11、休憩時間
じつは一月の休みの間に、王子には自分の担当教師に要望書を提出するよう入れ知恵しておいた。
題して『休憩時間の有効性』……夏休みの自由研究のノリだね。
最初は、小難しいことはヤダって全身で拒否反応を示してたけど、自分たちが何度も何度も計算などして記録を取るのと、人が作業した結果をまとめるだけのとどっちがいいか尋ねたら、即後者を選択した。
はい、選ばれたのは我が領の文官たちです。ドンドンドン、パフパフ。
でも、十歳児の自由課題、そんなに厳密じゃないよ。
①各自が適時、自由に休憩を取った場合
②昼に一時間だけ休憩を取った場合
③五十分働いて十分休憩を取ることをくり返した場合
④午前中に十分、昼に四十分、午後に十分休憩をした場合
それぞれの日の仕事上がりの時間を記録してもらう。
まあ、日によって仕事の内容も量も違うし絶対とは言えないけど、それなりの人数が数十日に渡って行えば、それなりに傾向が見えてくる。
我が家の使用人たちのブラック勤務ぶりは前々から気にはなってた。
王子と自家のお嬢様の命令ってことで、強制的に休憩を取らされて、はじめは「仕事が~」ってイライラしてたみたいだけど、やってみたら間違いは減るし、気のせいでなくいつもより早く仕事が終わる。
休憩の大切さを理解してくれたようだ。
人気は④番。でも、③番の方が調子がいいという人もいて、それは現場にお任せだ。
ちなみに①は誰もやる人がいなかったらしい。さすがブラック。
そのうちパートタイムとかシフトとか、有給って考えも浸透させたい。
王子はまだ子供で集中力が持続しないから、③と④の混ぜこぜがいいだろう。
侍従からも担当教師に伝えてくれるようお願いしたら、熱心に頷いてくれたよ。