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14話 新技炸裂3





 ンーディオのふざけた告発により、俺の正義感と闘争心に火が付き始める。


「こんな事をして、タダで済むと思うなよ、ンーディオ!」


「おっ、おっ? なんだよ魔王ロース、タダは嫌なのか? そこのクタバったドラゴンみてぇに、お前も冥土めいどの土産が欲しいのかよ。

 ハハッ! 心配いらねぇって。次はお前にも、冥土土産をくれてやるから」


「ふざけた口が減らない勇者だ……!」


 ンーディオの態度に、握り締めた俺の拳がプルプルと震える。

 身勝手に生き物の命を奪っておきながら、なぜコイツはこんなにヘラヘラしていられるんだ……!


「あぁ? どうした魔王ロース。ペットをられて、気が立ってんのか?」


 のぞき込むように顔を前に出し、依然としてヘラついた態度を見せるンーディオ。


「ンーディオ様。魔王のあの様子は、きっと立っていますよ、()()! ビンビンのギンギンに()()立っているに違いありません!

 ギンギン魔王と名付けてはいかがでしょう!」


 ンーディオの隣で、悪ノリに便乗するような勢いで笑い始めたシノ。


「黙れシノ。綺麗きれいな顔して、下品な口をはさんでんじゃねぇ。不快だ。

 またオメェひとりで、敵陣に切り込ませるぞゴラァ……」


 ンーディオはシノに見向きもせず、ジッと俺を見つめたまま言い返す。

 非道な斬殺をするチンピラのくせに、仲間の言葉遣いは注意するのかよ……!


「す、すいません! ()()()()()お口が滑ってしまいました!

 以前はこの城が手薄だったので良いですが、今はが悪いので、単独の切り込みはご勘弁を!」


 シノはアワアワと落ち着きなく、途端に口を手でふさいだ。

 そう言えば勇者の右腕こと、いろいろ残念な女だったな、コイツ……。


「おいっンーディオ! 聞くまでもないと思うが、わざわざお前たちはここへ何しに来た!」


 身内同士で騒ぎ立てる勇者パーティに向け、俺は闘争心をき出すように叫んだ。


「なら言うまでもねぇだろ。今からってやるから、覚悟を決めやがれ魔王」


「どうやら、戦いは避けられないようだな。もとい、避ける気なんて更々(さらさら)ないがな……!」


 俺は決意を表すように、ソッとデストローガンに視線を向ける。


「なんだか、いつものロース様じゃない気がします……」


 俺の隣で、デュヴェルコードが心配そうな声色で語りかけてきた。


「当たり前だ……! こんな事をされて、許せるわけがないだろ……!」


 浅い付き合いではあったが、デストローガンのかたきも取ってやりたい。

 そして、こんな意味のない身勝手な斬殺を、みすみす見逃す事もしたくない……!

 俺の中にある正義感が、今は引くなと訴えかけてくる。


 ――それに、俺には新しい()()()()()が……。


 俺はデストローガンから目線を切り、勢いよくデュヴェルコードに振り返った。


「デュヴェルコードよ! 『リザレクション』で、このドラゴンを蘇生そせいさせろ!

 そしてドラゴンを含めた戦闘態勢を取り、あのおろかなチンピラ勇者を迎えつぞ、いいなっ!」


「無理ですっ!!」


「………………えっ?」


 俺は力強く放った指示を一言で全否定され、一瞬だけ固まってしまった。

 この流れで断固だんこ拒否きょひって、そんなのアリかよ……!


「既にコジルドさんを、先ほど蘇生させました! これ以上の魔力消費は、これからの戦闘に差し支えます!」


「そう、なのか……」


 俺は当てが外れたショックから、ゆっくりとコジルドに視線を配る。

 この厨二野郎、ちゃんとデストローガンより強いよな……?


「アテンション……! どうされましたかな、ロース様。我の顔に、何かミステリーでも垣間かいま見えましたか」


「お前……この日差しのもとで、戦力になれるのか? ヴァンパイアだろ」


「フハハッ! 奴等やつらと闇を遊ぶのに、フィールドなど選ぶ必要などありませぬぞ!」


 コジルドは高らかに笑い声を上げ、コソコソと俺の日陰ひかげに移動してきた。


 先ほどは、こんな急展開が訪れるとは思いもせず、かるはずみでコジルドの蘇生を指示してしまった。

 そんな俺が、こんな事を思うのも何だが……。


 ――後から、蘇生させぞんだったなんて、マジで無しだからなコジルド……!



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