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出がかりは初回だったので芸人扱いも面倒だったし、鎧なしでギルドに行ったが、実績が出来たのでそのまま鎧で冒険者ギルドへ。
NPCを含むプレイアブルキャラには大きな従魔なんかもいたので、この世界でも屈めばギルドに入れるくらい入り口は大きい。
ジロジロと、あるいはギョッとして見られるが、受付でドロップ品を出すと全員気にしなくなる。ただの歌舞いた装備でしかない、と判断するのだろう。依頼で護衛などをやる場合は押し出しも要る面はあるし。
素材を換金した俺は、宿に戻り鎧を庭で脱ぐ。明日からはしばらくコウモリ獣人のあの子と稼ぎだ。
、、、
「やあ」
「おはよう、お兄さん!」
翌朝、ふたたびコウモリの獣人の子、ロビンと会う。市外の畑地帯だ。
待ち合わせを終えてすぐイノシシを狩り始めると、しばらくして角が長さも幅も1mくらいある巨大鹿が出てきた。
「あ、あいつ畑荒らしだ!」
「へえ、ここらのヌシかな」
「うん、あいつには困らされてる。お兄さん、狩れる?」
「鹿なら大丈夫かな。あいつらは角に血が通ってるから君の補助で有利になる」
「種類によるの?」
「角に血が通ってないと見えなくなるから、目潰しが有利だけじゃなくなる」
VR式、つまり神経電流探知式の見方だと、例えばサイの角なんかは見えない。また、髪の毛を見るとしたら静電気で見るしかない。なので一部の魔物に対して暗中でこの探知を使うのはリスクもあった。
「よし。闇を吹っかけていいよ」
「うん!」
闇色の雲のような煙が鹿に吹きかけられ、目潰し範囲煙幕の効果が発動する。
即座に突っ込んで電気式探知に切り替えた俺の目には、鹿はある種のイルミネーション、あるいは夜のアメリカや日本を宇宙から見たかのように見える。脳や心臓や太い筋肉は光が見えやすいからだ。都市部や大規模道路相当だな。
周りが見えなくなり戸惑う大鹿の心臓のあたりを、斜め上に上げるサイドスローを振りかぶって全力でぶっ叩く。
「キィ!?」
自動車事故で車の方がへこみそうな大鹿だが、だからこそ容赦せず踏み込んで体当たりする。
「ピィー!?!!!?」
目潰しの雲は鹿に付いていくため、俺は一旦範囲から外れる。夜間戦闘用ゴーグルを跳ね上げたように切り替わる一瞬の視界で、周辺地形を覚えておく。やっておかないと段差とか危ないからね……。




