漲ってきておるな。」

桜が入っている通り、ここに着いてから身体に力が漲ってきている感覚がする。

俺たちが、お互いに自分の身体の感覚を確認しているとふいに先程の女性が声をかけてきた。

「あ、あの勇者様。よろしいでしょうか?」

「ん?ああ、すみません。ちょっと戸惑ってしまい、失礼を致しました。」

「いえ、お気になさらずに、突然この様な場所に呼び出してしまい、申し訳ございません。私はこの世界『ベルナルディア』にある国の1つ『シンフォニア公国』のクレア・F・シンフォニアと申します。勇者様方のお名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか?」

自分の事に夢中で忘れてしまっていたので謝罪すると自己紹介を受けた。名前と外見から考えるとお姫様ってところかな。

「はい。私は、騎崎 聖といいます。こっちの男は、芹澤 悠馬。女は、真弓 桜です。」

こっちも名乗ると、「ありがとうございます」と頭を下げてくる。

彼女は王族であるが、威張り散らしたりせず、こちらに対しても丁寧に言葉をかけてくれるその姿に、俺は内心で感嘆していた。

「騎崎様、芹澤様、真弓様、改めまして突然の召喚でこの場に呼び出してしまった事、深くお詫び申し上げます。お疲れの事と思いますので、お部屋を用意しております。本日は、ゆっくりとお休みになられ、明日改めてご説明させて頂きたく思いますがよろしいでしょうか?」

クレアさんの提案を受けさせてもらい、部屋に案内してもらったあと、3人で俺の借りた部屋に集り話をする事にした。

「ああああっ!!身体動かしてぇ!!どんくらい力が上がったのか確認したくてたまらねぇ。」

「気持ちは分かるが落ち着け。明日話を聞いた後にお願いしてみよう。」

「それで聖、これからどうするのだ?」

「そうだなぁ。詳しくは明日話を聞いてみないと分からないが、俺は向こうの話を受けるにしろ受けないにしろ、この世界でやらなきゃならない事があるからな、それを成すために行動していくよ。」

「・・・・・・なるほどな。天使が言ってた通りって訳か。まあ、俺たちはお前に力を貸すのは当たり前だからな。3人で成就させていこうぜ。」

二人とも手伝ってくれると知って、心強さから安心感が生まれてくる。

その後も幾つか今後について話をし、ある程度話し合った後、解散して各々の部屋でそのまま眠りについた。

翌日、いつものように鍛錬の為に外に出ようとしたが、衛兵に止められたので仕方なく部屋で朝食を済ませるとメイドさんに連れられて大きな扉の前に着いた。

「ここは謁見の間になります。陛下と王妃様と姫様がお待ちですのでお入りください。」

扉が開いたのを確認して前へと進み、謁見の間の中央で立ち止まる。

「騎崎様、芹澤様、真弓様、昨夜はゆっくりお休みになれましたでしょうか。」

「ええ。ありがとうございます。お陰様でゆっくりする事が出来ました。」

姫様と言葉を交わしながら、両端に立っている騎士達に視線を向ける。

(姫様達の側に立っている5人はそこそこって感じだが、それ以外は全く相手になりそうもないな)

パッと見で実力を見抜いたが、そこそこの5人であっても、力半分でも十分に勝てる位でしか無いのですこし残念に思っていた。

「勇者殿、少し残念そうだな。この場にいる者達は我が国で精鋭の猛者なのだがな。」

「いえ。失礼しました。王様に1つお願いしたい事があるのですが、この謁見の後に身体を動かしたいのですが、何処か使わせていただけないでしょうか。」

顔に出してしまった事を後悔しつつ、お願いをしてみた。

「ハハハッ。構わんよ。勇者殿の実力も確認したいしな。」

「陛下!勇者殿の実力を確認する為、是非私に戦わせてください。」

「うむ、良かろう。勇者殿も構わぬかな?」

「はい。問題ありません。」

1番先頭にいる騎士がこちらを睨みながら対戦を申し込んできたので、快諾しておく。

「さて、では今回の召喚の話をしようか。現在この国は魔物が大量に発生しており、兵のほとんどはそれらを退治する為に出払ってしまっている。そんな中、隣国とこの世界で最大の国であるバルガディア帝国が同盟を結び、何やら不穏な感じを漂わせてきている。そこで我が国のみに伝わる次元を超える召喚魔法でこの危機から脱しようと思い、それを実行させてもらったのだ。勇者殿、頼む。我が国を救ってもらえないだろうか。」

