13、魔法
十一歳になった。
魔法判定を受けたら、土魔法の才能があるそう!
なのに周りの反応が芳しくない。
なんで?
我が娘、我が息子たちが言ってたことには「土魔法が最強」なのに。
呼ばれた魔法教師の蔑みの目。
なんじゃワレェ、やんのかコラァ。
思わずメンチ切ったら、渋々教え始めるセンセ。
なんかフラメンコみたいな踊り踊ってます。
なんか呪文らしきものを唱えてます。
〽土の精霊よ、我が願いに応え深淵なるとかなんとか……いや、ダメッ! 恥ずかしい。それ口にしないと発動しないとかどんな苦行よ。
確かにボコッと地面に穴が開いたね。バケツくらいの。
すごいことはすごいけど、そんなドヤ顔するほどのこと? 私の魔法への期待値が高すぎたのかな。
っていうか、あんだけ人を馬鹿にしておいてソレ?
堂々と胸を張る彼曰く、(訳)自分は水魔法の才が高く、土魔法はおまけのようなもので、なのにこれだけできる自分はすごい。なんてったって二属性、ほんとすごい。
ジト目で見てたら、コホンと咳払い。
おもむろに今度は盆踊りのような動きを。
〽水の精霊よ、我が願いに応え流麗なるなんとかかんとか……やっぱり歌わなきゃダメなの?
公爵家には魔法専用の練習場があって、的も壁も屋根も上級魔法にも耐えられるって聞いた。
その的にメロンサイズの水球が当たる。素人がビーチボールを投げたくらいの速度で。
なんか思ってたのと全然違う。
大リーガーが硬球投げた方が殺傷能力高いだろう、絶対。
なのに土魔法オンリーってだけで馬鹿にされるなんて腑に落ちない。
よし、見とれよ。
私はこの威張った兄ちゃんよりも、自分の子供たちの言葉を信じる!
確か……そう、魔法はイメージ。
体内の魔力だけじゃ量に限りがあるから、空気中から呼吸と共に魔素を取り込むんだったよね。
まず息を吐く。それから吸う。腹式呼吸~。
それから臍の下あたりでカクラだかチャクラだかを回す。
お、なんだかあったくなってきた。
それを血液に乗せるように全身に回す。
うおっ、熱い熱い。
えーと、右手右手、右手に集まれ。急がないと体の中が煮えそう。
人差し指から魔力を出しながら、土!
なんたって土魔法だからね。
銃弾型に固めて発射! おーっと、回転忘れずに!
的が爆ぜた。
壁に穴が空いた。
大騒ぎになった。
幸い怪我人や死人は出なかった模様。