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猫獣人でも見通せなさそうな真っ暗闇の中、突進した音を頼りにかミニイノシシたちは突進してくる。
そのイノシシたちの位置と動きは、こちらは音ではなく生体電流で感知している。地上なら探知範囲も結構広い。フルダイブVRの技術を応用した生体レーダーだ。
サメなどにはロレンチーニ器官という生体電流感知器官がある。俺の鎧と名前はそこにあやかったのだ。人間、というか俺が電流を感知する仕組みはサメと全く違うが。フルダイブVRゲームの技術知識をもとにスキルの用法を考えた結果出来上がった手法だ。
電流の感覚では、右斜め前と左真横から、見えないなりにイノシシたちが突っ込んでくる。俺は右へサイドステップし右前のイノシシのタイミングをそらし、左の体当たりの着弾もわずかに遅らせる。
イノシシは直線にしか進めない訳ではなく、AIおよび動作ボーン構築システムが現実の動物をある程度以上参照していた(リアリティだけの話ではなく、ゼロベースでの動作入力や生成AIでの作成構築からの手直しより安い)ためもあるのだろう、この世界の魔物は闘争心や対人殺意以外わりと野生動物に近い。あるいは人を舐めきった獣か。
ともかくイノシシとはただの直線番長ではないが、速度は現実の小型イノシシにすら及ばない。そこは序盤のVRザコらしさがある。
見えていれば右前からの突進は早くに曲がり、俺は二匹を相手取っていただろうが……イノシシたちは衝突した。
「ブギィ!」「フゴッ?!」
多少衝撃で位置は動いたが、二匹の位置は分かる。横に一撃で仕留められるよう少し下がり、腕でなぎ払う。
「グゴォ??!!」
イノシシたちが吹っ飛ぶと、それにつられて雲も移動し俺は日の元に戻る。まあ、これじゃ普通の近接はどうしようもないし、遠隔攻撃は爆撃とかになるわな。使いようはあっても、序盤にパーティーを組みやすいもんじゃない。
イノシシたちが死んだのか、恐らく相手の生命や魔力に紐づけられていた闇が霧散する。後には魔石と牙が2セット落ちていた。
「どうだ!」
「すげー!でもまぐれあたりじゃないの?」
「何度かやれば分かるさ」
そして俺達は何度か闇に包んだイノシシを狩った。
、、、
「な、問題ないだろ?」
「うん!」
「じゃあ素材は気をつけて持って帰りな」
「うん!」
彼もギルドに登録していたので、今日はドロップを折半して終わりにする。俺は冒険者ギルドへ報告に帰った。




