衝撃なのです
感謝と共に小話を書いて見ました。
閑話と同じように三人称視点からの描写です。
読み進めにくい、印象が――
などありましたら参考にして進めますのでご意見お待ちしております。
「その手に持った物を投げつけようとされたから対処したまでの事。それと私は招かれてここに参りました、ヒルデガルド・ルビー・スカーレット、ですが貴方は何方どなたなのですか? 名前すら存じませんけれど不審者ですから名前もないのでしょうか、失礼しましたわ」
――ものすごく凛々しい少女なのです!
彼女はその少女を見たときに衝撃を受けた。
王妃主催の茶会に突然巻き起こった喧騒。
悪戯を仕掛けようと現れた王子、そして恐らくは自分と変わらない年齢にも関わらず、狼藉を行おうとした王子に紅茶を掛けて懲らしめた小さな淑女。
その姿はまるで違う顔つきなのにも関わらず、彼女が尊敬してやまない王妃と重なって写った。
もしも王妃が彼女の立場ならば必ずやそうするだろうという凛とした振る舞い。
茶会に溶け込めずに少し離れていたジャンヌにとってその行いは衝撃だ。
なにしろ相手はこの国の王子様に違いない、たとえ正しい行いであろうと、かならず罰を言い渡される。
だから――
彼女はその光景を思い浮かべて悔しく思った。
「余は第一王子であるぞ!」
王子の声が庭に響きわたり、その一言で茶会に訪れていた誰もが動けなくなる。
王族相手に下手な行動は取れない。
ソレぐらいは幼いジャンヌにも理解が出来た。
だから余計に彼女は悔しかった。
――彼女は悪くないです、悪いのは王子様なのです、でも相手は王子様なのです。
だが事態は彼女の思い描いた結末には進まない。
周りの大人達がどうすればよいのか迷った瞬間。
その少女は先程よりも更に姿勢を正した後に王子の非を糾弾した。
「では、貴方は『時間も守らず』『女子を待たせ』尚且つ『泥団子を投げつけようとする不届き者』が第一王子だと自分で宣言されると?」
少女は敢えて正面から王子に対峙してみせた。
それが王子と宣誓した相手にも関わらず。
――凄いのです。
それしかジャンヌは彼女の行動を表す言葉が思い浮かばなかった。
しかし――
王子がそのような言葉で引っ込まない、更に罰を与えようと叫ぶ。
「無礼な! この者を罰せよ罰するの――」
「お黙りなさい!」
だが、王子の叫びは遮られてしまう、其処に現れた一人の女性によって。
ジャンヌが横を見上げると尊敬する王妃が通りすぎる。
自分の横を通り過ぎながら彼女は王子の言葉を遮り一喝したのだった。
――あっ、王妃様と小さい王妃様なのです。
騎士を目指す少女ジャンヌが少女にして淑女であったヒルデガルドを知った日となる。
その後は王妃様の叱咤で王子が退席させられることになり、顔見知りであるヒルデガルドは王妃と席を共にして優雅にすごす。
正に完璧な作法、自分に無い物をもつ少女。
だが自分にも目指すべきものを持つジャンヌは心を燃やす。
――凄い少女を知ってしまったのです、でも私も負けないのですよ、私も騎士になるため頑張るのです。
彼女はまだ知らない――
この先の人生で自分が、そして彼女が生涯を通じた親友となる事を。
最高の淑女の最高の親友と呼ばれる事を。
そして恋や事件と様々な出来事に巻き込まれる事を。
乙女転生―悪役令嬢REPLAY―
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上記をお読み頂いた方が楽しめるかと思います。
需要があればそれなりに連載を。