国王がそう言って頭を下げる。俺の中ではすでに答えが出ているが、念のため2人を見てみるとこちらを向いて頷いているのを確認する。まあ二人ともお人好しな部分があるから分かっていたけどな。

「畏まりました。私達の力が少しでも役立つなら、この力を思う存分奮わさせて頂きます。」

「ありがとう。勇者殿。必要な事があれば、何でも言ってくれ。出来る限りの事はしよう。」

今後の方針が決まり、こちらから頼んでみようと思っていた事まで許可をくれた事にホッとしながら、やっと身体を動かす為に訓練場まで来る事が出来た。刃引きした剣を受け取り、訓練場の中央まで移動する。悠馬が最初に戦いたいと言っていたが、ジャンケンで勝った為俺から戦う事に決まった。

「勇者殿、手加減は無用だ。私も全力をもって応えさせていただく。」

俺の相手は、この国の騎士団の団長であるルーガスという男だ。国王曰く、この国で2番目に強いらしい。

ジャンケンで勝ったものの、ルーガスを倒した場合、悠馬の相手がこの国の最強の人物である事を知り、最初を譲っておけばと後悔していた。

「では二人とも準備は良いか。・・・・・・・うむ。それでは始め!!」

開始の合図が国王から告げられると、ルーガスが剣を構え真正面から突っ込んできた。

(・・・・遅いな。隙もありすぎる。頭に血がのぼって本来の実力が出せていなさそうな感じだな。)

打ち下ろされてくる剣を紙一重で躱し、そのまま剣を喉に突きつける。

「それまで!!」

一瞬で終わってしまい、周囲の騎士達からどよめきが起きていた。

「クッ。陛下!申し訳ございません。もう1度仕切り直しをさせていただけませんか!」

「・・・勇者殿、大変申し訳無いのだが、この者ともう1度立ち会ってもらえぬか?」

「構いませんよ。先程の私の発言のせいで頭に血がのぼって実力が出せていなかったようにお見受けしましたので、こちらからお願いしようと思っていたところです。」

再びお互いに距離を取り、剣を構える。ルーガスも冷静になったようで先程より隙のない構えになっていた。

「それでは、始め!」

始めの合図がかかると、ルーガスの身体を淡い光が包み込んでいるように視える。再び、ルーガスが動き始めると先程とはまるで違う速度で突っ込んできた。

(チッ、速い!正確に見抜いたと思っていたのだが、まさかこれほどとは・・あの身体に纏っている光が関係ありそうだな。)

全力で何とか捌き切れるといった相手の猛攻を防ぎつつ、冷静に分析していく。

打ち下ろされる剣を紙一重で躱し、剣を振るうも打ち下ろした直後のはずが剣で受けられる。

緊迫した戦いの中、俺はルーガスの纏っている光の正体を魔力による身体強化だと予想して、自分の中に宿っているであろう魔力の存在を確かめようと集中していく。そして内面に集中している分、戦いにおいては劣勢に陥っていく。今まで全て防ぐか躱すかしていたルーガスの剣が、身体を掠めていくとともに中央で繰り広げられていた戦いも少しずつルーガスが前に聖が後ろに下がりつつある。

ギリギリの防戦を続けていると聖の身体から白い光が現れ、それが身体に纏わり付き始めていた。

ガタッ!!何人かの人が驚いたように立ち上がり聖を見ている。周囲がザワザワしているが、聖は気にせず漸く戦いに集中していく。

(暖かい光だなぁ。これが魔力か・・・相手の動きがまるでスローモーションのように視える。ちょっとやり過ぎたかもしれないなぁ。)

