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あるゲームに転生した俺は今、何十人かと旅をしている。スキルなどの強さを至上とする類の人間や魔法派エルフなどが主体の生まれた国を捨て、肉体派の獣人やものを作るドワーフが多い国『クラテオン』に移民するために。


 これ自体は変わったことじゃない。俺は全体的ステータスも普通の平民でスキルは外れ扱いだが、同道する中には馬に乗った貴族の青年もいる。テイムやライダーといった動物対応系スキルに目覚めた三男で、本人希望で移住するそうだ。目指すは飛竜槍騎兵らしい。家で冷や飯食いや投射魔法火力になれないやつ扱いよりいい、とのこと。


 この世界には利権で普通の戦争もあるが、世界中にある『魔王の爪痕』と呼ばれる荒地から魔物も湧く。逆にダンジョンは『戦神の試練場』と呼ばれ鍛錬などに使われる。


 つまり武者修行しやすい設定なので、戦いを生業にするのが吉。まあ生産まったりゲーじゃないしね。もとからそう言う構造なのだ。


 「ゲイツ様は、武具などはどこで仕立てなさるので?」

 「ドワーフの名工と言えば、という工房ならいくつかツテはあるが……なんだ働き口か?」

 「いえ、いつかそこで装備をと思い」

 「大きな夢だな、高いぞ?」 

 「そのほうが夢は膨らみますゆえ」


 ついでに好事家や篤志家、投資家貴族の話を聞いておく。


 「なぜそんな話を?」

 「やはり夢があるじゃあないですか、パトロンをやってらっしゃるような方というのは」


 なるべく評判がいい名前を聞く。使い潰しに来るようなのは困るからな。


 「ありがとうございます、庶民にはわからぬ面白いお話でした」

 「噂好きは太鼓持ちにはいいが、人による。ほどほどにな」

 「ご忠告に感謝を。冒険者として位階を上げたときの練習ということで」


 そして数日して、クラテオン外縁の交易都市に着く。田舎や何も無い類の「辺境」ではなく、日本で言う中世の福岡みたいな。


 俺は街に入ると、まずは雑貨屋に向かう。そしてスライムねんどという青い透明ゼリーのようなアイテムを買い、服を圧縮し食糧のパンを咥えてサンドバッグ半分ほどの荷物袋に七割ほどぎゅうぎゅうに詰める。


 この粘土は粘土とは名ばかりで実際には死んだスライムの身体だ。それをこねたり出来るよう加工したありふれた錬金アイテムとなる。作中設定では子供のおもちゃや雨漏り塞ぎなどに使うパテとして親しまれている。


 だが、これには電気信号を流すと自在に変形させられるという特性がある。もとがVRゲームなのでプレイヤーはよくゲームと関係ない物理演算のおもちゃにしていたが、このことを作中NPCは知らない設定だ。文明レベルがよくある中世「風味」(厳密ではない)なので、カエルの足に電気は流していなかったようだ。


 俺は人に道を聞き、好事家子爵の営む店に向かう。街をまたがなくていいのは、ここが立地条件上珍品の集まりやすい土地柄だからなのがある。


 レイ・ウィスタ子爵の営む繁華街にある道具店で、俺は売り込みを行う。


 「これを売り込みたいんですが」


 スライムねんどに触れ、命令信号を流しながら店員に言う。スライムねんどは手を振る。


 「自作ゴーレムか?多いんだよなあそれ」

 「ではコアの確認なりを。ちょっとこちらへ」


 スライムねんどを荷物袋から出し、店内通路に荷物袋を敷く。そしてスライムねんどを手で押し潰し平たく伸ばす。


 「コアや魔法回路を仕込むにしても、見え辛い、見えないなら利点ではないですか?まあこれは違うんですが……」


 平たく伸ばしたスライムねんどに再び命令信号を流し、Vサインして見せる。


 「……上のものを呼んでくる」

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