婚約者と妹が恋に落ちたので婚約破棄をして学院で一番冷酷という噂のある先輩を巻き込んだら何故か溺愛されています
私は、私の婚約者ロバートと妹のシスティーナが恋に落ちる瞬間を目撃でしまったのです。
あれは、私との結婚が決まり妹と顔を合わせた瞬間でした。まるで2人とも自分の運命の人に巡り会ったような感じでまるで、時が止まったかのような時間だったことをよく覚えています。両親に何度も相談し、婚約破棄をして欲しいと懇願してもそれはクリスティーナの勘違いじゃないかとか、そんな訳ないじゃないなどと言われ信じて貰えませんでした。
それもそのはず、ロバートは外面だけはいいのです。両親の前では私と仲がいい振りをして両親が見ていないところでは妹とイチャイチャし楽しそうにしているのです!
それを何故私が横で見ていなくてはならないのでしょうか!有り得ません!
なので、私は彼と婚約破棄をすることにしました。両親には確実な証拠を見せなければ信じて貰えません。そのため、新たに開発されたという「魔道カメラ」というものを何とか手に入れ証拠を得ることにしました!
ですが、そこで衝撃的な光景を目撃してしまうのです。最初は腕を組む程度でしたが、何と2人はキスをしたのです! わたしとまだ婚約途中にです。その光景をみた瞬間にこの人とがんばってやっていこうという気が失せてしましました。そのため、泣きながら家へと戻り魔道カメラで撮った写真を両親に突きつけ、こう言い放ちました。
「私は、もうこの人とはやっていけません! 婚約破棄をお願いします」
その言葉を聞いた両親は素直に頷いて相手の有責にて婚約破棄をすることを認めてくれ相手の家に婚約破棄の旨を伝えてくれるようです。もっと反対されるかと思っていましたが、そんなことはなく私は部屋へと戻りました。あとから分かったことですが、この時の私はひどい顔をしていたそうです。その表情を見た瞬間に両親はこの婚約は間違っていたことを悟ったのと、まさか妹が姉の婚約者を盗るなんて思っていなかったのでしょう。少なからずも両親はダメージを負っていましたが、あの頃の私はそのことに気付いていなかったのです。私はそのまま自室にこもり気づいたら朝になっていました。朝ということは学校に行かなければなりません。
私は重い身体を起こし、鏡を見ると泣きはらした自分の顔が映っていました。すぐに、メイドにあったかいタオルを持ってきてもらい、目の腫れはなんとか収まり、あとは化粧をして隠しました。
学校へ行くとヒソヒソと話声が聞こえてきました。私の通うリオンティーヌ学院では噂付きの子が多く、私が妹に婚約者を盗られた話をしているのでしょう。ですが、それは変えようない事実なので仕方ありません。しばらくは騒がしくなるなと思って静かに過ごそうと思っていましたが、そういう訳にはいかないようです。なんと、普段は妹とお昼を取っているはずの婚約者ロバートが私を問い詰めに来たのです。
「お前、いったいどういうつもりだ? 婚約破棄なんて俺は絶対にしないからな!」
「どういうつもりはこっちのセリフなのだけれど? 私と貴方の間に愛なんて存在しないんだから。別にいいじゃない! 貴方は私の妹が好きなのでしょう? まさか一時の気の迷いとでも? 私と婚約を破棄すれば妹と結婚出来ていいじゃない? そうすれば、貴方も幸せ、私も幸せ。そうした方が都合がいいじゃない」
私の言葉に逆上し、私を叩こうとしたところを助けてくれたのはあの女子に冷酷と噂のあるグレアム先輩でした。
「お前、何をしている! 女子に手をあげようとするなんてとんでもない男だな」
なんと彼は私をかばってくれたのです。これはなんという好機!この人を巻き込んでしまえばいいのではと私は閃きました。女子に冷酷であるならば、私のことを好きになるはずがないと考え、私はロバートの手を掴んで離さない先輩の元に行くと、彼の手を外させ先輩をかばうようにロバートの前に立ち先輩の腕を組みました。
「私、この人に一目ぼれしたの! だから、貴方とは結婚できない。この人と結婚するって決めたから」
「どうやらそういうことらしいので、邪魔ものはさっさと退散してくれないか? お前も残念だったな。どうやら本当にお前に未練はないらしい。」
ロバートは状況が読み込めていないのかしばらく放心状態にあったが、フラフラと立ち上がるとどこかへ行ってしまった。なぜ、彼がショックを受けているのかしらと思っていると目の前に先輩の顔があり固まっていると先輩が問いかけます。
「さっきの話は本当か? その……俺と結婚したいと言うのは」
「あの! それはなんとなく勢いで言ってしまったというか。その……ああでも言わないと諦めてくれないかなと思ったといいますか。でも、先輩をかっこいいと思っていたのは本当です」
先輩はなぜか顔を覆い、天を仰いでいたので何をしているのかと首をかしげていると先輩がとんでもないことを言い出したのです。
「俺は、お前のことが好きだ。本当はずっと心の奥底にしまっていようと思っていたが、そうもいかなくなってしまったからな。俺と結婚してほしい。少しずつでいいから俺のことを好きになってくれると嬉しい」
その言葉に私は固まってしまいましたが、そこから始まる恋も悪くはないのかもしれないと思い頷きました。その瞬間、先輩は私を抱き上げると嬉しそうな表情を浮かべました。先輩のそんな表情は見たことがなく思はずキュンときてしまっていると先輩はさらに追い打ちをかけるような言葉を私にかけたのです。
「これからは、あんな男のことなんて気にしなくていいから。俺が君を幸せにするから」
その瞬間、私の顔は真っ赤になっていたことでしょう。その顔をみて満足したのか先輩はとても機嫌がよさそうでした。その後、婚約は無事破棄され、私は先輩と新たに婚約を結ぶこととなりました。私と婚約を結んだあとの先輩はまるで人が変わったかのようでした。よく笑うようになり、冷酷と言われていたことがまるで嘘のようです。あの時、婚約を破棄したことは間違っていなかったようです。
私は今とても幸せで、この人を選んでよかったと思っています。