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14話 新技炸裂7





 ――天界で女神エリシアから授かった、唯一無二の魔法、『エクスプロージョン・ハンマー』……。


 魔王の体に備わった剛腕に爆裂魔法を宿し、ありったけのパワーを込めて放つ一撃は、まさに究極パンチと言えるだろう。

 技の持ち主である俺ですら、まだ使った事もない魔法のため、威力は未知数だが。


 この世でふたつと無い特別な魔法と、岩をもくだく剛腕。このふたつの融合ゆうごうは、言うなればチート級の一撃。

 きっと誰もを一撃で黙らせるほどの、計り知れない火力と衝撃になるに違いない。


 そんな見当もつかない破壊力を持つであろう究極パンチを、今初めて放とうとしている。

 魔族にとって、そして俺にとって最悪の強敵、勇者ンーディオに向けて……!


「食らえ、ンーディオ! 『エクスプロージョン・ハンマー』!」


 振り被った俺の右手に魔法陣が出現し、暖かくまぶしい光が拳を包み込んだ。

 繰り出さなくても感覚で分かる……。


 俺の拳に、爆裂魔法が宿った!


「はぁっ!? テメッ、魔王、はぁーっ!?」


 ンーディオはガードの構えをキープしたまま、驚きの様子を浮かべる。


「これはお前への怒りであり報復、そして最強のとっておきだ!」


 俺は左足を力強く踏み込み、狙うべき打点にするどにらみを利かす。


 すると。


『ロース様、えぇーっ! 本気ですかって、えぇーっ!』

『ビビビ、ビッグバン……! ロース様が、あのような技を!?』

『ロース様、きしょ』


 俺の背後から、魔王軍一同による驚嘆きょうたんが重複して聞こえてきた。

 ひとりだけ、テイストの違う驚き方が混じっていた気もするが……きっと遅れて来た、あのドライモンスターだろう。


 しかしアイツらが、大袈裟に驚くのも無理はない……。

 魔族はおろか、俺でさえ初お披露目の一撃なのだから。

 普段は俺を小馬鹿にしてくる魔族たちだが、今のアイツらの目に俺の背中は、どう映っているのだろうか。


 強く、そしてたくましい魔王として見届けて欲しいものだ……!


「テメッ、マジふざけてんじゃ……!」


 俺の狙っていた打点が視線でバレたのか、瞬時に聖剣を胸の前に構え、ガードを固めたンーディオ。

 しかし俺は構う事なく、振り被った右手を勢いよく差し出し。


むくいを受けろっ、ンーディオ!」


 爆裂魔法を宿した拳を、豪快ごうかいに打ち込んだ。


 吸い込まれるように真っ直ぐ打ち込んだ拳が、聖剣をとらえた瞬間……。

 打点を中心に、白よりも更に白い閃光せんこうが鋭くきらめいた。


 ――ズドォォォーーーン!


 全てを破壊するような大爆発と共に、空気が震えるほどの爆音が響き渡る。


 爆裂パンチをまともに食らった聖剣は、その場で粉々にくだけ散り……。


「「ぐぅわぁーー! がぁーーーっ!」」


 爆音の後を追うように、俺とンーディオの悲鳴ひめいとどろいた。


 そのままンーディオは、正門外へと激しく吹っ飛んでいく。

 直接攻撃を受けてはいないが、大爆発の衝撃に耐え切れなかったのか、勇者パーティのメンバーも四方に飛ばされた。


「ハァ、ハァ……! ()()()ーーっ!」


 吹っ飛んで行くンーディオを見送りながら、俺はたまらず片(ひざ)を地面に着き、悲鳴を上げ続ける。

 右腕の激痛と共に、スキル効果により俺の体力が残りわずかになったのを感じ取っていた。


「ぐわぁーー! 腕が、腕が、あぁーーっ!」


 味わった事もない、不気味な激痛。加えて、得体えたいの知れない感覚。

 腕を動かそうにも、動かない。と言うより…………無い。


「何だよこれっ! 腕が、腕が吹き飛んだぁ!」


 唯一無二の魔法『エクスプロージョン・ハンマー』を放った俺の右腕は、跡形あとかたもなく吹き飛んでいた……!




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