人知れず
眠りにつく前に
良い夢を願って、
傷んだ本心を癒そうと、
どうにかしようと。
誰かに見せられる
そういう我でなし。
自分のことは自分で
動こうと、止まろうと。
長い間には、
色んなことがある。
痩せたり、太ったり、
食べられなかったり。
誰かに打ち明けて
片付くものでなし。
自分のことは自分で
直そうと、壊そうと。
あなたに出逢った頃、
何かに掴まりたかった。
優しいお母さんに、
ひたすら逢いたかった。
眠れそうにない。
何故かしら、雨かしら。
聞こえた遠くの雷、
虫の音は途切れて。
誰かに電話して
話せる時間でなし。
自分のことは自分で
過ごそうと、黙ろうと。
敬老の日なんて、
すっかり忘れていた。
ありがとう、おめでとう。
幸せに繋がる言葉。
誰かが聞いたって、
ときめくことでなし。
自分のことは自分で
受け取ろうと、捨てようと。
あなたに逸れた頃、
どこかで眠りたかった。
柔らかな干し草に
人知れず包まって。
真夜中になって、
良い夢に誘われ、
子守唄の聞こえる空へ
飛んでゆけるかと。
誰かにさようなら、
そういう柄でなし。
自分のことは自分で
離そうと、悔やもうと。
また朝になり、
長い間になり、
泣けたり、笑えたり、
無表情だったり。
誰かに助けられ、
それだけの世でなし。
自分のことは自分で
始めようと、終わろうと。
あなたに再会したら、
あなたに沈んでゆきそう。
自分のことはと言いつつ、
一人にしないでと。