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いや、無理でしょう  作者: 御重スミヲ
2/19

2、朝起きた


 そしてはじまるお嬢様生活。イザベラは自堕落だった。

 昼頃やっと起き出して、朝食という名の昼食をベッドで摂る。

 その後、ユリアになだめすかされ身支度。

 家庭教師の授業をしぶしぶ受けるも、何やかや難癖をつけて途中で追い出してしまう。

 たまに公爵夫人である母親が手ずから教えてくれる刺繡には熱心に取り組んで見せるけど、それ以外の時間は道具に触れようともしないから、まあ、上達するはずもない。

 ダンスは好き。お菓子が大好き。

 買い物も好き。そうそう外には出してもらえないから、御用商人が持ち込んだ中から選んだり、注文して作らせたりするわけだけど、そういう形式しか知らなければそんなものだと思うわけだ。

 なにより好きなのが観劇で、でも、月に一度しか劇団を呼んでもらえないのが不満。

 十歳でこれってどうよ?

 新生イザベラになってから、はじめは常に周りに人がいることが気になったけど慣れた。

 電気も水道もなく、前世で聞きかじった魔道具のようなものもなく、明かりはろうそく、水源は井戸、窯も暖炉も薪が必要だ。

 ドレスはワサワサしてるし、着替えはもちろん洗顔一つとっても、人に世話してもらわないと生活が不便でしようがない。

 手始めに()起きたら驚かれた。

 すぐに対応してくれるユリアはさすがだ。自力で起きたことを褒めてくれさえする。

 シンプルなワンピースを指定して、庭を散歩。

 あんな生活をしていてこのスタイル、吹き出物一つできてないのは驚異的だけど、一曲躍っただけで息切れするのは問題だ。

 第一、時間がもったいないじゃない?

 手入れの行き届いた庭園は目にも楽しく、空気も綺麗。排気ガスなんてないもんね。

 前庭だけでも十分広いから、今日はこの辺で勘弁してあげよう……ゼーハー、ゼーハー。

 敷地内に森や湖まであるんだからびっくりだ。

 着替えてダイニングに顔を出したら、公爵である父親に驚かれた。

 長い長いテーブルの端と端。

 しかめっ面でごちゃごちゃ言ってたけど、要はうれしかったみたい。

 中身私じゃなかったら泣いてたかもだけど、まあ、息子に気を持ったくらいの年齢だろう。腹を立てるまでもない。

 一旦部屋に下がった後、仕事に行く彼をお見送りしたら、鼻歌まじりで馬車に乗り込んでたよ。

 チョロいね。

 ちなみに母親はまだ寝てた。 



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