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いや、無理でしょう  作者: 御重スミヲ
18/19

18、白


 相手の態度如何(いかん)によっては予定を変更しなくちゃならないし、父親を通してどういうことだと王家に抗議してもらったら、どうせ若気の至りだ見守ってやってくれとのこと。

 いや、私が第二王子に惚れてるならまだしも、「所詮は浮気、本命とは違う」等の言い訳がまかり通ると思われてるなんて、我が公爵家が舐められまくってますよ。

 もとはといえば王家が言い出した婚約だと聞く。

 さっさと王太子を決めてくれないと、こっちは嫁に行くのか婿を取るのか、嫁に行くなら公爵家を継ぐ養子を迎えて教育しなきゃならないし、ほんと迷惑。

 それなりに面倒みたつもりの第二王子に対してそれなりに情はあったけど、いまの態度を見ればあっさり消えてしまうくらいのもの。

 恩に着せるわけじゃないけど、私けっこうこの国や第二王子に利益をもたらしたと思うんですけどね。

 まあ、立場や世代や性別って川を挟んで、どこまで行っても平行線なのはわかりきってる。

 王子にかんして言えば腹が立つよりあきれるより、むしろ微笑ましい?

 ああ、青春してるんだねって。

 でも、その尻拭いを私がする(いわ)れはない。

 オカンではないからね。

 思えば信念を持ってぶち当たったところで、我が子たちは思い通りには育たなかった。

 どう考えてもレールに乗って(ひた)走った方が安全で比較的楽なはずだけど、まあ、嫌なものは嫌なんだからしようがないさ。

 おかげさまで私イザベラ・スワン・デザイヤノートは、この世代の多くの令嬢たちのように、婚約が白紙になったからってショックを受けるような精神年齢ではない。

 先走り過ぎてる?

 でも私が正妻で、件の男爵令嬢は裏技使って側室でいいなんて言われても、いやー無理無理!

 気立てが良くて上品でもともと仲が良かったとかなら上手くやっていけるかもしれないけど。

 マナーはなってないわ、あざといわ、わざわざ遠回りしてまで突っかかってくるわ。

 光魔法はたしかに珍しいけど、「燦然(さんぜん)たる」リンボーダンスの(のち)ようは後光が差すだけだし、夏の夜なんて虫がたかって大騒ぎ。

 シバキ倒してやりたいけど扇子がもったいないし、ひたすら無視を決めこんでた。

 なのに「あいさつくらい返してやれ」だの「至らないと思うなら教えてやるのも高位貴族の務め」だの、賢しらぶる王子やその側近候補たちのうざいことうざいこと。

 あんたたち自分の婚約者の顔を見なさいよ。

 資源がない、収穫高は低い、流通も特によくない某男爵領。あの程度の家、寄ってたかって潰してやってもいいんだけど、いやマジで。

 もう、第二王子もいらないしなぁ。

 どうも勘違いされてるみたいだけど、私、安定した生活を求めてるだけで王妃になりたいわけじゃないし。

 幸いにしてデザイヤノート公爵閣下もお国が大事なだけで、王家に忠誠誓ってるわけじゃなかった。

 王家の弱みの一つや二つや三つや四つ余裕で握ってる宰相様が、婚約の白紙撤回してくれました。

 あきらかに向こうの有責だけど、表立って責めると他の貴族共が口を出してきて何かと面倒だから(もと)からなかったことにしたけどいいかって?

 オッケー!



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