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 この世界が現実化したことで、起きた面倒といえば物理的ユーザーフレンドリー性が薄れたことだ。生体電流は読み取れても、レーダー的挙動に対し必ず電気的反応が返るとは限らない。つまり電流は素材しだいで吸収されることがあるし、魔物によっては相手が読み取れる。つまり逆探知されかねない。


 あと段差や石や地面の柔らかさはリソースの関係上大雑把にゲームでは表現されていたが、現実では足一歩ぶん四方のくぼみにはまったらつまずく。


 今は序盤の農村付近程度のなだらかなエリアだからまだいいが……。


 そんなことを考えながら、大鹿の角を掴んで急カーブのハンドルのように捻じ曲げる。結末は二択。


 「ギュイィイ!!」


 角が折れるか、鹿の首に強い負荷が掛かるかだ。今回は角が片方折れた。


 ロビンのいない方へ向けて角を投げ、もう1本の角を上下でずらして掴む。


 「ていっ!」


 テコで角に負荷を掛ける。根元を左、先端側を右に。今度は対応されたが、『上手く』ではない。ムリな動きで強引に踏み止まっただけだ。即座に再度の動きで、上下に何度か揺さぶる。


 「キィイイイ!?」


 そして、一本背負いの要領で身体を捻り回して、角の根元を跳ね上げる。


 「ギッ……!!」


 角がへし折れた。これでこいつはでかいバンビだ。


 「ジビエにしてやるよ」


 まあ解体しないので運だが。


 それから数度攻撃を当て、俺は鹿を沈めた。脅威になる攻撃部位がなくなったので、見えずに突っ込む突進は意味があまりなくなるからだ。


、、、


 「お、ラッキー」


 闇が晴れあたりを見ると、部位破壊ボーナスが成立していたようで、鹿の角が一本落ちていた。序盤としては金になるドロップだ。


 「お兄さんすげー!」

 「目潰しがあると楽だね。ただ地形の把握がなんだけど」

 「俺……やっぱりいらない?」

 「いや、むしろ必須」

 「えっ」


 夜間フィールド、洞窟、敵からのデバフ、嗅覚主体の敵。ちょっと考えただけでも電流探知や視覚妨害以外もあったほうがいいシチュエーションは複数ある。


 「ただ対応作業が要る。まずギルドに、あとは港に行こう」

 「俺も?」

 「ロビンのコウモリとしての特徴をとる必要があるからね」


 周波数と言っても理解できないだろうが、ロビンの個体としての、あるいはコウモリ獣人の音波を捉えることが必要になるからだ。


 とりあえず俺たちはギルドに向かった。

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