そんな事を思いながら、足を踏み出すと一瞬で相手の目の前に移動し、剣を心臓の前に寸止めして戦いは終わった。再び周囲が騒めくが、気にせず2人のもとに戻る。

「聖のおかげで、俺と桜も身体強化出来るようになったぜ。出来るだけ使わずにやった方が楽しめそうだけどな。でもいい事考えたから、最初から本気でやろうかな。」

そう言って悠馬は中央へと歩みだす。俺が勝ったので、悠馬の対戦相手はこの国最強の近衛騎士団長リオン・オズウェルが戦うことになった。

「リオンさんだったよな。1つ聞きたい事があるんだが、攻撃魔法って使えるのか?」

「使える。武技と魔法の2つを高レベルで使いこなせているからこその近衛騎士団長だ。」

「じゃあ攻撃魔法もありって事でよろしく。」

悠馬の提案を通す代わりに結界の張ってある闘技場へと場所を移すことになった。ここなら死んでしまっても結界を解除すればあらゆる事象が無かったことに出来るそうだ。

「それでは始め!」

開始の合図とともに2人ともが身体強化を施す。リオンはそれと同時に魔法の詠唱に入っているのをニヤリと笑いながら見ていたのだが悠馬が剣にも身体強化の光を纏わせ始めていた。

「我が敵を焼き尽くせ!ファイヤーボール」

6個の火球が悠馬に襲いかかるとシュッという音とともに火球が全て切り裂かれ、霧散した。

「なっ魔法を切っただと!?」

驚くリオンだったが、次の瞬間には胴を思いっきり切りつけられそのまま闘技場の壁まで吹っ飛び勝負ありの声が響き渡る。あまりにも一瞬で決着が着いてしまい、周囲は状況がつかめずシーンとしている中で悠馬はこちらに戻ってくる。

「いやぁあまりにも上手くいきすぎて楽しめなかったよ。聖、あとで戦おうぜ。」

「ああ。身体強化で何処まで強くなったか確認したいしな。桜もあとで稽古しよう。」

「うむ。その前に私も一戦交えてこなければいけないがな。久しぶりの対人戦なので腕がなるのぉ。」

桜が嬉しそうに言ったのを聞いて、俺と悠馬は恐怖した。桜は弓を使わせれば、俺と悠馬の二人掛かりでも勝てないほどに強かった。俺の親父でさえ防ぐのが精一杯という強さだった。お袋が最強なのだが、その次は桜だろう。さらに師がお袋という事もあり、戦い方がSなのだ。速攻で勝てる時でも急所を狙わずジワジワと行動不能に追い込むという恐ろしさは味わった事のある者にしか分からない。満面の笑みで歩き出す桜を見て、対戦相手に心の底から同情した。その対戦相手は近衛騎士団の副団長であるべラードという男で実力はこの国のNo.3らしい。始めの合図とともに両者ともに身体強化をするとべラードは魔法の詠唱に入っていた。桜は弓を構え矢を3本同時にセットすると照準を定める時間も置かずに放つ。放たれた矢は相手の両肩と右膝に命中する。詠唱が途中で止まり、詠唱の暇がない事が分かり行動に移すが1秒も置かずに桜はどんどん矢を放ち続ける。動いても動いても的確に肩・肘・膝と正確に打ち続けられる。近づく事も許さず一方的な蹂躙が繰り広げられていた。2分も掛からずべラードは両膝・両肩・両肘を破壊され、すでに動けなくなっていた。詠唱に移ろうとしても顎を撃ち抜かれ詠唱もままならない。倒れているべラードに桜が足を踏み出した所で勝負ありの声が響き渡った。若干納得いかないのか桜はムスッとした顔でこちらに戻ってきた。

「勇者殿達の実力がこれ程とは恐れいった。それで今の戦いで気になった事がある、この場では話せぬこと故、昼食の後に謁見の間で聞かせてもらってもよいか?」

「畏まりました。その話が終わりましたら、この闘技場を使わせて頂いてもよろしいでしょうか。」

「うむ。というか今後はこの城の設備は好きに使ってもらって構わんぞ。」

「ありがとうございます。心より感謝します。」

その後王族の方々に誘われ、一緒に昼食をとる事となった。

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