14、ツインズ
噂が伝わるその速さときたら。
翌日、私は魔法省に居た。
「よう来た」「よう来た」って、呼ばれたから来たんだけど、いかにも双子な白髭のおじいちゃまたちがステレオ放送で、私に魔法を使って見せろと言う。
けして居丈高でなく、どちらも瞳をキラキラさせてるので悪い気はしない。
でも、その的と壁で大丈夫?
めっちゃめちゃ補強してある上に、壁の向こうは森しかなく、現在は立ち入り禁止にしてあるから遠慮なくやれとのこと。
……行っきます!
きのうと同じようにやったつもりだけど、的は穴が開いただけで爆散せず、壁も弾がめり込んだだけで貫通はしなかった。
さすが魔法省?
大興奮するおじいちゃまたち。
今度はその魔法を自分たちに教えろと言う。
いや、それは別にかまわないんだけど、私もいろいろ知りたいことがあってね。
押し問答の末、私の素朴な疑問から。
Q、魔法判定に使う虫メガネみたいの、魔道具じゃないの?
A、遺跡からの発掘品で、仕組みは不明。いまのところ動力として魔力を検知できないので、魔道具ではないとされている。
ちなみにこの機器を通して対象者を見ると、オーラのようなものが見える。
赤なら火魔法、青なら水魔法、黄色なら土魔法、緑なら風魔法。
機器の一つはすでに分解済みで、しかし自壊装置にしてやられ何もわからなかったんだって。
この時点でこの双子を抑えきれず、懇切丁寧に私なりのやり方を説明したんだけど、彼らにはできなかった。
しょんぼりする老人たちを壊れてない魔法判定器で見させてもらう。
めっちゃパワフルに輝いてます。一人は赤、一人は緑に。
すごいですね! さすがですね! わぁ! 先生たちの、チョットいいとこ見てみたい! そ~れイッキ! イッキ!
褒めて煽てて、じわじわと気を取り直した彼らの魔法を見せてもらう。
って、やっぱり踊るんだ?
赤い人はね、コサックダンスっぽいの。
〽火の精霊よ、我が願いに応え苛烈なるなんとかかんとか……笑っちゃダメダメ。
緑の人はカンカン。一生懸命足を振り上げてね。
〽風の精霊よ、我が願いに応え暴虐なるなんとかかんとか……ほんと、やばい! おじいちゃまたちの息切れが。
それでも、そこは魔法省の幹部。
一抱えほどもある炎の塊が轟音を立てて弓なりに飛んで行く。
風はさすがに見えないけど破裂音と共に軽い地響きまで伝わってきた。
どちらも的を壊し、壁に焦げやひび割れが! おぅ、人間兵器。
一発撃ったら息も絶え絶えだけど。
でもそれ、魔力切れっていうより踊りのせいじゃないかなぁ。